レディボロニヤのデビュー戦について、感じたことを話します
2018.3.21
前回も少し話をさせていただきましたが、我が尾関厩舎の
レディボロニヤ(牝3)が、先週日曜の中山1レース(ダート1200m)で無事デビューすることができました。
以前、ゲートについて心配な点を話しましたが、結果的にはゲートを無事に出ることができました。経験馬相手の初出走という状況ではありましたが、順調に乗り込むことができていただけに、欲を言えばもう少し上の着順に来て欲しかったと思うんですけどね(結果は⑧着)。
ただ、いつも話をしているように、我々にとっては着順よりも大事な部分があります。そして、そこを考えるのが自分たちの仕事だと思っています。
今回の
レディボロニヤについて言えば、まずゲートは普通に入ることができました。ただ、だからと言って不安がなくなったというわけではありません。
今回乗っていただいた蛯名さんも、上手にタイミングをとってゲートに誘導してくれました。今回については、すべてが上手く行っただけの話なんですよね。
実際にレース直前の金曜日、ゲート試験に合格した時にも乗っていた蓑島で練習をしたんですが、2回目にゲートに入れようとした時にゴネて、時間を要していたんです。
その時は、入れるリズムが少し悪かったということもあったんです。それでも、その程度のことで反応してしまっているようではダメなんですよね。
ただ、ウチに来てからの
レディボロニヤは、納得してくれさえすればゲートも含めてドッシリと構えていることができていました。また、レースでは誘導馬もいれば、これまでにないくらい多くの馬たちに囲まれる形になるので、気が紛れれば上手く行ってくれるんじゃないかという期待がありました。
正直なところ、馬は集団行動する動物ですから、他の馬の力を借りる形で対応してくれれば、という思いを持って送り出したんですよ。
こういう方法は、実は現場ではポピュラーなんです。障害馴致でも、1頭では飛ばない時に、飛ぶ馬の後ろに付いていくと多くの馬が飛ぶんです。ゲートを通らない馬であっても、前に付いていくような形だと通るようになったりします。
ただ、これが根本的に良い方法かと言われれば、決してそうではありません。人間の指示に従って行動しているわけではなくて、あくまで馬が馬に付いていく形で行動しているだけだからです。
馬に付いていくだけ、つまりは人間の意思通りに動いていないということは、馬術的な面で言えばたぶんダメなんでしょう。
しかし、これは僕の感覚なんですけど、競馬は相手に負けないという闘争心みたいな部分が大事で、それもないとダメだと思うんです。
そうなると、馬自身が持つ精神力というか、負けてたまるかというか、人間の意思を超えた部分みたいなところは残しておいた方が良いんじゃないかと感じたりするんです。
そういう部分については、またの機会とします。
それ以外でも、
レディボロニヤは左にしか逃げないので、調教でも右から攻めることで対応できます。そういった点でも、それほど難しいわけではないんです。これが牡馬で馬っ気が強いタイプとかだと、付いて行く馬を選ばなければならないなど、いろいろ大変になってくるんですよね。
体の状況についても触れておくと、
レディボロニヤはまだ力が付いていないために、重心が前になっています。どういうことかというと、トモに力が付いていないために、どうしてもハミを頼ります。そうなると、重心が前に来るわけです。
これがトモに力が付いてくると、重心がいまよりも後ろになって、もっとバランスの良い走りができるようになるはずです。
そうなると、ゲートでも踏ん張ることができるようになるので、よりスムーズにゲートにも入れるようになるでしょうし、発馬も良くなるはずなんですよね。蛯名さんも、その部分については同じような話をされています。
それと蛯名さんは、
「芝の方が良いんじゃないか?」とも言われていました。僕自身も
「本当にダートが向いているか?」と聞かれれば、疑問があるのが本音です。
番組的にも芝1200mがありませんでしたし、
サウスヴィグラス産駒ということもあったので、今回はダート1200mになりました。しかし、ダート向きという感じはないんですよね。
蛯名さんはこの馬のお母さんに乗られたことがあるみたいで
「体質が弱くて活躍はできなかったけど、とにかくフットワークが良い馬で、(レディボロニヤの母父にあたる)バブルガムフェローのしなやかな乗り味を受け継いでいた。その乗り味がこの馬にも伝わっていて、お母さんよりスピードもありそうだから、ダートより芝の方が良さそうだ」と追い切りの時点で話されていたんです。
また、ウチの先生も、レース後に
「レースぶりを見ると、芝の方が良さそう」と話をされていたようです。
ただ、いろいろな状況を考えれば、ダート1200mでも初出走を迎えられたことは、まずは良かったんじゃないかと思っています。
この後は、馬の状態を見極めながらになると思いますので、また何かありましたらお話をさせていただこうと思っています。
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