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【対談・横山義行騎手②】粒揃いの障害馬の中で、オジュウチョウサンは抜けて強い
2017.12.13
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横山義行騎手…以下[横]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]話は変わりますけど、義行さんから騎乗理論とか、馬の話を聞いたことがありません。馬乗りはどうだとか、レースではこう乗るとか、馬はこうだとか。これだけお付き合いさせていただいて、酒も飲んでいますけど、一回も聞いたことがないんですよ。

[横]そうかもしれませんね。

[西]くだらない、どうでもいい話はよくしますけど(笑)。本当に勉強になる話を聞いたことはほとんどないように思います。

[横]そういう話はしないですからね(笑)。まあ、いまの競馬はある程度良い位置で競馬をしていれば、たとえ負けても納得してもらえるようなところがあるじゃないですか。

[西]いやぁ、調教なんかでも、そりゃ上手ですよ。

[横]自分自身ではよくわからないけどね。でも、そりゃ信よりは上手ですよ。

[西](笑)

[横]確実に信よりは上手いということは、自分自身でもわかっています(笑)。

[西]そりゃ、当たり前ですよ。でも、そういうことしか言わないんですよね。乗り方の話に戻りますけど、好位と言いながらも何でもかんでも前へ行っていたわけではないですよね? 馬に合わせて、ということでしたよ。

[横]もちろんそうですよ。何でもかんでもではないですし、馬それぞれの特徴やリズムがありますから。

[西]個人的な印象としては、それまで12、13着だった馬が、7、8着、もしかしたら掲示板もあるかも、というところまで持ってきたことが結構ありました。障害騎手としてはもちろんですけど、平地でも上手いと思っていますよ。

[横]平地で力のない馬に乗っている騎手は、7、8着を狙って乗っているはずですよ。僕自身も、勝つチャンスがないのならば、7、8着、あわよくば掲示板というような意識で乗ってきました。



[西]自分自身が乗っている姿というか、フォームを意識したりしますか?

[横]障害は特に気にします。

[西]アブミの長さとかもですか。

[横]気にしますし、敢えて短くして乗っています。障害というのは、腰が引けているのがよくわかってしまいます。腰が引けてしまった状態で障害を飛ぶと、後ろに重心がかかって、馬も走りづらいですし、なかなかスピードに乗っていけないと思うんです。一緒のところから飛んで、着地したときに人間が遅れると、やはり馬が走りづらさを感じているように思います。そういうところは意識しています。

[西]そういうところなんかも、全くみせませんよね。

[横]馬乗りは、まずはとにかく馬の動きに付いていくことですよ。馬の動きを邪魔しないことが一番ですからね。それが基本。信は邪魔しているよね(笑)。

[西]邪魔ばかりしています(笑)。

[横]冗談ですけど。まずは馬の動きを邪魔しないようにしなければならないということですよ。

[西]いやぁ、義行さんに馬の話を聞くの、初めてだわ。そういえば、息子さん(琉人さん)が競馬学校騎手課程に合格しましたよね(※2018年4月に入学予定)。

[横]そうですね。

[西]息子さんに馬乗りの話はするんですか?

[横]ほとんどしません。たまに乗馬をしているのを見に行きますけど、乗馬と競馬は違いますからね。拳の位置とか、脚とか、細かいことはよくわからないですけど、違う部分があります。

[西]そうだと言いますよね。逆に勉強になったりするかもしれませんよ。

[横]いや、それは本当かもしれません。乗馬は難しいですからね。馬乗りそのものが、何が正しいということがないじゃないですか。その人の考えだし、人それぞれ違いますからね。

[西]でも、競走馬に乗るのも難しかったりしますよね。

[横]もちろんです。そう仕向けていることもあるんですけど、人間の指示に対して必ずしも従順ではなかったりしますからね。

[西]競馬に向かって追い込んでいっていますから、そりゃ馬も普通じゃいられなくなりますよね。

[横]調教を繰り返されているわけですからね。

[西]僕自身10年以上携わって、改めて馬は生き物であり、感情があるということを痛感します。

[横]精神的に追い込まれてしまっている馬もいます。ストレスを感じていたりするわけですからね。

[西]胃潰瘍の馬が8割いるというのも、その表れだと言われていますよね。逆に2歳とかだと、馬にもよりますが、根っからのワルじゃない限り、教えればわかるというか、従順だったりします。でも、レース直前に追い込まれてもうパニック寸前という状態だと何をするかわからないですから、本当に危ないと感じます。

[横]そうなるように仕向けていますし、またそうしないと勝つことができなかったりするんでしょうけど、追い込まれている馬たちはいます。怪我をしてから乗馬苑に行っているんですけど、表情の違いに驚かされます。現役時代に乗ったりした馬がいま乗馬になっているんですけど、まるで別馬だと見間違えるくらい違う表情をしていて、特に目つきの変化には驚かされます。

[西]乗馬になっている元競走馬もけっこういますよね。

[横]それだけ競馬というのは厳しい戦いなんだと思います。

[西]最後の1ハロンとか、本当に苦しいんでしょうね。

[横]ただでさえ苦しいのに、それを叩かれてもっと走るように要求されるんですから、そりゃ普通じゃいられなくなっても不思議じゃないですよ。

[西]話は変わりますけど、いまの障害界のスターと言えばオジュウチョウサンですけど、義行さんから見てどう思いますか?

[横]いや、本当に強いと思います。

[西]実は、先日高田潤(騎手)と飲む機会があって、そこで横山義行は天才だという話をしていたんですけど。オジュウチョウサンはここ最近の障害馬のなかでも一番じゃないか?という話になったんですよ。

[横]そう思います。

[西]それはここ20年、30年の障害馬の中で、ということですよね?

[横]一番強いと思います。

[西]何からそう思いますか?

[横]東京でも中山でも、あとは阪神でも勝っていますよね。どの競馬場でも対応できる馬って、なかなかいないものです。

[西]東京ならばスピードが勝っているタイプが強くて、中山ならばスタミナが勝っている馬が良い、というような感覚がありますよね。パッと思いつくところでは、コウエイトライ(※2006~2010年に障害重賞を8勝)は中山で1回も走っていません。

[横]東京は最後に坂がありますけど、あとは平地です。それに対して、中山はバンケットがあったりして、よりそれに対する適性が求められるようになっています。そのなかで、オジュウチョウサンはどちらでも結果を出していますからね。

[西]メルシーエイタイム(※2007年に横山義騎手騎乗で中山大障害を制覇)は中山でも東京でも勝っていますよね。

[横]そうだけど、脚元もありましたし、基本的には中山の方が合っていました。

[西]タラレバですけど、メルシーエイタイムゴーカイ(※2000年、2001年の中山グランドJを横山義騎手騎乗で連覇)で、中山だったらどちらが強かったですか?

[横]中山ならばゴーカイの方が強かったと思います。

[西]あっ、そうですか。メルシーエイタイムは結構良い線いっていると思うんですけど。じゃあ、またタラレバで申し訳ないんですけど、中山でゴーカイに乗って、オジュウチョウサンが相手という状況で付け入る隙はありますか?

[横]オジュウチョウサンが強いんじゃないかなぁ。

[西]やはりそうなんだ。潤ともそういう話になったんですけど、今の障害界で、オジュウチョウサンに続く馬たちも決してレベルは低くないですよね。



[横]良い馬がいると思います。それだけオジュウチョウサンが抜けて強いということでしょうね。

(※次回へ続く)

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