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デビュー前の馬の調教はレースでの姿をイメージすることが大事
2018.2.28
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先週予告しましたが、今週は明け3歳馬の調教やゲートについての話をさせていただきます。

我が尾関厩舎には、いまデビューに向けて調教を積んでいる3歳馬のなかにレディボロニヤという牝馬がいます。

デビュー前の馬が入ってくる時に僕が気にすることのひとつとして、在厩していた育成牧場はどこか、ということがあります。なぜそう思うのかというと、それぞれに癖というか、感覚があるからなんです。

報告書にこう書いてあるということは、あの育成牧場ならこのくらいまで進んでいるだろうとか、こうは書いているけど、あそこなら意外と進んでいるだろうとか。それぞれの育成牧場で、少し違いがあるんです。

レディボロニヤについても、ここまで進んでいるという報告は受けていました。しかし、ブッチャけますと、その育成牧場から来た馬にほとんど接していなかったので、実際やってみないと分からない部分が多いだろう、とは思っていました。

育成牧場とトレセンでは環境が全くと言っていいほど違う部分があり、そこに戸惑う馬は珍しくありません。実際、レディボロニヤはゲート練習まで進んでいるということでしたが、初日はかなりテンションが高くなっていました。

以前話したことがありますが、この初日というところがポイントのひとつです。その馬は初めて経験することに対して反応してそうなっているわけですから、初めて競馬に行ったときにも同じような反応をみせる可能性があるということです。

もちろん、トレセンの初日はテンションが高くなっても、初めての競馬では大丈夫な馬もいます。しかし、競馬ではテンションが高くなるかもしれないという心構えでいないと、実際にそうなった時にこちらの対応が難しくなってしまいます。

ですから僕も、トレセンの初日にみせた反応はできる限り覚えておくようにしています。

また、初日の段階でのレディボロニヤは、ほとんどハミがかからなかったんです。

まあ、これは周囲が気になってしまって、走ることに気が向いていなかったからなんですけど、日数が経って気持ちが入っていくと、今度は口の反応が鈍くなっていったんです。

ハミがかからなかった初日の段階で、そういう傾向があるんじゃないかという予感はしていました。ただ、こういう部分も含めて、実際いろいろやってみないとわからないものなんです。

こういうタイプはゲートではこうだというように、簡単に分類や予想をして、対応はします。もちろんその通りになるときもありますが、予想とは全く違う反応を示すことは決して珍しくありません。

ですから我々は、接している馬に対して、その反応を見ながら手探りで進めているというのが現実です。そこで大事なのは、馬が示すマイナスの反応を否定するのではなく、そこを認めて、どう対応していくかが何よりも大事だと思っています。

レディボロニヤについてはハミをトライアビットに替えることで落ち着きを取り戻し、その後は良い感じでスムーズに進めることができました。

一方でゲートは練習してきたということで、一連の行動は出来ていましたし、出るのはなかなか素早かったんです。しかし、ゲートの中では気をつけないといけないかなぁ、という感覚を覚えたんです。

すると、試験に向けて調教を積んでいくと、実際にゲートの中が悪くなっていきました。具体的にいうと、後扉にモタれる仕草をするようになっていたんです。

後扉にモタれる、すなわちお尻をつくということは、ゲートが開いた瞬間に駐立の態勢になって、そこから発馬する形になるので、ひと呼吸遅くなってしまいます。

練習をして試験を受けたんですけど、案の定ゲートの中の行動で落ちてしまいました。

また、中がダメというケースは、それがエスカレートするとゲートに入らなくなってしまうことが実に多いんです。

それはゲートに対する嫌悪感もあれば、人間に対する反抗もあるでしょう。レディボロニヤも最初は全くそんな素振りもみせなかったのに、次の週には入りが悪くなってしまいましたので、立ち戻って練習をしていったんです。

また拒絶の仕方というのが、比較的強かった。ですから、人間の扶助で対応するよりは、まずは慣れさせる方法が良いんじゃないかと思いました。力で抑え込むよりも、納得さえすれば問題ないという感覚もありましたから。

そういうことについて先生と話をして、2、3日の間、ただひたすら入りの練習を繰り返しました。すると入るようになってくれて、結果としてゲート試験に合格することができました。

これは師匠である(小野)次郎先生も、(横山)ノリさんも同じようなことを言うんですけど、ゲートに関して試験で100%だった馬が、レースで120%できるということはあり得ない。良くて80%、いや70%程度しかできない、ということです。たくさんの馬がいて、自分も他の馬も入れ込んでしまうかもしれないのが競馬ですから。

逆に、調教では100%で抑え込まないと乗れない馬ならば、レースでは120%の力ではないと抑え込めないということなんです。

ですから、調教や試験に関しては、あくまで実戦に向けてどうか、ということをイメージしながら対応していかなければなりません。

確かに、今回レディボロニヤは合格することができましたけど、また同じような反応を示す可能性があります。今後もそういった点に気をつけながら、調教していきたいと思っています。

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