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5/5  NHKマイルC(G1)
東京11R 芝1600m 15時40分発走予定

目次
  1. その年のメンバーでレベルは一変
  2. ステップ別成績
  3. 今年の構成は?
  4. 内&前優勢?
  5. 肝心の展開をどう読む?
  6. 予想印入り出走表
  7. 有力馬・気になる馬の評価(無印含め●頭を解説)
  8. 万哲の決断馬券(買い目)

【その年のメンバーでレベルは一変】


NHKマイルCは年によって、メンバーレベルが一変します。大混戦で象徴的だったのは2007年。1番人気で②着だったローレルゲレイロ(前走・皐月賞⑥着)はレース出走時点では重賞未勝利馬。同馬の単勝5.5倍が示す通り、波乱が起きて当然のオッズ状況でした。優勝したブービー17番人気のピンクカメオは、桜花賞⑭着からの臨戦で、こちらも重賞未勝利馬。3連単で973万円の大波乱になりましたが、人気馬の実績が乏しい年は、波乱は避けられません。

ちなみに昨年1番人気だったカルロヴェローチェ(⑤着=単勝5.7倍)もファルコンS②着からの参戦で「今年のメンバーに入ったら、そこまで人気になったか?」という印象。過去10年、1番人気[2.1.1.6]、2番人気[3.2.1.4]。荒れるイメージがあるNHKマイルですが、それなりに力がある人気馬は結果も出している傾向です。

【ステップ別成績】


念のため、ステップ別の成績(過去10年)は以下の通り。

ニュージーランドTは[2.2.2.41]とそれなりに好走例はあるのですが、とにかく着外が多く、信頼度は高くないです。

やはり、前走G1組。桜花賞[2.2.0.13]、皐月賞[2.1.1.9]は、出走頭数はそれほど多くありませんが、効率良く走っています。

アーリントンC[2.0.5.23]、ファルコンS[1.0.1.18]も馬券対象になるケースもあります。この辺りは、その年のステップ別レベルで判断すべきでしょう。優勝馬の残る1頭、2021年シュネルマイスター(2番人気)は弥生賞②着からの参戦でした。つまり、優勝馬10頭は「前走全て重賞組、かつその重賞は3月以降」でした。

優勝馬に限れば、前走が2月以前だった休み明けの馬は1頭もいません。ホープフルS取り消しで結果的に昨年10月のサウジアラビアRC以来になったゴンバデカーブース、2月のクイーンC②着以来のアルセナールは、正直過信は禁物では?

【今年の構成は?】


今年は朝日杯優勝馬ジャンタルマンタル、阪神JF優勝馬アスコリピチェーノのG1優勝馬2馬が揃って出走。NHKマイルCにG1馬2頭が出走するのはご存じの通り、2019年のアドマイヤマーズ(朝日杯FS優勝)、グランアレグリア(桜花賞優勝)以来で、この時はアドマイヤが優勝、グランアレグリアが⑤着でした。

その他もニュージーランドT優勝馬エコロブルームこそ回避しましたが、アーリントンC優勝馬ディスペランツァ、ファルコンS優勝馬ダノンマッキンリーなど、前哨戦を勝った馬たちが駒を進めてきました。結果、出走馬18頭はすべて前走重賞組。収得賞金400万円(優先出走権獲得馬は除く)の馬でも出走できた昨年と比べても濃いメンバー構成。G1馬2頭が人気を二分しているオッズを見ても、昨年のような波乱度は感じません。

【内&前優勢?】


開催3週目に入った東京コースの芝は内寄りの傷みがさほど進まず、上々のコンディション。土曜の東京競馬のレースは「内&前」を走る先行型の活躍がとにかく目立ちました。そして、時計も速かったです。

NHKマイルCと同じマイルで行われた4R・3歳未勝利戦は2番手追走の3番人気ニシノインディクタが2番手から抜け出して1分33秒7。②着は前半3F35秒4(レース後半3F34秒3)のSペースで逃げた2番人気ドリームクルーズが粘って②着に残りました。前に行った2頭の先行決着。未勝利戦でこれだけの時計が出れば、3歳限定のG1とはいえ、NHKマイルCは「1分32秒台前半」の高速決着にまずなるでしょう。極端な前崩れの乱ペースにならない限り、前の馬が速い上がりを駆使するのなら、後ろからかわすのは至難とみます。

6R・3歳1勝クラス(芝1400m)も道中で前に行った3頭が結果的に③着までを独占しました。2番手から抜け出して勝った2番人気ニコラウスは1分20秒8の好時計。あと1F12秒台と換算しても、やはりNHKマイルCのG1レベルなら、楽に「1分32秒台前半」は出るでしょう。速い馬場への対応力。ある程度は好位で流れに乗れるスピードは不可欠です。

【肝心の展開をどう読む?】


それなりに先行型はいますが、といって飛ばす馬も少ないメンバー構成。シュトラウスあたりが掛かってしまうケースは別として、ほぼ「Mペース想定」とみます。

逃げるのは、ニュージーランドTは好位で力んでいたキャプテンシーが有力。内枠のノーブルロジャーは毎日杯(②着)が、2番手からの粘り込みで同様の戦略が理想? 他では、超SペースのアーリントンC(②着)で2番手に行ったアレンジャー、ニュージ-ランドT(③着)をスロー逃げで粘ったユキノロイヤルも競ってまでハナ主張は考えにくく、先行勢は折り合いそう。それなりに流れた皐月賞(③着)で2番手に行ったジャンタルマンタルは4~6番手付近。ジャンタル、あるいはボンドガールが好位から強気に行くと、中団付近のアスコリピチェーノにも申し分ない流れですが、果たして?

ちなみに、久々のゴンバデカーブースがどんな位置取りになるかは想像つきません。サウジアラビアRCほど、後ろから行くとも思えないのですが…。

【予想印入り出走表 】


NHKマイルC(G1)
東京11R 芝1600m 15時40分発走予定

馬番 馬名 性齢 斤量 騎手
1ダノンマッキンリー牡357北村友
2ノーブルロジャー牡357松山
3ディスペランツァ牡357鮫島駿
4イフェイオン牝355西村淳
5ボンドガール牝355武豊
6ロジリオン牡357戸崎
7チャンネルトンネル牡357岩田望
8エンヤラヴフェイス牡357菱田
9キャプテンシー牡357M.デムーロ
10ウォーターリヒト牡357菅原明
11アレンジャー牡357横山和
12ゴンバデカーブース牡357モレイラ
13シュトラウス牡357北村宏
14アスコリピチェーノ牝355ルメール
15マスクオールウィン牝355岩田康
16ジャンタルマンタル牡357川田
17ユキノロイヤル牡357石橋
18アルセナール牝355横山武

【有力馬・気になる馬の評価】


◎⑯ジャンタルマンタル

積極的に動いた皐月賞がレコード決着で0秒1差③着の好内容。朝日杯FS優勝(1分33秒8)あたりまでは、そう時計は目立っていませんでしたが、超A級の内容でした。好位で自然と流れに乗れるスピードに加え、ラストまで持続した脚は今の高速東京向き。反応の速さはマイル向きでしょう。

皐月賞の1週間後には坂路入りできたほどで、目に見えるような疲れも感じられません。ローテ的には「デイリー杯2歳S①着→朝日杯FS①着→共同通信杯②着→皐月賞」は、皐月賞で③着と④着の違いこそあれ、2019年優勝馬のアドマイヤマーズと同じ。昨年のような雨が降って緩い馬場なら話は別ですが、高速決着対応力でクリアできるとみます。

○⑥ロジリオン

昨秋の京王杯2歳S(②着)の1分20秒7を含め、これまで軽めの芝の時計決着で堅実に走ってきました。東京芝は3戦2勝、②着1回と経験豊富なのも強み。前走・ファルコンS(⑤着)は最内馬番1番が響き、直線で完全に前が詰まってブレーキをかけたので基準外。リオンディーズ産駒は先週テーオーロイヤルが天皇賞・春優勝で、豊富な成長力を示したばかり。その父は朝日杯FS優勝馬で、1F延長のマイルが合わないはずがありません。人気薄の馬が穴をあけるNHKマイルCの傾向からも侮れない1頭。

▲③ディスペランツァ

アーリントンCは完全に前が残る流れでしたが、上がり3F32秒4の鬼脚で差し切ってしまったのが圧巻。馬群でレースができたのも、アバウトに外に回しては届かない今の東京コースの馬場傾向には合います。兄ファントムシーフとは違って、体形がコンパクトになった分、距離適性はマイル寄りにシフトした形。2走前の阪神1勝クラス優勝時の1分33秒4も決して悪くなく、あと1秒ぐらいは楽に時計を詰められるでしょう。1分32秒台前半の決着なら、人気以上に注目したいです。

☆⑫アスコリピチェーノ

阪神JFが1分32秒6、前走・桜花賞が1分32秒3。ことマイル戦の時計面だけなら、ジャンタルマンタルを上回っています。一方で、阪神JFは休み明けでもあれだけのパフォーマンスを見せた完全燃焼型。そこまで上積みが見込めるかどうか? 時計的な不安はない半面、昨夏新潟2歳S以上の牡馬の厚い壁は多少気になります。ジャンタルより後ろの位置取りになった時、差し切れる競馬になるかどうか? いまの東京の芝傾向も含めると、ちょっと気になる面もあります。

△②ノーブルロジャー

まだ戦法は固まっていませんが、シンザン記念(①着)は時計の出にくいボコボコした良馬場。前走・毎日杯(②着)は重馬場を利して2番手から粘り込んだというより、勝ったメイショウタバルとは道悪の適性差が出ました。東京1600mの新馬戦、それも良馬場で勝ったのが地味にプラスに働くとみます。マイルの速い流れでも、毎日杯のように「好位付け」できれば、いまの馬場もプラスになるでしょう。押さえるべき1頭。

△⑦チャンネルトンネル

NHKマイルCは「人気馬&人気薄」の組み合わせで高配当が多々あります。派手さはないけど、馬群を縫える根性や、重賞でも大崩れなく走ってきた力は、勝つまではともかく、3連圏内では侮れません。時計的には1月中山のジュニアC(②着)の「1分32秒9」はいくら馬場が出やすいCコース開幕週とはいえ、十分評価できます。元関東馬で、東京で勝っているのも強み。鞍上・岩田望来騎手のロスなく内を立ち回る騎乗ぶりに似合う馬番7番も魅力。派手さはないですが、順調の強みも強調できます。

△⑨キャプテンシー

1月中山の序盤戦の芝はいくら時計が出やすかったとしても、ジュニアCの「1分32秒5」は桁違い。時計的には「1分31秒台後半」も狙えるスピード馬です。前走・ニュージーランドTは好位で力んだのが影響しました。すんなり行けた時はいまの馬場傾向からも超不気味。すんなり行けそうなメンバー構成。粘っての2、③着は穴で。

△⑬シュトラウス

評価が難しい1頭。前進気勢が強すぎる分、折りあえるかが最大の鍵ですが、全能力を出し切った昨秋東京スポーツ杯2歳S(①着)だけ走れば、勝負になっても不思議ではありません。どの位置で、どんな競馬をするか? ファルコンSのように後方では厳しいかもしれませんが、ファルコンSが1400mにしては特殊なMペースで、もう少しG1で流れてくれれば、折り合い面にはプラス。気性的なものは別として、休み明けを使って、筋肉の張りが一段と良くなっています。想定8~9番人気付近のオッズなら、押さえたいです。

 ①ダノンマッキンリー

シュトラウス同様、こちらも前進気勢の強さが課題。ファルコンSは折り合って素晴らしい大外一気でしたが、今の東京だと、よほどの乱ペース=前崩れにならない限りは、ファルコンSの再現は難しいとみます。

 ④イフェイオン

桜花賞(⑪着)は着差以上の力差を感じました。使える脚が現状一瞬で、直線の長い東京よりは実際に結果を出している京都内回りや中山が向くタイプ。

 ⑤ボンドガール

評価に悩みました。発馬さえ決まれば、スッと流れに乗れる機動力は今の東京にピッタリです。問題は今年のニュージーランドT組のレースレベル。渋った馬場も影響しましたが、勝ったエコロブルームを基準にすると、勝ち抜いてこそ初めてここで勝ち負けできるレベルに思います。阪神JFを外傷で回避した影響もあったのか。前走の体はもう一段成長が欲しい印象でした。前2戦よりメンバーレベルはさらに強く、オッズには見合わない馬とみます。

 ⑧エンヤラヴフェウイス

昨秋のデイリー杯2歳S(②着)は勝ち馬ジャンタルマンタルとは0秒3差でしたが、それ以上に力の差を感じました。今年の低調な成績では一変は難しいとみます。

 ⑩ウォーターリヒト

シンザン記念(③着)、きさらぎ賞(②着)の京都の連続好走は、当時内寄りを中心に傷んでいた特殊な京都芝がプラスに働いた印象。持続力、速い時計決着への対応を問われる今の東京では苦戦必至。

 ⑪アレンジャー

内&前が残る今の東京で、アーリントンC(②着)のようにすんなり好位なら、ひょっとすると激走はあるかも。半面、前走の自身の前半3Fは36秒1とかなり遅く、これだけ遅い流れですんなり前付けできるとも思えません。もっと序盤から流れた時、本質的には短距離指向が強い分、底力負けしそう。

 ⑫ゴンバデカーブース

感冒でホープフルSを取り消し。中間に喉手術などもあり、肝心の今週の最終追いも反応面や体の締まりなど、物足りない面が残りました。過去2勝よりも、もっと速い「1分32秒台」を問われる馬場。順調さを欠いた分、様子をみたいです。

 ⑮マスクオールウィン

本質的にはスプリンター。フェアリーS(②着)のように後方差しが届く馬場や展開が理想ですが、今回の設定は真逆。

 ⑰ユキノロイヤル

逃げ、好位の器用な立ち回りで勝負してきました。馬場には合いますが、内&前に行くのなら、もっと内枠が欲しかったです。決め手がないので、好位以下に引いた時は伸びるイメージが現状合いません。コース的にも東京より中山向き。

 ⑱アルセナール

血統的には魅力ですが、使い込めない点、本格化はまだ先とみます。クイーンC(②着)のレベル自体も微妙で、馬券は「見送り」とします。

【万哲の決断馬券】


天皇賞は申し訳ありませんでした。NHKマイルCの「高額配当」の典型パターンは、人気馬と人気薄の組み合わせ。相手に穴馬も組み込んで、3連単も買ってみます。

券種・買い方 組み合わせ・点数
3連単1着固定
⑯→②③⑥⑦⑨⑬⑭
各100円(計4,200円)
馬連
⑯-③⑥
各1,000円(計2,000円)
馬連
⑯-②⑦⑨⑬⑭
各600円(計3,000円)
馬連
⑥-③⑭
各400円(計800円)
合計 10,000円

 的中!!  馬連⑭-⑯
3.6倍 × 600円 = 2160円
 的中!!  3連単⑯→⑭→⑥
85.2倍 × 100円 = 8520円
ご注意
レースに関する情報は、主催者発表のものをご確認ください。また、勝馬投票券の購入はお客様のご判断の元で行ってください。

記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
小田哲也 プロフィール
スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。2015年には宝塚記念で3連単52万馬券を当てるなど、万馬券メーカーであることから「万哲」という愛称で競馬ファンに親しまれている。2004年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、2009年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」パドック解説を担当中。

【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。


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