競馬のギャンブルという側面から逃げずに、依存症対策を考えるべき
2018.6.13
現在、IR(カジノを含めた統合型リゾート施設)法案が国会で審議中とあって、何かとギャンブルが話題に上がっています。
また、先日はNHKのニュース番組で競馬場が取り上げられました。競馬場は親子揃ってピクニック感覚で楽しめる施設が多い、というテーマだったんですが、その中で親子連れで来ていた子供たちに馬券の種類や馬の見方などをJRAの職員が教え、どの馬が1着になるか予想して応援する、というシーンがあったんです。
そのシーンに対する厳しい意見が、ギャンブル依存症の人を家族に持つ方からSNSで発信されました。その方は、10歳未満でギャンブルを開始することや、ギャンブルをする家族がいることは依存症になるリスクを高めるので、その対策をしっかりやるべき、といったような主張をされています。
そんな意見に対して、いろいろな意見が飛び交っていました。競馬ファンの方々からは『競馬はギャンブルだけじゃない』など、様々な反論がありました。
もちろん、競馬はブラッドスポーツとも言われるように、世界ではスポーツという認識をされていますし、確かにスポーツである部分も大きいものです。しかし、その一方で、馬券が売られ、その売り上げで運営されているという現実があるわけですよ。
ですから、現実として競馬とギャンブルは切っても切り離せないものです。生意気な言い方かもしれませんけど、競馬はギャンブルだという意見に対して、真っ向から否定するのは良くないと思うんです。
その上で競馬が好きな方々、そして競馬に携わっている我々のような人間は、ギャンブル依存症で苦しんでいる人や、その家族がいるということを知るべきだと思うんです。
そういったことを知った上で、我々がとれる対策はいくつかあると思います。
まず、冒頭のテレビ番組にあったような、子供とギャンブルの関係についてです。例えば僕自身、お酒もたばこも好きですが、これは身体に悪いものだという認識をして飲んだり、吸ったりしています。それは、身体に悪いものだと子供の頃から教わってきているから、そう思えるんじゃないでしょうか。
そして、そういったことを教わった場面で、子供にたばこを吸わせたり、お酒を飲ませたりはしませんでした。冒頭のテレビ番組のように、子供に予想をさせた上で、“ギャンブル依存は怖い”と言っても説得力がないし、その判断力はまだ子供にはないと思います。
競馬場に子供を連れてくるなというわけではなく、判断力がまだ備わっていない子供をギャンブルに触れさせるのは、やはり慎重にするべきだと思うんです。
もうひとつ、ファンの方々に対しても、競馬が持つリスクについて、改めてしっかりと教えることです。馬券を購入する人たちに、『あなたの財産をなくしてしまう可能性がありますので、馬券の買い過ぎには注意しましょう』ということを、もっと伝えていかなければならないんじゃないかと。
さらに、依存症の方々やそのご家族に対して、例えば入場制限などの形で更正への手助けを行うなどの対応をすることもありなんじゃないでしょうか。
このようなことは、競馬がより長く、そして繁栄していくためには必要不可欠ではないかと僕は考えます。皆さんはどう思うでしょうか。
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