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函館スプリントS(G3)
函館11R 芝1200m 15時25分発走予定
開幕週の函館なので、芝傾向から言えば、当然内寄りの傷みも少ないので「内&前優位」になるのが通常のパターン。平坦の洋芝で能力差が出にくいのが特徴です。軽量になる3歳馬に有力馬がいると完勝パターン(2022年ナムラクレア)もありますが、ゴール前が接戦になるケースが多々あります。
過去10年で逃げ切り勝ちは3頭。2018年セイウンコウセイはG1馬の底力を見せた形で、②着ヒルノデイバローとはハナ差でした。2019年カイザーメランジェは「グリーンカル問題」(※)で競走除外馬が6頭出て、7頭立てとなった特殊なレース。レース前半3F34秒4~後半3F34秒0のSペースでした。ビアンフェが逃げ切った2021年は、札幌開催でクビ差勝ち。そして、2番手差しが2016年ソルヴェイグ、2020年ダイアトニック。過去10年、最終4コーナー2番手以内の馬の優勝確率が50%と考えれば、やはり前に行く馬が有利と見るのが妥当でしょう。
半面、前掛かりの展開になると、中団~後方差し馬も届きます。例えば、ティーハーフが最後方16番手から大外一気を決めた2015年は、レース前半3F33秒0~同後半3F35秒3の前傾ラップでした。小回りの函館なので、ハイペースといっても縦長の展開になるのは珍しく、団子状態で4コーナーを迎え、後方でも距離的にはそう後ろの位置ではありません。
昨年優勝のキミワクイーンは4コーナー10番手からの直線一気。前が残るか? 差しが届くか? 展開読みは大事になります。
過去10年の枠番別成績は次の通り。
開幕週なので「内枠絶対有利」と思いきや、実は内と外で満遍なく好走しているのもこれまでの傾向。白帽、黒帽で勝ち切ったのは2018年セイウンコウセイ(馬番1番)だけ。実は7、8枠からもバンバン好走します。
開幕週なので、どうしても内に殺到する分、内枠差し馬の前詰まりは負けパターンの典型。また、馬群が密集にするので、外を回ったとしても「馬場の中央ぐらい」というケースは多々あります。揉まれない中~外の差し馬は、展開の利があるのなら侮れません。
過去10年では桜花賞組が[3.0.0.4]と効率良く走っていますが、今年は3歳馬=軽量馬が不在。高松宮記念組が[2.0.2.22]、春雷S組が[1.1.1.9]、オーシャンS組が[1.1.0.4]で好走例があり、今年はこの組はいるので、やはり注目は必要でしょう。
前走距離的には1200mからのスライドが[5.5.4.66]でやはり主力。前走1600mが[3.2.2.12]と短縮組も目が離せません。洋芝で時計が掛かる函館なので、速くても「1分7秒台半ば」の決着と想定。軽いスピード勝負より、最終的には底力勝負になる例も多いです。
直線の短い函館なので「展開」も大きなカギとなります。ハッキリ降るかは微妙ですが、雨予報が出ているのも大きなポイントでしょう。
1番人気が濃厚のアサカラキングがスンナリ逃げられるのでしょうか? 個人的には簡単ではないと見ます。元々が1400~1600mが主戦場の馬で、1200mを使ったのは前走の福島のモルガナイトS(①着)だけ。開幕週の福島で前半3F33秒0はそこまで速くなく、引いてしまっては包まれる恐れもある黒帽の「馬番3番」が不利に働く恐れも。
行こうと思えば、シナモンスティックは昨夏のキーンランドC(②着)でもハナを主張して粘ったので、相当速いでしょう。カルネアサーダ、オタルエバーあたりもスタート次第では「逃げ」を選択しても不思議ではありません。Hペースとみます。
「枠の並び」的には、ある程度は行きそうなカルネアサーダを「起点」にして、外の馬が競馬をしやすくなる可能性は十分。
開幕週なので、雨が降ったとしても極端な悪化はないかもしれませんが、最終週の重馬場の函館で昨夏快勝したサトノレーヴ(勝ち時計1分12秒3)はレース序盤で包まれる懸念はある半面、間違いなく洋芝の道悪は「鬼」。オタルエバー、ビッグシーザーもある程度の道悪はこなすタイプでしょう。
函館スプリントS(G3)
函館11R 芝1200m 15時25分発走予定
春のG1後半戦は苦戦が続き、申し訳ありません。函館シリーズは大好きなので、何とか巻き返したいです。
2枠2頭に人気が集中した分、◎ジャスティンスカイからは「馬連」でもオッズ妙味があります。早めに雨が降る分には大歓迎です。
函館11R 芝1200m 15時25分発走予定
目次
- 脚質的には両極端
- 枠順傾向
- 理想ステップと距離
- 展開と雨予報
- 予想印入り出走表
- 有力馬・気になる馬の評価(無印含め16頭を解説)
- 万哲の決断馬券(買い目)
【脚質的には両極端】
開幕週の函館なので、芝傾向から言えば、当然内寄りの傷みも少ないので「内&前優位」になるのが通常のパターン。平坦の洋芝で能力差が出にくいのが特徴です。軽量になる3歳馬に有力馬がいると完勝パターン(2022年ナムラクレア)もありますが、ゴール前が接戦になるケースが多々あります。
過去10年で逃げ切り勝ちは3頭。2018年セイウンコウセイはG1馬の底力を見せた形で、②着ヒルノデイバローとはハナ差でした。2019年カイザーメランジェは「グリーンカル問題」(※)で競走除外馬が6頭出て、7頭立てとなった特殊なレース。レース前半3F34秒4~後半3F34秒0のSペースでした。ビアンフェが逃げ切った2021年は、札幌開催でクビ差勝ち。そして、2番手差しが2016年ソルヴェイグ、2020年ダイアトニック。過去10年、最終4コーナー2番手以内の馬の優勝確率が50%と考えれば、やはり前に行く馬が有利と見るのが妥当でしょう。
半面、前掛かりの展開になると、中団~後方差し馬も届きます。例えば、ティーハーフが最後方16番手から大外一気を決めた2015年は、レース前半3F33秒0~同後半3F35秒3の前傾ラップでした。小回りの函館なので、ハイペースといっても縦長の展開になるのは珍しく、団子状態で4コーナーを迎え、後方でも距離的にはそう後ろの位置ではありません。
昨年優勝のキミワクイーンは4コーナー10番手からの直線一気。前が残るか? 差しが届くか? 展開読みは大事になります。
(※)美浦6厩舎、栗東22厩舎に販売された飼料添加物に禁止薬物が含まれ、当週に156頭が競走除外となった。
【枠順傾向】
過去10年の枠番別成績は次の通り。
枠番 | 着別度数 |
1枠 | [1.0.2.14] |
2枠 | [0.1.0.16] |
3枠 | [2.1.1.13] |
4枠 | [1.1.3.13] |
5枠 | [1.1.1.16] |
6枠 | [1.2.1.15] |
7枠 | [2.1.1.16] |
8枠 | [2.3.1.13] |
開幕週なので「内枠絶対有利」と思いきや、実は内と外で満遍なく好走しているのもこれまでの傾向。白帽、黒帽で勝ち切ったのは2018年セイウンコウセイ(馬番1番)だけ。実は7、8枠からもバンバン好走します。
開幕週なので、どうしても内に殺到する分、内枠差し馬の前詰まりは負けパターンの典型。また、馬群が密集にするので、外を回ったとしても「馬場の中央ぐらい」というケースは多々あります。揉まれない中~外の差し馬は、展開の利があるのなら侮れません。
【理想ステップと距離】
過去10年では桜花賞組が[3.0.0.4]と効率良く走っていますが、今年は3歳馬=軽量馬が不在。高松宮記念組が[2.0.2.22]、春雷S組が[1.1.1.9]、オーシャンS組が[1.1.0.4]で好走例があり、今年はこの組はいるので、やはり注目は必要でしょう。
前走距離的には1200mからのスライドが[5.5.4.66]でやはり主力。前走1600mが[3.2.2.12]と短縮組も目が離せません。洋芝で時計が掛かる函館なので、速くても「1分7秒台半ば」の決着と想定。軽いスピード勝負より、最終的には底力勝負になる例も多いです。
【展開と雨予報】
直線の短い函館なので「展開」も大きなカギとなります。ハッキリ降るかは微妙ですが、雨予報が出ているのも大きなポイントでしょう。
1番人気が濃厚のアサカラキングがスンナリ逃げられるのでしょうか? 個人的には簡単ではないと見ます。元々が1400~1600mが主戦場の馬で、1200mを使ったのは前走の福島のモルガナイトS(①着)だけ。開幕週の福島で前半3F33秒0はそこまで速くなく、引いてしまっては包まれる恐れもある黒帽の「馬番3番」が不利に働く恐れも。
行こうと思えば、シナモンスティックは昨夏のキーンランドC(②着)でもハナを主張して粘ったので、相当速いでしょう。カルネアサーダ、オタルエバーあたりもスタート次第では「逃げ」を選択しても不思議ではありません。Hペースとみます。
「枠の並び」的には、ある程度は行きそうなカルネアサーダを「起点」にして、外の馬が競馬をしやすくなる可能性は十分。
開幕週なので、雨が降ったとしても極端な悪化はないかもしれませんが、最終週の重馬場の函館で昨夏快勝したサトノレーヴ(勝ち時計1分12秒3)はレース序盤で包まれる懸念はある半面、間違いなく洋芝の道悪は「鬼」。オタルエバー、ビッグシーザーもある程度の道悪はこなすタイプでしょう。
【予想印入り出走表 】
函館スプリントS(G3)
函館11R 芝1200m 15時25分発走予定
馬番 | 印 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 |
1 | △ | サウザンサニー | 牡4 | 57 | 菱田 |
---|---|---|---|---|---|
2 | カイザーメランジェ | 牡9 | 57 | 佐々木 | |
3 | ☆ | アサカラキング | 牡4 | 57 | 斎藤 |
4 | ○ | サトノレーヴ | 牡5 | 57 | 浜中 |
5 | オタルエバー | 牡5 | 57 | 角田河 | |
6 | シナモンスティック | 牝5 | 55 | 丹内 | |
7 | シュバルツカイザー | セ6 | 57 | 大野 | |
8 | △ | カルネアサーダ | 牝5 | 55 | 鮫島駿 |
9 | ▲ | キミワクイーン | 牝5 | 56 | 横山武 |
10 | ウイングレイテスト | 牡7 | 59 | 松岡 | |
11 | ◎ | ジャスティンスカイ | 牡5 | 57 | 池添 |
12 | ジュビリーヘッド | 牡7 | 57 | 富田 | |
13 | △ | ビッグシーザー | 牡4 | 57 | 坂井 |
14 | セッション | 牡4 | 57 | 藤岡佑 | |
15 | マテンロウオリオン | 牡5 | 57 | 横山和 | |
16 | △ | ゾンニッヒ | 牡6 | 57 | 武豊 |
【有力馬・気になる馬の評価】
◎⑪ジャスティンスカイ
前走を距離短縮で結果を出している点では魅力的。函館芝2000mの新馬戦②着。2戦目の札幌未勝利戦①着(芝2000m)の時は、札幌開催最終週の重い馬場で「稍重」の発表以上にタフな馬場でした。そこで楽勝した実績は、間違いなく洋芝巧者。前走・鞍馬Sは「1分6秒9」の自己新を計時した点でも、最後まで集中力が続く1200mは良いのでしょう。休み明け3戦目で体も絞れて、絶好の狙い頃とみます。○④サトノレーヴ
昨夏以降の充実が目立ちます。特に昨夏函館最終日の重馬場で好位から楽に抜け出して勝った1勝クラスは「洋芝適性」を見せつけたものでした。2走前の阪急杯(④着)は内有利の設定。②着アサカラキングとは、早めに内に付けられる序盤の先行力の差も大きかったと思います。今回は少し枠が内過ぎる印象はありますが、揉まれずに好位が取れれば。前走・春雷Sの「1分7秒1」で時計対応力も示しています。序盤の入り方次第で好勝負。▲⑨キミワクイーン
昨年の函館スプリントS(①着)の個人的な本命馬でした。キーンランドC(⑦着)は内荒れ馬場で内枠を引いてしまうなど、この1年間は「運」もなかった印象です。ただ、1600mのダービー卿CT(⑯着)の臨戦は着順はともかく、臨戦ステップは悪くないと思います。すぐ外のウイングレイテストが1200mでどれだけ行くかカギですが「枠の並び」も良いと思います。2走前のオーシャンS(⑤着)でも一応の脚は見せていて、主戦・横山武騎手との再コンビで激走がありそう。☆③アサカラキング
すんなり行ければ、函館開幕週なので有利でしょう。ただ、楽に行けると思っていません。今回のメンバーなら、前走の福島開幕週で「1分7秒7」を計時できる馬は数頭はいるはず。その前の阪急杯は、1400mも良かったと見ます。スタートでどれだけ行けるか? 万が一、包まれるとアウトでは。単勝2倍前後のオッズに見合う馬かと言われると疑問と考えます。あくまでも「前有利」での舞台設定での評価です。△①サウザンサニー
中間の調教が素晴らしかったです。特に5月22日には美浦Wコースでラスト1F10秒9。中味の濃い追い切りを消化していますし、3連勝中の勢いを感じます。もともとが札幌巧者で洋芝はピッタリ。先行激化なら、自慢の末脚が活きるシーンも想定できます。問題は最内馬番1番。この枠から外に出していては間に合わないので、2走前の中山(①着)のような内突きを狙うか。馬券的には外せない1頭。△⑧カルネアサーダ
アサカラキングと同じ理屈で「内&前有利」の設定で、昨年12月のタンザナイトSのように行き切ってしまえば脅威。典型的な洋芝巧者。雨の降り出しが早ければ、より威力を発揮するでしょう。侮れない1頭。△⑬ビッグシーザー
高松宮記念(⑦着)は重馬場というよりは内すぎる枠と、4コーナーでの他馬との接触が痛かったと思います。それでも大負けしていません。今回のメンバー構成は、2走前のオーシャンS(②着)だけ走れば届く相手関係とみます。北海道シリーズは初参戦ですが、パワー型で十分適性も感じます。△⑯ゾンニッヒ
この枠で武豊騎手。道中は馬任せで脚を溜めて、切れを活かす形でしょう。首尾良く中団の外を取れれば、ラストの決め手は侮れない。オッズ的にも妙味はあります。②カイザーメランジェ
5年前の優勝は特殊な少頭数。今の序盤の機動力だと、5年前の逃げは望めないでしょう。⑤オタルエバー
昨年12月のラピスラズリS(①着)までは良く、当時だけ走ればノーマークにはできないのですが、評価が難しいです。あっさり失速している前2戦を見ると、能力とは別の脆さを感じます。⑥シナモンスティック
アサカラキングを叩いて逃げてしまえば大穴候補。前走・春雷Sも自分の形は作れていました。ただ、私の今回の結論は「差し馬台頭」とみているので、このタイプの先行馬は推せません。⑦シュバルツカイザー
この馬にとっては、もっと「外枠」が欲しかったはず。中途半端に揉まれると、現状は脆さを感じます。見送り。⑩ウイングレイテスト
調教は十分動いていました。無駄な脂肪もなく、仕上がっているようです。ただ基本は先行脚質。59kgを背負って、1200mでいい位置を取れるイメージはありません。底力は十分ですが。⑫ジュビリーヘッド
昨年の函館スプリントS②着。ただ、その後がもうひと息で、函館巧者でも既に7歳だけに、一変は望みにくいです。⑭セッション
怖いです。このタイプの短縮型が展開次第では来るのが函館スプリントSです。ただ、差して好走するイメージはなく、この馬にとっては枠が外過ぎでは。⑮マテンロウオリオン
さすがにこれだけ敗戦が続くと、馬のメンタル面が気になります。【万哲の決断馬券】
春のG1後半戦は苦戦が続き、申し訳ありません。函館シリーズは大好きなので、何とか巻き返したいです。
2枠2頭に人気が集中した分、◎ジャスティンスカイからは「馬連」でもオッズ妙味があります。早めに雨が降る分には大歓迎です。
券種・買い方 | 組み合わせ・点数 |
---|---|
馬連 |
各2,000円(計4,000円)
|
馬連 |
各800円(計4,000円)
|
馬連 |
各1,000円(計2,000円)
|
合計 | 10,000円 |
ご注意
レースに関する情報は、主催者発表のものをご確認ください。また、勝馬投票券の購入はお客様のご判断の元で行ってください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
小田哲也 プロフィール
スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。2015年には宝塚記念で3連単52万馬券を当てるなど、万馬券メーカーであることから「万哲」という愛称で競馬ファンに親しまれている。2004年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、2009年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」パドック解説を担当中。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。