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【対談・田辺裕信騎手④(終)】コパノリッキーのJBCスプリント出走は英断だった
2018.2.14
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田辺裕信騎手…以下[田]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]馬場入場の話で思い出したんですけど、TCKは返し馬、ダクで行ってますよね?

[田]そう、そうなんですよ。大井競馬場では誘導馬がダクで行きますからね。

[西]コパノリッキーで学びましたね(笑)。

[田]コパノリッキーは常歩はしていません。キャンターで行く馬がいたら、それに付いて行きます。そして物見をします。レースでは逃げるのに、物見をするんですよ。

[二人](笑)

[田]なんなんでしょうね。競馬では物見しないのに、返し馬では物見するんですよ。

[西]あ、それですよ。もうひとつ聞きたかったのが、コパノリッキーですよ。JBCではクラシックではなくスプリントに出走しました。あれは普通では考えられない選択肢だと思うんです。

[田]自分もそう思いますよ。

[西]でも、あそこでスプリントを経験したことが、東京大賞典に活きているとも言えるんじゃないですか?

[田]良い方向に行ってくれましたよね。実は、最近年齢を重ねたからなのか、ゲートからマッタリした雰囲気を感じることがあったんです。スプリント戦を経験することで、出して行かなくても、素早いスタートができるようになるんじゃないかという期待はありました。ただ、元々引っ掛かっていくところがあるので、スプリント戦を使うことで、制御不能になってぶっ飛んで行くようになるかもしれない、という思いもありました。

[西]コーナーが4つある競馬って、あまり得意なイメージがなかったんですよね。

[田]距離もだし、確かに右回りでも勝ってはいますけど、どちらかと言えば左回りの方が良いタイプですからね。

[西]それが最後にあんな強い勝ち方をしてくれましたよね。あんなに楽に先手を取れるとは、個人的には思っていなかったんですよ。

[田]やはり1200を使った効果だと思います。オーナー(小林祥晃氏)の提案で使ったんですけど、レース後、これはオーナーだからこそ言えたんだという話を先生としました。よくスタートで全然出ていかないときなどに、一回1000を使ってみろという話がありますけど、そういうことなんでしょう。

[西]ただ、それをG1の舞台でやるのは勇気が必要ですし、なかなかできないですよ。

[田]それがオーナーの凄さでしょう。

[西]確かに西塚厩舎時代には、ピリッとしなくなったから、1000を使うことをやりましたよ。

[田]でも未勝利戦じゃないですからね。

[西]あのレベルですからね。凄いことですよ。

[田]しかも、勝っているだけではなく、G1を勝っている馬ですからね。結果が出ている途中で、そういうことはやらないですよね。

[西]確かにやらないですよ。

[田]1700、1800で勝っている。じゃあ、次は1000を使おうとはならないですよね。しかも、南部杯を勝った後ですから。

[西]そうだよね。それは本当に凄い。

[田]しかも凄いのは、1200を使う時点で、そこからはチャンピオンズC東京大賞典と決まっていたんです。

[西]チャンピオンズC(3着)は乗っていましたよね?

[田]あのレースも上手く行っていたんです。

[西]すべてはあの時点で1200を使ったことからなんだろうね。

[田]もちろん結果論なんですけどね。

[西]いや、結果論だけど、それをやったことが凄いですよ。

[田]あの馬にとってすべてが良い方向に出たんでしょう。普通に考えれば無謀なのかもしれません。でも、そういうギャンブルも必要だと思うんですよね。

[西]1200を使っていなければ、チャンピオンズCの3着も東京大賞典での勝ちもなかったかもしれないわけですから。

[田]みんな新聞を読みますよね。前走で1200を使っていて、そのペースに慣れているはずなので、楽に先手を取ることができると書いてあれば、そうだなと思ってしまう可能性が高いはず。ラップを見ても、前半3ハロンの数字が違い過ぎるわけですよ。JBCスプリントでは出負けして行くことはできませんでしたけど、1800のタイムよりは明らかに速くなっています。

[西]またあの時はみんな結構ガリガリやって、速くなっていましたからね。

[田]それを追いかけて行ったんですからね(笑)。

[西]そりゃ、速いと思いますよ。

[田]1200ペースでテンから行くであろう馬に、誰も絡んで来ないはずですよ。

[西]なるほどね。

[田]行くか引くかは出たなりで決めようと思っていたんですけど、村山先生には逃げるとコメントしてもらうようにお願いをしました。控えても競馬はできるとか、行く馬がいたら番手でも、というコメントをよく見かけます。でも、その馬は明らかに行った方が良いのに、敢えてそういうコメントが出ているときがあります。でも、なにもコメント通りに作戦を遂行する必要はないわけですよ。

[西]そこも含めて駆け引きですからね。

[田]逃げますと言っておいて、シンガリから行くのもありだと思っています。コメントはファンの方々だけではなく、関係者も見るわけですよ。もし、尾関厩舎と小西厩舎で同じ逃げ馬がいたとしましょう。そこで同型馬がいるようだが、ウチは番手からでも競馬ができるとウチの先生がコメントしました。そのとき、どう思いますか?

[西]じゃあ、行こうと思いますよ。

[田]そうでしょ。それを何が何でも行くんだというコメントが出ていたら、これが行くならば2番手、3番手でも、という気持ちになりますよね。

[西]確かに。

[田]でも、行くかどうかは競馬に行ってみないとわからないわけですよ。これが若手だったらペース度外視で行くとは思いますが、そういう部分も心理戦だということですよ。

[西]いや、勉強になります。

[田]話は変わりますけど、馬も6歳、7歳になるとおっとりしてくるものですよね。

[西]乗っていても安心ですよ。7歳馬とか大好きです。

[田]はははは。俺も、デビューして5レース、6レース終わるとホッとしますよ。

[西]でしょ(笑)。

[田]もちろん勝つことを目指しているわけですけど、この時期の3歳なら何をするかわからない部分がありますからね。警戒はしておかないと。

[西]それは本当に、そうですよ。いやぁ、田辺との対談は何回やっても飲み会にしかならないですね。

[田]毎回、早く調教師になりましょう、という話をしていますよね。俺的には、調教師になったら信ちゃんはまあまあ大丈夫だと思います。

[西]いやぁ、まだまだですよ。

[田]信ちゃんは人の話を聞くことができますからね。それって、とても大事なことですよ。しかも、言ってくれる人もいます。

[西]確かにそういう方々はいてくれます。

[田]そこですよ、そこ。言ってくれる人の言葉に耳を傾けることは大事だと思います。

[西]本当は、調教師と助手と騎手で、それぞれの馬について本当に思うところを、無礼講で話をしてもいいと思うんですよ。簡単に言えば、西塚厩舎の頃のように、この馬はセコ乗りしても8着が精一杯だから、そういう乗り方をしようとか、この馬は一発あるかもしれないから大事にいこうとか、そういう話。ハミ受けはどうしたら良くなるとか、いろいろ話し合いながらやっていくのが良いと思います。

[田]あの頃は、オーナーサイドとの関係とかまで考えてはいませんでしたけど、少なくともどうしたらひとつでも着順が上に来るか、ということを馬自身と相談しながらやっていましたよね。

[西]ここは勝ちに行って良い場面、とかさ。

[田]ほとんどなかったですけどね。

[二人](爆笑)

[田]勝ちに行ったのはエフテーストライクぐらいかなぁ。あのときは、勝ってくれないかなぁと思って乗っていました。ノボワールドとかインパクトはあったかもしれないけど、勝ちに行った競馬ではなかったですからね。でも結局、小倉では僅かでもプラスにして帰ってきました。

[西]は?

[田]この前、ある若手に「飲み代分は小倉で稼がなきゃいけない」という話をされたんですけど、振り返るとなんだかんだ僅かながらでもプラスで帰ってきていました。西塚厩舎をメインによく頑張ったと思いませんか(笑)。

[西]はははは。それは頑張りましたよ。本当にそうだね。最後になるんだけど、いま話題のエージェント制についてどう思う?

[田]なくても良いと思っていますよ。全員なしならばなしというのが公正でしょう。僕自身は、なしならばなしでやりますよ。

[西]そういう考えなんですね。

[田]エージェントの人たちがどうかは知らないですよ。困る人もいるかもしれませんけど、個人的にはなしの状態が一番フェアだと思います。地方から来る騎手や外国人騎手も、直接調教師が連絡をするようになるわけですからね。

[西]そうなるよね。でも、意外と若い人たちはエージェントがいないとダメです的な雰囲気があります。

[田]俺は結構粘ったつもりですよ。

[西]ずっとつけなかったよね。

[田]俺のなかのエージェントは信ちゃんだったからね。

[西](笑)

[田]今週は6頭だからな、と、他の厩舎の馬もやり取りのなかで把握してくれていましたからね。

[西]また西塚の良いところは、断っても怒られないところでしたよね。

[田]全部俺が乗っても、誰も怒らないという感じでしたからね。

[西]他の厩舎は入っているんじゃ仕方がないという感じでしたよね(笑)。なんせ小西厩舎もある南Aの並びは、田辺さんへの依頼が多かったですよね。

[田]エージェントについて言えば、新聞記者だから頼んでいるんだと思います。

[西]でも、外から入ってくる人もいますよね。ここからそういう広がり方をする可能性もあるんじゃないですか?

[田]いまお願いしている坂倉さん(『優馬』トラックマン)は新聞記者ですけど、(戸崎騎手や内田騎手を担当する)中村さんは競馬の話ができるんですよ。結果云々ではなく、馬について話をすることができるんです。元々騎手出身ということもあるんでしょうけど、「あ、これ良い」と思ったらどんどん営業に行っています。他の人はそういう感じではないんですよ。前走2着、3着とかそういうことで判断している人が多いように思います。でも、本当はそうじゃないと思いますよ。

[西]いや、中村さんの話はいろいろ聞きますよ。調教師の方が「ウチの馬に営業をかけてくるんだよ」と驚いていたことがありましたけど、でもそれって馬自身、調教、そしてレースを見て判断しているからできることですよね。

[田]そうだと思いますよ。

[西]今年からルール化されましたけど、どうなっていくんでしょうね。

[田]どうなっていくんでしょうかね。ただ、個人的にはないのが一番公正だとは思います。そのときは、調教師になった信ちゃんがエージェント復活ですか(笑)。

[西]エース復活ですか。はははは。

[田]もういい加減合格してくださいよ。

[西]面目もありません。あ、そんな話をしていたら遅くになってしまいました。

[田]来年の分まで話したんじゃないですか。ということで、来年の分はここから掲載してください(笑)。

[西]そんなこと言わずに、また飲み会トークをやりましょう。今日はありがとうございました。

[田]ありがとうございました。



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