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【対談・宇井功氏④(終)】すべての馬にとって、少しでもお役に立ちたい
2017.11.22
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宇井功氏…以下[宇]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]改めて客の立場として言わせていただきますと、だいたいの場合で早く欲しいんですよね。極端な言い方をすれば、できれば翌日の朝に欲しかったりするんです。

[宇]無理を言ってくださる(笑)。

[西]僕もそういう注文をさせていただくことがあります(笑)。ただ、今日の昼に注文して夕方までに欲しい、という場合もあったり。というか、ブッチャけると、どの厩舎も明日には欲しいという状態だと思います。

[宇]既製品であれば作って対応できたりするんですけど、特殊なモノはやはり試行錯誤しなければならないこともあります。しかも、それだけの製作というのではなくて、他のご注文や修理にも対応しながらですから、なかなか難しかったりもするんです。

[西]いつもすみません。そんな状況で無理な注文をしてしまって。気をつけますね(笑)。

[宇]いえ、大丈夫ですよ(笑)。仕事ですから。

[西]でも、夜遅くまでお店で作業されたりしているんですか?

[宇]夜遅くまで仕事していることはありますよ。

[西]そうなりますよね。

[宇]厩務員さんに「明日の朝、出来ていれば良いから」、「調教までに間に合えば良いから」と言われることがあります(笑)。

[西](笑)。でも、この世界って、本当にそういうリクエストなんですよ。だから、ネットでは対応しきれないですよね。

[宇]ただ単に物販をするのは可能でしょうけど、修理、しかもトレセンのリズムに合わせるということになると、厳しいでしょうね。

[西]持ち上げるわけではないですけど、手綱ひとつにしても既製品よりもハンドメイドである品物の方が使いやすいですよ。

[宇]いやぁ、嬉しいですよ。お世辞でも(笑)。

[西]お世辞じゃありませんよ。特に宇井さんのところは(笑)。

[宇]でも、日本人と外国人では仕様が違ったりするのも事実です。先程のゴム手綱の幅が違うという話が出ましたけど、海外では8分の7インチが使われているのに対して、日本では4分の3インチが使われています。手の大きさも指の太さも違いますからね。

[西]そういうことですよね。使いやすさという部分って大事だと思うんです。

[宇]それは本当にそう思います。たとえ安価でも、使いづらいものを毎日、毎日、長期間使うことはストレスですよね。

[西]こうして話を聞くと、モノを作るというか、そういう職人さんの技術というのは本当に大切だと思いますし、それにはそれ相応の対価、お金という部分があって当然だと思います。

[宇]ポロバンテージにしても、海外の製品とでは違うと言っていただけるんですけど、そう言っていただけると本当に嬉しいです。やはり、満足していただけるように、頑張っていますので、そういう言葉を聞けたときに幸福感を感じます。

[西]ポロバンテージは買っているんですか?

[宇]最初はそうでしたけど、作るようになりました。幅はもちろん、厚みもうちのオリジナルで作っています。

[西]それは知らなかったですよ。いつもすいません。明日までに、ポロバンテージ10本とか。

[宇]大丈夫です。夜なべしますから(笑)。

[西](笑)。あ、そうだ。ハミについても聞きたかったんですよ。もっとも一世を風靡したのはリングビット(※下写真)だと思うんですけど。



[宇]長い間、人気がありますね。

[西]Dバミは昔からありましたよね。

[宇]ありました。ハミの種類が劇的に増えたのはここ数年だと思います。確かに、以前からいろいろ出ていましたけど、本当にここ数年は多くなりました。

[西]特に、トライアビット(※下写真)ですか。


[宇]そうですね。ここ最近では一番のヒット商品だと思います。

[西]宇井さんのところでパンフレットをいただいて読んだんですけど、よくわかっていないんですよね(苦笑)。若馬など、ハミを受けづらい馬に効果があると言われているんですけど、割と引っ掛かるような馬にも効果があるように感じます。

[宇]これまで口向きが悪い馬にはリングビットが主流でした。そういうなかで、トライアビットは北海道から流行ってきたんですよね。こちらで流行る以前に、北海道の育成で使われはじめたというのを聞いていて、取り扱いはじめました。

[西]そうなんだぁ。そうやって話を聞くと、言い方は適切じゃないですけど、修理屋さんというか、街の電気屋さん的な要素がありますよね。

[宇]いまも昔も馬具屋は馬具屋なんですよ。確かに、売りっぱなしの方が楽ですよ。でも、使っている人たちの状態を聞いて、作っている私たちの提案をさせていただき、そういうなかで自分のところで作ったものを喜んでもらい、結果として少しでも良い成績を上げてもらうと。1日5頭出走して4勝できるような厩舎から携わることができる、それは幸せですよ。

[西]たまたまですから(笑)。でも、宇井さんの作ったメンコと天井、そして手綱でレッドファルクスがG1を勝ったわけですからね。

[宇]それはうちがどうのということではありませんよ。

[西]でも、宇井さんのところのものですからね。

[宇]いや、馬、そして先生をはじめ、携わっている皆さんの頑張りがあったからです。G1はもちろんですけど、すべての馬たちにとって、ほんのひとかけらでも、お役に立てたらと思うだけです。ですから、西塚厩舎復活に頑張ってください、三代目。西塚さんとは、十勝先生の代からお付き合いさせていただいているんですよね。

[西]そうなんですよね。三代目はないかもしれません(笑)。

[宇]そんなこと言わずに頑張ってください。

[西]いやぁ、今回は本当にありがとうございました。ぜひ、これからも素晴らしい馬具を作り続けてください。明日からは、またわがままな客として行くことにしますよ(笑)。

[宇]お待ちしたくはないけど、仕方がない。どうぞ(笑)。

[西]冗談は置いておいて、今日は本当にありがとうございました。

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