思った結果が出ない原因は、馬の走法にある可能性も?
2018.6.27
最近、実は馬に関して悩みというか、難しいな、と感じていることがあるんです。いつも悩んで考えていますが(笑)、今回の話は特にそうなんですよ。
何かというと、頭が低く、走りが伸び切った感じで、いわゆる“ハミにぶら下がって走る”と言われる馬のことなんです。
ウチにもそういう馬がいるんです。すごく良い馬で、入厩した当初に普通キャンターに乗った時には、最低でもオープン、重賞を勝てる、という感覚を覚えた馬がいました。
手綱を持っている段階では、これを放したら凄い加速を見せて、どこまでも伸びていきそうだな、という雰囲気を感じるんですよ。
しかし、いざ放すと脚がなくなってしまうんです。
レースで走った時は、手綱で起きるように促して、頭を少しだけ上げさせるようにしました。そうすることでトモを動かすように仕向けると、格好良い走りになって、手応え十分に映るんですよね。
でも、追い出すと全身を使えず、前輪駆動で走ってしまって、結局は伸びることができないんですよ。
最初のうちはまだ良くて、競馬でも結果が出たりするんです。でも、徐々にぶら下がり方が酷くなってしまうことも多いんですよね。
これは簡単に言えば、走る時に全身を使っていなくて、正しいフォームで走れていないということです。本来、しっかりと全身を使って走れている時は、頭の位置が必要以上に低くなることはないはずなんです。
要するに、そういった走りをする馬のほとんどが前輪駆動で走ってしまっていて、トモ(後肢)が十分に動いていないということなんです。
その原因として、まだトモに力がついていないとか、何か疾病があるためにそうなってしまっているケースがあります。
それならば治療をしたり、あるいは重点的に力を付けるように調教をすれば良いんですけど、そうじゃないケースもあります。馬がそのフォームで走った方が楽だと感じてしまって、そういう癖がついてしまっている場合があるんです。
また、体の問題ではなく、競馬に行ってのテンションだったり、いざ苦しくなったときに楽な方向に逃げてしまうということもあったりします。
いずれにしても、遅いところでも速いところでも、同じような頭の位置で走れることがベスト。ではそうするためにはどうすればいいのか、ということになります。
ひとつの手段として、普段の攻め馬から起こすように乗ったり、坂路を乗るのも良いとされています。
そんな感じで、乗って修正できるだけの技術があればその方法で対応していくんですけど、正直それだけで修正できる人はそうそういないと思います。
ではどうするのか。乗る技術が決して上手くない僕としては、矯正器具を装着して、ロンジング(※)を行う方法しかないと思っています。
(※)調馬索運動とも言われる。円形の馬場で馬を回るように走らせること。ヨーロッパなどでは、シーズンオフにハミ受けと身体の使い方を修正するために、人が乗らずに草原をドライビングして歩くといいます。しっかり馴致がされて、しっかり乗られていたとしても、日々の中でズレが生じてしまうことは珍しくないんですよね。
それを矯正するためには、基本的な運動ですが、ロンジングは一番有効だと思っています。
今回は自分の話でしたが、ウチに限らず、そういう問題を抱えている馬は意外と多いんです。思ったような結果が出ない理由がそこにあったりするかもしれませんので、レース後の騎手の方のコメントに注目してみてください。
また、そういう馬がどういう走りをしているのかを見てみると、予想の参考になるかもしれませんね。
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