小野次郎さんを迎えての対談が今週から始まります!
2009.12.17
今週から小野次郎さんとの対談がスタートします。
実は当初は対談を日曜日の夜にお願いしていたのですが、その日(13日)に次郎さんが落馬によって負傷されてしまったのです。
それにも関わらず、火曜日(15日)に歩様の悪いなか、ケガを押して対談をしてくださいましたことを、この場を借りてお礼を申し上げさせていただきます。
それではさっそく対談を始めます。どうぞ。
[西塚信人調教助手(以下、西)]今回は僕自身が待ち望んでいた小野次郎さんの登場になります。毎日、攻め馬を乗っていただいていまして、お世話になっております。
[小野次郎騎手(以下、小)]こちらこそ、お世話になっています。
[西]毎日会っているので、こうして向き合うと妙な感覚になりますね。
[小]敬語で話をされたことなどありませんからね。
[西]ちょっと待ってくださいよ。常に敬語じゃないですか(笑)。先週の段階で次郎さんの登場を予告させていただき、読者の方に質問を呼びかけたところ、メールが届いています。
[小]早過ぎでしょう。(対談が可能か)聞かれたのは水曜日だったじゃない。
[西]ブッチャけさせていただきますと、次郎さんを含めて何人か候補の方がいたのですが、年末年始ということで、まずは次郎さんということでお願いしたわけなんですよ。前置きはこのくらいにして、読者の方の質問に答えていただきたいと思います。まずは、「トップクラス(ユタカさんなど)の騎手が乗って凡走してから乗り替わって、人気を落としての2着、3着の激走が特に多いように思います」というようなメールが何通か届いていますが。
[小]メールを見せて。なるほど、みなさんいろいろな感想を持っているということね。でも、自分ではそういうイメージはないなぁ。
[西]例えば、武豊騎手からの乗り替わりがあったら、『いただき』という感覚はないということですよね?
[小]ない、ない(笑)。たまたま具合が良かったり、メンバー的に恵まれたり、あるいは展開に恵まれたりということですよ。
[西]前走で誰が乗っていたとか気にしますか? もちろん新聞とかは見るのでしょうし、やはり乗っていた騎手にその馬のことを聞いたりするんですよね?
[小](誰が乗ってたかは)気にはしないよ。ただ当然、新聞は見るし、その馬については、聞く時もあるし、聞かないというか、聞けない時もある。聞いた方が良いと思う。自分のイメージと違ったりすることもあるからね。
[西]やはり意識するのは癖とかになるんですか?
[小]癖ももちろんあるよ。ただ、騎手ってたとえ乗っていなくても、もし自分が乗っていたら、こう乗ってみたいというようなイメージを感じているものだと思う。それは個人によって違うし、指示が出ることもあるから、できるかできないかはまた別問題だけど、そういうイメージを抱いているはずだよ。
[西]よく騎手同士で、『ゲートの中がうるさい』、『右にモタれる』、あるいは『砂を被ると嫌がる』といった話をされていますよね。調教師や調教助手たちも同じような話をしますけど、やはり競馬で見せる姿が本当と言いますか、調教と違ったりすることが多いということですよね。例えば、調教では大丈夫なのに、レースではモタれるというようなことって多かったりします。そういう意味では、騎手の人たちの話の方が正しいというか、参考になりますか。
[小]少なからず、そういうところはあるよね。実際に乗って、競馬を経験しているわけだから。もちろん、調教師の先生や助手の人たちの意見も大切だよ。ただ、モタれる、モタれないということで言えば、調教よりもレースの方がより速く、より厳しい状況にあるはずで、それだけ苦しい。だから、調教では見せなくても、レースでは出すということになるわけだから。もちろん、その時々における馬自身の体調によっても、モタれる、モタれないということもあると思う。
[西]最近も、調教では大丈夫だったのに競馬では……というようなことが、何度かあったんですよね。
[小]競馬で良い成績を得ようとするなら、モタれる、あるいはモタれたことがあったということを知識として持って、それはできるだけ詳細に伝えた方が良いでしょう。もし右にモタれるとした時に、それが毎回じゃなかったとしても、騎手としては予備知識として、そういう部分を見せることがあったという程度でいいから、知っておきたいよね。
[西]そういうことですよね。今後、騎手の方々と話をする時は、そういう部分により気を遣いたいと思います。その他に読者の方からは、「逃げ、先行という戦法に好成績が出ていますし、小野次郎と言えば逃げ、先行というイメージが強いのですが、ご自身ではどう感じていらっしゃるのですか」というような質問が来ています。いかがですか?
[小]いやぁ、不思議ですよね。結果というのは、どんなことでも付いてくるものですし、例えば競艇で言えば、先行とかマクリ差しなどという戦術があると言われます。乗っている人の戦法というか、得意な形ということなのでしょうけど、僕たちの場合は、そういう意識はありません。我々が乗っているのは馬ですので、いくら自分自身が先行が好き、あるいは先行したいと思っても、先行できない馬に乗っていれば、そうできないものなのです。なので、実績的に『小野イコール逃げ・先行』と思われているのかもしれませんが、そういう意識はそれほどありません。でも、ひょっとしたら、運命なのかもしれないよ、騎手・小野次郎の(笑)。
[西]でも、逃げ、先行のタイプの馬に騎乗する機会がきたからって、『よし、逃げ、先行馬が来た』ということにはならないということですよね?(笑)
[小]そう、そういうことだよね。質問に答えられているかどうかということになると心配だけど、得意意識はない。
[西]なるほど。あくまで僕のイメージですけど、中舘さんはかなり行ってますよね。
[小]中舘さんは行ってるね。
[西]西塚厩舎の時に、『行けばいいんでしょ』って、乗る前にひと言残されて、そのままレースということがありました。
[小]直接聞いたことはないし、俺もイメージなんだけど、依頼する側のほとんどの人たちが『行ってくれ』って頼んでいるんじゃないのかな。そこは織り込み済みという感じなんだろうね。でも、形を作っているから大したものだと思う。
[西]中舘さんに限らず、そういう他の騎手に対して何かを意識したりするものですか?
[小]それほどはないよ。ただ、ローカルで行く馬に乗っていた時、もし中舘さんが同じレースに乗っていたら、『来るかもしれない』、あるいは『来るだろうな』というイメージというか、意識は持つね。
[西]そこでは実際、中舘さんが来ることは多いんですか?(笑)
[小]結構、来るもんだね(笑)。
[西]やっぱり(笑)。あと、競馬場とかコースによって、得意不得意という意識は、あったりするものですか?
[小]好き嫌いというのはあるかもしれないけど、得意とか不得意という意識はないよ。やはり、乗っている馬によって違うし、あくまで馬による部分が大きいからね。
[西]ちなみに好きな競馬場はどこですか?
[小]好きと言われて真っ先に思い浮かぶのは東京ですね。何と言っても広々としているから。
[西]広々としているからなんでしょうけど、東京が乗りやすいと言う人って多いですよね。逆に、嫌いと聞かれて真っ先に思い浮かぶのはどこですか?
[小]名古屋だね。
[西]中京競馬場ですね。具体的にどのようなところにちょっと…という感覚を覚えるのですか?
[小]暮れの名古屋などは特にそうだという意識があるんだけど、レースに乗っていて凄く忙しく感じるんですよ。ラップを見たら違うのかもしれないけど、乗っていると速いというか、スタートから手綱をしごいて行かなくてはないような、本当に忙しい感覚を覚えるんですよね。
[西]次郎さん以外にもそういうことを話す人がいますが、距離によってとかじゃいということですよね?
[小]そう。中距離でもそういう感じで、何となく忙しいという印象が強いんだよね。
今週はここまでとさせていただきます。
やはり毎日一緒に仕事をしているからなのですが、次郎さんとはどうしても馬についての話が多くなってしまうんですよね。来週以降、熱発した馬くらい発熱した話が続いていきますので、どうかお楽しみに。
あと、私事で恐縮なのですが、父西塚安夫の一周忌が、先週のこの日記の更新日であり、また絶対に忘れないということで言えばボーナスの支給日でもある、10日に行われました。
母が住む実家に、元の西塚厩舎のスタッフの方々が集まり、酒を酌み交わしながら供養していただいたのですが、みなさん新しい環境で前向きに頑張っているということで、おそらく親父も安心しているはずです。
それにしても1年というのは本当に早いですね。アッという間に過ぎて行ってしまったような気がします。時間の早さに負けないように頑張っていきたいと思います。
最後に、有馬記念終了後に行われるノビロックフェスティバルに向けて、準備を進めています。
詳細についてはまた告知させていただきますが、みんな忙しく、馬じゃありませんが良い意味で平行線という感じでライヴに臨むことになりそうです。
大阪、あるいは関東圏以外の方々から『ぜひこちらで』というメールもいただいているのですが、状況を考えるとなかなか厳しいのが現実なんですよね。なので、ぜひ足を運んでいただければと思います。
ということで、最後はいつも通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。