今週は対談にプラスして、博康&上の方の映像もお送りします!
2009.12.3
先週の日曜日(29日)、無事ライヴを開催することができました。お陰さまで、一瞬でしたが、総立ちという状況になり、盛り上がっていただきまして、僕をはじめ、メンバー一同、大変嬉しく思っております。
会場に足を運んでいただいた方々、本当にありがとうございました。この場を借りて、お礼を申し上げさせていただきます。
年末に向けて一層力が入っておりますので、ぜひまたよろしくお願いいたします!
それではタナパク(田中博騎手)との対談・第3回をお送りします。今週は、最後に映像もありますので、よろしければご覧になってください。
[西塚信人調教助手(以下、西)]シルクメビウスのいちばんのセールスポイントはどこだと思う?
[田中博康騎手(以下、田)]いちばんは根性ですね。
[西]乗り味とかはどうなの?
[田]乗り味ももちろん良いんですが、とにかく走ることに対して一生懸命ですし、走りたくて仕方がない感じなんですよね。
[西]攻め馬とかは引っ掛かるのかな?
[田]相当みたいです。前回、追い切りに乗りに行きます、と言ったんですが、『乗らない方がいい』って言われたんですよね。元騎手で、攻め馬が上手な服部さんが手を焼かれているみたいです。
[西]それはかなりだね。競馬では?
[田]それが競馬はそれほどでもないんですよ。多少そういう面は見せたりもしますが、全然問題ない範囲です。
[西]そうなんだ。博康と言えば、俺の中ではコマンドールクロスのイメージが強いんだよね。未勝利戦を勝った時だったと記憶しているんだけど、逃げて強い競馬をしたことがあったよね。
[田]おそらく未勝利戦だと思います。ダートだったんですけど、7馬身差という大差の結果になったんですよ(07年2月24日中山2R)。
[西]逃げようと思っていたの?
[田]いえ、ウチの先生(高橋祥調教師)から『行ってみよう』という話があったんですよ。でも、結果的には見事にハマりました。
[西]その後のユニコーンSが初重賞騎乗だったよな?
[田]いえ、2回目です。
[西]あっ、福島牝馬Sが最初か。
[田]よく覚えていますねぇ(笑)。
[西]俺はちゃんと見守っているんだよ、博康の成長を(笑)。福島牝馬で、久保田厩舎だったか……いや、当てたい。
[田]久保田厩舎と言ってる時点で難しいかもしれませんね。
[西]これを当てたら、相当なタナパクマニアかな(笑)。
[田]間違いないと思いますよ(笑)。
[西]ヒントちょうだい。
[田]マイネルさんの馬です。
[西]いやぁ……ダメだ。答えを教えて。
[田]マイネルーシッドです。その時は1000万円下だったんですが、確実に出走できたのです。『乗るか?』と声を掛けていただいた時には本当に嬉しかったですよ。
[西]それは知らなかった。コマンドールクロスのユニコーンSが初重賞だと思ってた。
[田]同じ2年目で、時期的にも近かったですからね。
[西]まだまだ、タナパクマニアとしては甘いな。コマンドールクロスって良い馬に見えたけど、どんな馬なの?
[田]タイプ的には筋肉隆々というか、ブリッとしていて、光っていて、乗っていても良い馬でしたよ。
[西]あの馬って逃げなきゃダメというか、逃げた方が良いタイプなの?
[田]いや、僕がそうしてしまったんですよ。実は、あの馬、ノリさん(横山典騎手)が乗りたいって言っていたんです。『逃げなくても大丈夫だぞ』って言われたのですが、当時は減量(特典騎手)でしたし、積極的な競馬を意識して、そういう競馬を続けてしまったために、そういう競馬が形となってしまったんですよね。
[西]そういうことがあったのか。でも、攻め馬で見ても、競馬で見ても、大きくて、存在感のある良い馬だった。
[田]乗り味も良いですし、あの血統は本当に走るんですよね。プリンシパルSで3着にも来ているように、芝にも対応していましたから。あそこで2着だったらダービーに出走できていたんですよね。
[西]そうか。でも、今年の冬の小倉で一緒に仕事をして、改めて博康は真面目なんだと痛感したよ。
[田]そうですか。
[西]競馬で負けると本当に落ち込んで、悩んでいるように見えたんだよ。
[田]それはありますよ。負けるとメチャクチャ落ち込みますから。ただ、最近は切り替えるように意識を強く持つようにしているんですよ。それでも、まだ、『泣きそうな顔をして上がってくるなよ』とか言われますけどね(笑)。
[西]そう、そう(笑)。検量室で田辺とマユちゃん(黛騎手)の手伝いをしていた時に、博康が人気で負けたことがあったんだけど、物凄い落ち込みようだったんだよ。あと、コアレスリーヴァに乗ってもらった時、大きく出遅れることになってしまった。まあ、普段から乗っているから俺はよく分かっていたけど、人によっては『何をやってんだよ』ということになったりするよね。
[田]あります。出遅れてしまいましたからね。
[西]ただ、ゲートの出が良くないことは分かっていたし、博康にも話をしておいたのに、上がってきたら、もうこの世の終わりというような暗い顔をしていたのには驚いた。そして何度も『すいません』と繰り返していたしね。まあ、次の馬に乗った時には戻っていたから安心はしたけど、あぁ本当に真面目なんだなぁと思ったよ。
[田]いやぁ、落ち込みますよ。ただ、そこでなるべく早く切り替えなければと思いますし、最近は上手くできるようにはなりました。
[西]そうだよ。絶対にそうした方が良い。田辺なんか、と言ったら怒られるけど(笑)、ノボワールドで1本人気になった時、ゴールした後に他の馬に衝突されて落馬してしまったことがあった。でも、引き上げてきても何事もなかったように振る舞ってたと言えば聞こえはいいけど、ゲラゲラ笑って『落ちちゃったよ。信人さん、早く捕まえて』とか言ってんだから。
[田]あっ、そういうことありましたね(笑)。
[西]それを見ちゃうと、博康は本当に真面目だと思うよ。
[田]でも、田辺先輩のあの性格は、ある意味では憧れますよ。
[西]あっ、あの性格に憧れるって?(笑)
[田]はい。気持ちの切り替えも早いのでしょうが、やる気に満ち溢れていますし、本当に真面目なんですよ。でも、そう見せないというか、人に伝えようとしていないんですよね。僕も伝えようなんて思っていませんけど(笑)。
[西]そう、そうなんだよね、田辺という奴は。
[田]田辺さんは本当に凄いと思います。
[西]そうか。話は変わるけど、読者の方から『穴騎手という認識はありますか?』というメールが届いているんだけど、その辺はどう?
[田]そうですね、今年は結構穴を開けているかなぁという感覚はありますね。
[西]そうなんだ。俺的には、あんまりそういう感覚はないんだけどな。
[田]僕自身も『俺って穴騎手』と実感しているほどではないですよ。あくまで、データとかに出ているのを見た時に、『そうなんだ』と感じるだけです。自分よりも、身近に穴を量産する方がいらっしゃいますし。
[西]えっ、誰?
[田]大野さんですよね。あと、それこそ田辺さんも凄い時があるじゃないですか。
[西]大野ね。確かに、3着に入って波乱を演出とかいうケースは多いわ。こう言ったら失礼だけど、ちょっと足らないような馬をキッチリと3着にもってくるよ。大野は偉い。
[田]凄いですよ。田辺さんにも同じことが言えますけど、上手ですよ。
[西]人気とかは気にするの?
[田]いや、基本的には気にしませんね。ただ、競馬新聞とかを見た時に無印とかだと、ちょっと寂しいものがあります(笑)。
[西]そりゃ、分かる(笑)。じゃあ、ここ3走が18、10、16着という馬にダート1700mで乗るとすると、その時の気持ちは?
[田]それは勝ち、それがダメなら2、3、4、そして5着ということになりますし、さらには賞金が出る8着に何とかという思いですよね。
[西]俺の中では、セコ乗り騎手というイメージがないんだけど、やはり正攻法な競馬という意識が強いの?
[田]デビュー当初は、そういう意識だったというか、余裕がなかったこともありましたし、減量ということで「前で」というリクエストも多かったんですよね。2年目に44勝したんですが、そのほとんど、30勝くらいは逃げかまたは先行でしたから。セコ乗りを勉強する機会があまりなかったかなぁとも思います。
[西]なるほどね。デビューしたばかりだったら、『こう乗って』って言われれば、そう乗らなきゃならないからね。
[田]後ろから行って直線で勝負するとか、それこそ馬群を縫って追いあげるということもそれほど多くはありませんでした。
[西]こういう言い方をしたら失礼だけど、走らない馬に乗って自由に競馬をするということは大切なんじゃないかと思うんだけど。
[田]間違いないですよ。内スレスレを通りながら、開いたところ突いて、少しでも上の着順を狙っていく、というのは勉強になりますし、大切です。少しでも機会を見つけては、試みていますよ。
[西]とにかく、後ろの内でジッとしていて、バテてきた馬を交していたら、8着だった、みたいなこともあるからね。
[田]内ピッタリを回って、直線で馬群を捌いてくるという競馬を、走る馬に乗った時にもできたら最高だと思うんですよね。そういうことは大切だと思いますし、ここ数年はそういうことを意識しながら乗っています。
[西]ブッチャければ、逆に、減量が取れて乗り馬のレベルも多少下がっただろうから、そういうことを考えるだろうし、やりやすくなったところもあるだろうからね。
[田]そういう部分もありますし、いろいろ経験をさせてもらい、先輩たちの話などを聞いていて、考えさせられるわけですよ。行かせるだけではどうにもならないんだということは痛感させられます。
[西]競馬に乗ったことがないし、騎手の感覚というのは、正直、俺には分からない。ただ、そういう深みというか、独特の感覚というものがあるんだと、前回登場していただいた西田さん(西田騎手)をはじめ、騎手の方々と話をすると感じさせられるわけですよ。話が戻っちゃうけど、コアレスリーヴァに関しても、みんながゲートが悪いことを分かっている状況の中、転厩して2戦目で、しかも遠征しての競馬ということを考えると、想定内の出来事で、博康云々じゃないわけですよ。でも、それをいろいろ言われたりするのは可哀そうだなと思う。最近さ、小野次郎さんというベテランの騎手の方と一緒に攻め馬をする機会が多いんだけど、ウチの先生から『後ろをピッタリ付いていくように』という指示が出ると、まあ本当にピッタリとなるように次郎さんが調節するんだよ。
[田]なるほど。
[西]蹄が当たるか当たらないかの感覚にされるんだけど、ブッチャけ、乗っかかってしまうんじゃないかと思うと怖い。それを次郎さんはニコニコしながら振り返って楽しんでいるわけですよ。でも、あの状況を、さらに後ろや横にも馬がいて、しかももっと速いスピードの中でやると考えると、とてもじゃないけど俺には無理(笑)。読者の方に説明させていただくと、トレセン近くの武田牧場で武田記念という草競馬があるんですよね。それに、実際に出ている助手さんもいますけど、それさえも俺は嫌だと思うからね。
[田]いやぁ、許されるなら、武田記念とか、僕は一回出てみたいなぁと思いますよ(笑)。
今週はここまでとさせていただきましょう。
いよいよ、シルクメビウスと博康がジャパンCダートに挑みますね。本人も『一発狙っていきます』と力が入っているようですし、ぜひ頑張ってもらいたいと応援しています。
そして、先週、博康と上の方(松岡騎手)と話をした時の映像を載せさせていただきますので、どうぞご覧ください。
映像を見る
(※スマートフォンではご覧になれません)
ということで、最後はいつも通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。