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ヴィーヴァヴォドカ、サンアディユなど、村田さんの深い馬の話を堪能してください!
2009.07.16

先週の対談について、一部の方からマニアック過ぎますという反応をいただきました。写真付きで説明してほしいという声もありましたので、いつか時間が許す時に馬具特集というのもありかと思っております。

あっ、ちょうどロンギをかけている馬がいるので、鮮明に写るかどうか分かりませんが、掲載させていただくために、写メで撮ってみますね。

↑ロンギをかけているところ

それでは、今週もマニアック過ぎるかもしれませんが、村田さんとの対談をどうぞ。

[村田一誠騎手(以下、村)](ヴィーヴァヴォドカは)まだまだ変わってくるよ。というか、これブッチャけトークだよね? 言っちゃうと、フラワーCで返し馬をした段階では、正直、これ未勝利は何とか勝てるかなぁという感じを手応えとして受けたんだよ。それで(フラワーCを)勝っちゃったわけだよね。だから、ブッチャけ、『えっ、勝っちゃったの!?』って感じだった。

[西塚信人調教助手(以下、西)]それが、あの笑いのない、面白くない、村田さんらしくないインタビューにつながっていくわけですね。

[村]そうなんだけど、真剣な話をすれば、レース後に桜花賞に行く可能性が高いということを(勢司)先生が言っていたんだよね。だから、『パワーアップしなければ正直厳しいですし、あの段階では通用しない。どこまで変わってくれるかでしょう』って、正直に話をした。それが桜花賞で跨った時には、その時点の100%に仕上げてもらったという感触を覚えたし、『これなら重賞勝つわ』って思ったんだよ。

[西]桜花賞前って跨ってなかったんですか?

[村]そう、跨ってないんだよ。いまの時代は、勝ったからって次も乗せてもらえるって限らないじゃない。あの時も代打って思ってたからね。ただ、俺の中に『この馬、仕上げるのは難しそう』というイメージがあってさ。先生に、『もし次も乗せてもらえるのであっても、攻め馬には乗りません』って言ったんだよ。難しいという感覚があって、俺にはつくれないんじゃないかと正直思った。普段乗って、あの馬をよく分かっている人が追い切りも掛けた方が良いと考えたんだよね。

[西]その桜花賞はダメでしたよね。

[村]ダメだった(12着)。あの時は2番手となったんだけど、馬がムキになってしまって。あのレースは力を出し切っていないし、走っていなかった。

[西]そういえば、オークスの最終追い切りは跨っていませんでしたか。

[村]跨った。先生に初めて、『村田頼む、最終追い切りだけ乗ってくれ』って言われたんだよ。だから、『先生が言うのであれば、分かりました』と乗ったんだ。先生は俺のことを分かってくれていて、乗りませんって言ったら『お前、乗らなくていいからな』って言ってくれる。俺の言葉の意味を理解してくれているし、馬を理解しているんだよね。その先生が言ってくるのだから、何かあると察しが付くでしょう。

[西]確かに。それで追い切りはどうだったんですか?

[村]それが本当にビックリしたというか、させられたんだよ。フラワーCから桜花賞、桜花賞からオークスという短い時間の中で、馬ってこんなに良くなるのかって思った。ブッチャけ、違う馬に乗っているんじゃないかって思ったくらい。


[西]へぇ、そうだったんだぁ。

[村]桜花賞の追い切りも見てたんだけど、最後に頭を上げて遊ぶようなところを見せていたんだよ。それがオークス前に乗った時には、坂路で47秒という速いタイムを出したから、苦しくなって多少頭は上がり気味になったけど、その意味は違ったんだよ。走ることに対して嫌気を感じたわけではなく、最後までしっかり入って走ることができていた。また、背中の感じも良くてさ。だから俺、勝つつもりでいたんだよ。

[西]オークスで行くっていうのは決めていたんですか。

[村]うん。やはり、いちばん結果が出ているからね。でも、ホント、馬は変われるんだって教えられたよ。

[西]そうだったんですね。話は戻っちゃいますけど、フラワーCの時はもう少し人気になっていてもいいところだと、個人的には思ってたんですよ。

[村]そうなんだよ。未勝利を勝った時もすごく良い時計で走っているんだよな。

[西]レース前に、オッズを見ていて「あれっ」って感じでしたもんね。メンバーを見渡した時、これはあるなって思いましたから。

[村]俺が乗ってるからだよ。

[西・村](爆笑)

[西]ディアジーナの人気は仕方がないにしても、他とはそれほどじゃないと思っていましたからね。

[村]まあ、確かにディアジーナが人気になるのは分かる。

[西]というか、僕たちは馬券は購入できませんから、当然興味もないんですが、オッズと馬の力が一致しないレースって、結構ありますよね。

[村]ブッチャけ、あるね。やはり、乗り役人気となっている時もあるよ。

[西]そうなんですよね。この馬でこんなに人気になるんだっていうことが、見ていると結果あるんですよ。ちなみに、僕はダービーのアンライバルドは、個人的には人気になり過ぎかなと感じたんですけどね。

[村]でも、あれは仕方がないんじゃない。皐月賞の勝ち方を見たら、やはり強いと思うでしょう。

[西]ただ、それでもそんなに差があるかって思った。

[村]いまはさ、前売りもあるし、あんな馬場になるとは思っていない段階で買っちゃっている人たちも結構いただろうからね。

[西]ああ、確かに。ただ、オークスのブエナビスタとそれほど差がないくらいの支持になってたわけですからね。そう考えると、そこまで差はないんじゃないかと思ったわけですよ。そんなケースが、特にG1に多いという印象を受けるんですよね。未勝利とか500万円って成績通りというか、想定通りだったりすることが多い。だって、フェブラリーSのビッググラス(07年)だって、もっと人気になって良かったと思いませんか。俺は勝つと思ってましたからね。


[村]ブッチャけ、あの時もちょっと自信あったんだよ。まあ、G1だし勝つかどうかは別にして、いいところはあると思っていたし、確かに人気はなさ過ぎだと思った(9番人気)。少なくても前哨戦を勝っているんだからね。

[西]そうなんですよ。しかも、根岸Sだって決して楽なメンバーじゃありませんでしたし、ラッキーじゃなかったですからね。

[村]しかも、強い勝ち方だったから。

[西]そう、そういうように、力とオッズが比例しないというか、おかしいなと感じることがあるんですよ。また話が変わっちゃいますが、その根岸Sは勝っちゃったっていう感じだったんですか?

[村]ブッチャけ、勝っちゃったみたいな感じだった。ただ、馬主さんが知っている坪野谷(和平)さんということと、よく乗せていただいている中尾秀先生の管理馬ということで、それまでのレースを見てたのよ。人気はなかったけど、その前の勝ち方が良くて、普通に掲示板くらいは載れるんじゃないかとは思っていた。でも、いざ競馬に行ったら思ったよりも行けなくて、まあリズム崩さずに行くしかないと後ろから進めたんだよ。そうしたら、4コーナーでは前の馬に乗り掛かっちゃうくらいの勢いと手応えでさ、ヤベェ、ヤベェみたいな。それで、直線離したら、今度は伸びる、伸びるみたいなね。

[西・村](爆笑)

[村]でも、重賞勝つ時はそんなもんなのかもしれないって。

[西]そうなんですかね。あと、村田さんが勝ったサンアディユは、あの後に残念なことになっちゃいました。物議を呼んだらしいんですけどね。

[村]俺の意見を言わせてもらえば、仕方がないと思う。あのようなアクシデント、それも含めて、運命だったんだと思うよ。

[西]やはり、そう思いますか。

[村]あの馬もやはり馬が怖いのよ。だから、競馬では常にドキドキしていたはずだよ。あの時もゲートで暴れちゃったけど、そういうドキドキが重なっていっていたんだろうし、それがあのような形で出てしまったと思うけど。結局、あの時にしても走らなかったけど、やはりドキドキしていただろうし、そういう疲労が時間を掛けて重なっていっていた結果であり、それは運命の部分が大きかったと、俺は思う。

[西]極端に馬を怖がる馬とか、極端に物見をする馬たちっていますけど、上のクラスに行くとそういう馬たちって多いものですか。それだけ極端な反応を見せるということは、気性が強いわけですよね。

[村]体力的な問題じゃないと思うんだよ。例えば、俺が競馬で1頭しか乗りませんでした。でもその馬は圧倒的な人気を背負っています。それに対して10頭乗っています。ただ、すべて人気がなかったとしたら、ブッチャけ1頭の方が疲れるよ。体力じゃないんだよね。精神的に疲れるんだよ。

[西]精神が強ければ強いほど上で成功するわけじゃないのかな。どうなんだろう。サンアディユやグラスエイコウオーは馬が怖い。その反動として走っちゃうという部分もあるんですかね。

[村]怖いから走っちゃうというのはあるよ。

[西]よく慣れるとか言うじゃないですか。

[村]慣れていく馬もいる。でも、何度やっても慣れない馬っていうのもいるんだよ。よく砂を被るのを嫌がるって言うけど、競馬をしていく中で慣れていく馬もいれば、何度経験してもダメな馬はいるから。

[西]やっぱり、いますよね。

[村]いる。もう慣れただろうと思ったら、また嫌がって、結局古馬になっても嫌という馬はいるよ。

[西]そう考えると、やっぱり簡単じゃないんですよね。分かったようなことを言う人たちもいるけど、馬というのはかなり難しいですよね。

[村]そうだよ。サンアディユは死んでしまったけど、音無厩舎が悪いわけじゃないからね。スタッフの人たちとかどうしようもできない部分は絶対にある。まして、馬はしゃべらないわけだし、精神的にどこまで追い詰められているかということだって、本当のところは分からないんだから。実際、心臓というか脈を計測したりしても分からないだろうし、しゃべれる人間だって分からなかったりするじゃない。

[西]そうですよね。言葉がしゃべれても心筋梗塞になったりするわけですからね。まして馬ですからね。

[村]心臓のこととかなら、なおさらだろうね。

[西]でも、それって大きなテーマかもしれませんよね。ある意味、言い方は悪いかもしれませんが、右トモが入らないとか、症状として見せてくれる方が簡単ですよ。アクシデントの可能性が高いとされる腸ねん転にしても、発汗して、回り始めた時には遅いと言われるくらいですから。馬は言うほど簡単じゃないし、本当に難しいと、やればやるほど感じちゃうんですよね。

[村]まあね。

[西]あっ、村田さん、何飲みますか? あれ、ホッピーあったんだ。じゃあ、俺はホッピーで。

[村]ジャパンじゃないの。

[西]はい。いまダイエット中なんですよ。

[村]何を言ってるんだよ。ブッチャけトークだからな。じゃあ、俺もジャパン。

[西]僕はホッピーですから。というか、霧筑波、久保田とかいろいろありますが。

[村]俺は新潟だろ。八海山だよ。

[西]じゃあ、八海山で。

[村]本当は何でも良いんだけどね。

[西・村](爆笑)

[西]そうですよ村田さん、アブミの話だったんですよ。長さについて教えてくださいって。

[村]アブミね。そうだなぁ、競馬と調教では長さが違うじゃない。例えば、ほとんどの馬の場合、返し馬はそれほど速いキャンターをするわけじゃないから、長めにしている。最初長めで、ゲート裏で詰めるんだよね。ゆっくりなキャンターの時に、馬をしっかりと御すというか、コントロールできる長さと、競馬の時のアブミの長さはやはり違うよ。

[西]返し馬の時の長さで、そのまま競馬にというケースってあるんですか。

[村]ある、ある。

[西]どんな時、どんな馬ですか。

[村]フラフラする馬とかだね。例えば、トモの入りが悪いからこそフラフラしてしまう馬もいるから。イメージとしては、なるべく広い範囲で挟んで支えてあげるという感じかなぁ。

[西]アブミって短い方が追いやすいんですか。

[村]そうなんだよ。昔、長いと格好悪いという意識があったんだけどさ、長いと追えないんだよね。腰を入れられないんだよ。

[西]そうなんだぁ。

[村]いや、慣れていないだけなのかもしれない。でも、やっぱり違和感を感じちゃうんだよ。慣れるには相当時間が必要だろうね。でも、間違いなく言えることは、短い方が追えるということだよ。

[西]村田さんって、短い方ですよね。短いイメージがあるんですよ。

[村]俺が短いイメージがあるって言うけど、みんなが持つイメージというのはおそらく勝ったレースというのがほとんどのはずでしょ。ということは……

今週はここまでとさせていただきます。いかがでしたでしょうか。

今週もマニアックな話になったかもしれませんね。でも、時間、そして酒が進めば進むほど、競馬の深い話になっていって、いかに村田さんが、馬そして競馬について考えているのかということが、ヒシヒシと僕には伝わってきました。

それにしても暑い! いやぁ、暑いですねぇ。対談の中でも言いましたが、実はダイエット敢行中ということで、この夏は調教中はオール長袖で頑張っていこうと思っています。

お陰さまで、順調に減量に成功しておりますので、次のライヴでは皆さまに変わった姿をお見せできると思います。ということで、最後はいつもの通り、『このコーナーの存続を決めるのは貴方のワンクリックですので、どうかよろしくお願いいたします!』。

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