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【対談・小久保一徳氏②】カネツクロスは、日本で初めてチークピーシズを装着した馬
2018.5.16
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ローレルクラブ・小久保一徳氏…以下[小]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]カネツクロスの話を続けましょう。AJC杯の次走、日経賞では2着に負けてしまいました。

[小]ただ、AJC杯の後に的場さんが「G1を勝てるようにレースをしていく」と言っていたので、次も楽しみにしていたんですよ。

[西]そうしたら、春の天皇賞は挫石で回避を余儀なくされてしまうわけです。あそこから、一気に坂を転がり落ちることになってしまったんですよね。

[小]日経賞の次走、宝塚記念は6着に敗れてしまって、そこから一気に結果が出なくなってしまいました。何がなんだか良くわからない感じになっていったんです。

[西]宝塚記念は2番人気でしたよね。

[小]当時の社長と上司たちと、レース後に有馬温泉を予約して、宴を予定していたんです。後にも先にも、そんなことはありません。競馬は何があるかわかりませんから、そういうことはないのが当たり前なんですけど、あのときだけは予約して行ったんですよ。

[西]それが6着ですよ(苦笑)。あれが勝ったマヤノトップガンの2着とかだったら、また違ったかもしれませんよね。

[小]13頭立てでの6着でしたからね。

[西]実は、うちの家族で競馬を観に行ったのは、唯一あのレースだけだったんですよ。

[小]あ、そうだったんだぁ。折角というか、チャンスだと思ったんですけどね。

[西]そんなカネツクロスについて、小久保さんと話をしたかったのが、日本競馬史上初めてチークピーシズを装着したということですよ。

[小]そうでしたね。確か、現役生活の後半戦になって付けはじめたんですよ(※96年有馬記念などで装着)

[西]あれは的場先生が発明したと、上がり運動を一緒に乗りながら聞いたんです。

[小]運動を一緒に乗りながら、というところがまた良いですね(笑)。

[西]カネツクロスの話はいろいろしましたよ(笑)。なぜチークピーシズを付けるようになったかと言いますと、それまでは後ろから来られると力んで行くようになっていたそうなんです。それが1頭になると抜けて楽に走れたらしいので、後ろの気配が感じられないように、ということで馬具屋さんに言って作ってもらったそうです。

[小]それは初耳かも。

[西]ブリンカーだと視界が遮られることによって、逆に引っ掛かってしまいます。ですから、寄られたり、あるいは競られたりしたときだけ視界を遮るように、あのような形になったそうです。最初は、横にシャドーロールを付けようとしたそうなんですけど、バナナのようにカーブが付いた形状だったので、それを真っ直ぐにしてチークピーシズができたということでした。

[小]そうだったんだぁ。でも効果はあったと思うんだけどなぁ。



[西]横に馬体を併せるくらいの形になってしまうとあまり効果が発揮されなかったみたいですけど、少し来られたくらいなら掛からなくなった、と仰っていました。

[小]ピークピーシズがカネツクロスからなんて、ある意味凄いことだと思います。いまでは珍しくありませんからね。

[西]そのチーク、今ではブリンカーの軽いタイプみたいな認識をされていたりします。でも、集中力を欠いたり、走る気がない馬に対しての矯正馬具がブリンカーとされるのに対して、チークは行く気になってしまう馬の気持ちを逸らして掛からないようにするために発明された、というのが真実なわけですよ。

[小]そう考えると、いまはちょっと違う感覚かもしれないですよね。

[西]今はブリンカーほど強くないけど、前向きにしたいという目的に使われている感じがありますよね。それにしても、これはけっこう凄い話じゃないですか?

[小]カネツクロスの力を引き出そうと、的場先生をはじめみんながいろいろ考えた結果、チークピーシズが生まれたということですからね。

[西]話は変わりますけど、小久保さんは関東で厩舎を回られていらっしゃいますけど、関西も行かれるんですか?

[小]現在の組織になってからは、関西の担当者がいます。でも、当時はほとんど私ひとりでした。

[西]えっ、それは大変でしたね。そういうなかでのカネツクロスは思い出深い1頭だったりしますよね。

[小]思い出深いなんてもんじゃないですよ。忘れられない存在です。

[西]あの当時、ひとりで何人くらいの会員さんに対応されていたんですか?

[小]確か、当時は4、500人くらいの会員さんがいらっしゃったと記憶しています。

[西]400人としても、ひとりで相手にされるのは大変でしたね。当時は何頭くらい募集されていたんですか?

[小]多い世代で5頭くらいだったと思います。

[西]馬と会員さんと、それは大変だわ。

[小]なかなか個人的なお付き合いというのはできませんでしたけど、長い時間お付き合いさせていただいている方もいらっしゃいます。

[西]この前、パーティーにお誘いいただいてありがとうございました。このコーナーでもお話をさせていただいたんですけど、会員の方々とお話をさせていただいて、本当に良かったと思っています。あのように会員の方々とお話をする機会というのは、我々現場の人間は決して多くはありませんので、新たな発見があり、そして何より馬と人、人と人との繋がりみたいな部分を感じることができたんです。

[小]そう言っていただけるならば、良かったです。

[西]ウチの先生が出張のために出席できないという状況でしたから、元々小久保さんとの繋がりがあった僕がお誘いをいただいたんですよね。



[小]ウチも実際、調教助手さんをはじめとする現場の方々に出席していただいたのは、今回が初めてだったんです。でも昔から知っている西塚さんですし、かしこまることもなく、来てもらえればと思って、お誘いさせていただきました。

[西]先生の代理的な立場ということでしたが、昔から知っている小久保さんにお誘いをいただいたということで、僕自身としては喜んで参加させていただきましたし、本当に楽しかったんですよね。馬のことが好きで、馬の話がしたいという会員さんの姿に、本来の競馬の楽しみ方と言いますか、クラブの会員の方々の姿をみたように思います。

[小]そう言っていただけて光栄です。いろいろな会員の方々がいらっしゃいますけど、皆さんご自身が出資していただいている馬たちを懸命に応援されていて、我々としては出来る限りそのサポートをさせていただくべく活動しています。競馬ですから、なかなか思い通りにいかないことも少なくないなかで、長く会員でいていただける方々が多いことは本当に感謝しています。

[西]ブッチャけさせていただきますけど、負けることや、あるいは失敗することが許されない風潮というのが、今の日本社会に蔓延しているように感じます。そしてそれは、競馬の世界も同じだったりします。でも、競馬は一般の社会と同じ、いやもっとかもしれませんけど、上手くいかないことが圧倒的に多いのが現実なんですよ。

[小]本当に1勝することは、大変なことなんですよね。

[西]そういう部分を理解されている会員さんが多いように思いました。

(※次回へ続く)

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