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降級制度の改善は、時代の流れだと思っています
2017.8.2
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先週金曜、「JRAから平地競走における競走条件制度(クラス分け)の改善について」という発表がありました(ニュースはこちら)。いわゆる“降級”制度の廃止ですが、今回はこれについてお話をさせていただきたいと思います。

この制度についてはご存知の方が多いと思いますが、簡単に触れておきましょう。これは、4歳春競馬までに獲得した収得賞金を、夏競馬開始時点で半分とする、というルールです。それによってクラスが下がることを、“降級”と言っています。

この制度ですが、元々はJRA所属馬が少ない時代に、馬資源確保のために運用されたと聞いています。要するに、クラスが上がって頭打ちになった馬がクラスが下がることによって、より長く現役生活を送ることができるようになるわけです。これは、少数を所有する馬主さんたちにより効果があるとされています。

実際、西塚厩舎時代には、1000万下では厳しい馬について、放牧を挟みながら降級を待ち、レースに出走させたこともありました。

今回の制度変更について、僕個人の意見を言わせていただければ、時代に沿ったルールで、ある意味自然の流れではないかと。そう考えれば受け入れられるのではないかと思っています。

確かに、少頭数を所有される馬主さんの保護という観点ではマイナスかもしれません。でも、改善によって良くなる面もあると思うんです。

現在の“降級”とは、1000万下から500万下、1600万下から1000万下、そしてオープンから1600万下というケースがほとんどで、オープンから1000万下など、2階級降級するケースもまれにあります。その中で、現状は1000万下から500万下へ降級、というケースが多いです。

確かに、1000万下から500万下に降級すれば、もう一度500万下を勝つ可能性は高く、その賞金を得る可能性が高くなります。

でも、逆に考えてみましょう。今回のルール改善でそれはなくなりますが、500万下をなかなか勝ち切ることができなかった馬たちが、500万下を勝つ可能性は高くなるわけですよ。

この改善によって、未勝利馬と500万下にいる馬の力の差がより小さくなっていくのではないかと僕は思っています。それは上のクラスも同じで、より上のクラスにいる馬が増えていくことになるはずです。

それに対して、JRAはいわゆるローカルの三場開催について、これまでは未勝利、500万下がほとんどで、メインが1000万下という番組編成が多かったのですが、今後は1000万下のレースを増やすなどの対応策を取るようです。

つまり、上のクラスに上がっていく馬が増えることで、メインレースや準メインレースの充実が図られることになります。

現実に、登録馬の数は以前より多くなっています。しかし現状は、馬の数は多いはずなのに、夏などはメインレースでも出走馬が10頭に満たないこともあります。主催者としては、より売り上げが期待できる上のクラスのレースを充実させたいと思うのは自然でしょうし、メインレースの頭数が増えることは、ファンの皆さんにとっても良いことなのではないでしょうか。

馬に携わっている僕たちとしても、降級は確かに魅力です。でも、確かに500万下の賞金も魅力的ですが、1000万下で入着したときの賞金というのも実は大きかったりするんですよね。

実際、いろいろな馬たちに携わらせていただいた感触として、500万下を勝つ馬というのは、すべてではありませんが、しっかりと仕上げて、レースを選ぶなどして臨めば、1000万下でもチャンスは生まれてくるように思うんです。

そして、降級しても上のクラスで走らせたいと思うケースもあります。モンストールが1000万下に降級したときがそうでした。確かに1000万下ならば勝てる可能性が高くなりますし、実際は1000万下を使ったのですが、関屋記念で勝負してみたいという思いはやはりありました。それはモンストールの力を知っているからですし、だからこそ重賞でも勝負になるし、勝たせてあげたいと思うんですよね。

もちろん、今回の降級制度の廃止については、それに対応する形で、番組だけではなく、投票のシステムなど細部に関して、ルールの変更をしなければならないのは言うまでもありません。

例えば、現在は優先出走権についても500万下、1000万下、1600万下などクラスによって違っています。別の機会に話をさせていただくかもしれませんが、これについても統一されるべきではないかと思います。

今回の変更については、時代の流れのなかでは自然なことだと思います。しかし、変更して終わりではなく、それについて制度上でどのように対応していくのかが、今後の課題になると思っています。

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