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マーメイドS(G3)
京都11R 芝2000m 15時35分発走予定
例年の阪神開催とは異なり、今年は京都で行われるので、近年の傾向が直結するかは微妙ですが、まずは過去10年の傾向を見ていきます。
1番人気は[2.1.1.6]で、これ自体はよくある数字。ただ、2番人気[0.2.1.7]、3番人気[1.1.1.7]、4番人気[0.1.1.8]、5番人気[0.1.2.7]と、上位人気馬が軒並み不振。対して、6番人気以下の優勝馬が7頭もいるので、人気薄の馬が絡んでくるとみるのが妥当です。
ハンデは53kgが[3.2.3.18]、51kgが[2.3.0.19]、55kgが[2.2.2.9]、50kgが[2.1.0.23]、54kgが[1.1.4.16]。優勝馬の上限ハンデは55kgなので、今年56kgのコスタボニータ、56.5kgのミッキーゴージャスあたりは、ハンデ的には疑ってかかる方が良いかもしれません。
前走重賞組の不振も目立ちます。過去10年の前走レース別の成績は次の通り。
パールSが(3勝クラス)[5.1.1.16]、福島牝馬Sが[1.2.2.23]、メトロポリタンSが[1.0.0.1]。そして、大阪城S、寿S(3勝クラス)、下鴨S(3勝クラス)がいずれも1勝ずつ。
重賞では、福島牝馬Sが辛うじて3連対を果たしていますが、他の重賞を使ってきた馬がサッパリ。対して、前走3勝クラス(負け組含む)からの優勝が計7頭。
前走で重賞を使っている馬はハンデが重くなるのがパターンで、重賞を使ってきた馬を狙うぐらいならば、「前走3勝クラス=軽ハンデ馬」を積極的に評価すべき重賞といえます。
ただし、ホールネスのような「前走2勝クラス」となると、過去10年で見ると最高着順は②着まで。前走重賞組の取捨はもちろん必要ですが、基本は「前走3勝クラス」が中心とみます。
梅雨時で、しかも開催が進んだ時季に行われる関係上、年によって走破時計が大きく変わってくるのも特徴。阪神開催時の過去10年では、2022年ウインマイティーの1分58秒3が最速タイム。これがマーメイドSのレースレコードにもなっています。「2分台」に収まっていた年も過去10年で4回もあり、時計不足の馬でも台頭できる余地があるのが阪神開催時のこれまでの傾向でした。
ただ、いまの京都の芝は様相がまったく違います。時計がかなり出ています。芝コースはDコース替わりの1週目。多少内寄りは傷んでいて、特に外回りコースの競馬では、内寄りを通らないケースが土曜の競馬では見られましたが、勝ち時計に関しては「速い」です。
マーメイドSと同じ内回り2000mで行われた土曜9R・稲荷特別は、4番人気マイネルメモリーが4角12番手からの外一気。②着は4角5番手から先に抜け出した1番人気カンティプール。勝ち時計は1分58秒4。
土曜~日曜の京都の天気は不安定ですが、日曜の日中は晴れ基調で最高気温も30度と高くなる予報です。2勝クラスで1分58秒4なら、重賞では「1分57秒台」のレースレコードもあるでしょう。もちろん、雨が降ってしまうと話は別ですが、少量の雨なら、例年の阪神とは違った「高速決着対応力」が問われるでしょう。
土曜11R・米子Sを逃げ切ったトゥードジボンが通った場所は内から5~6頭目あたり。各馬が内寄りを避けて走っていて、内寄りを通りたい逃げ&先行馬には辛い設定。「内枠」の馬には厳しい芝状態といえると思います。
マーメイドSの展開的には、最内1番のベリーヴィーナス、前走逃げ切ったアリスヴェリテが逃げ候補。好位差しがパターンのコスタボニータや、ゴールドエクリプス、タガノパッションなど、ある程度は位置を取りたいだろう馬も多いだけに「平均速め」の想定。中~外差しが決まる設定で、エーデルブルーメや、ミッキーゴージャス(ハンデ56.5kgは大きなカギですが)あたりにも申し分ない展開ともいえそう。最終的には軽い芝の時計決着に強い差し馬が優勢とみます。
逆に持ち時計がないホールネスは「雨頼み」となるでしょうか。
マーメイドS(G3)
京都11R 芝2000m 15時35分発走予定
◎エーデルブルーメは前走内容、ハンデ、舞台設定のすべてが向くので頭勝負。相手次第でそれなりにオッズが付くのも魅力です。仮に馬場が渋っても問題ない点は強調したいと思います。
京都11R 芝2000m 15時35分発走予定
目次
- とにかく軽ハンデ馬
- 前走重賞組はとにかく不振
- 今年は高速京都
- 展開は?
- 予想印入り出走表
- 有力馬・気になる馬の評価(無印含め16頭を解説)
- 万哲の決断馬券(買い目)
【とにかく軽ハンデ馬】
例年の阪神開催とは異なり、今年は京都で行われるので、近年の傾向が直結するかは微妙ですが、まずは過去10年の傾向を見ていきます。
1番人気は[2.1.1.6]で、これ自体はよくある数字。ただ、2番人気[0.2.1.7]、3番人気[1.1.1.7]、4番人気[0.1.1.8]、5番人気[0.1.2.7]と、上位人気馬が軒並み不振。対して、6番人気以下の優勝馬が7頭もいるので、人気薄の馬が絡んでくるとみるのが妥当です。
ハンデは53kgが[3.2.3.18]、51kgが[2.3.0.19]、55kgが[2.2.2.9]、50kgが[2.1.0.23]、54kgが[1.1.4.16]。優勝馬の上限ハンデは55kgなので、今年56kgのコスタボニータ、56.5kgのミッキーゴージャスあたりは、ハンデ的には疑ってかかる方が良いかもしれません。
【前走重賞組はとにかく不振】
前走重賞組の不振も目立ちます。過去10年の前走レース別の成績は次の通り。
パールSが(3勝クラス)[5.1.1.16]、福島牝馬Sが[1.2.2.23]、メトロポリタンSが[1.0.0.1]。そして、大阪城S、寿S(3勝クラス)、下鴨S(3勝クラス)がいずれも1勝ずつ。
重賞では、福島牝馬Sが辛うじて3連対を果たしていますが、他の重賞を使ってきた馬がサッパリ。対して、前走3勝クラス(負け組含む)からの優勝が計7頭。
前走で重賞を使っている馬はハンデが重くなるのがパターンで、重賞を使ってきた馬を狙うぐらいならば、「前走3勝クラス=軽ハンデ馬」を積極的に評価すべき重賞といえます。
ただし、ホールネスのような「前走2勝クラス」となると、過去10年で見ると最高着順は②着まで。前走重賞組の取捨はもちろん必要ですが、基本は「前走3勝クラス」が中心とみます。
【今年は高速京都】
梅雨時で、しかも開催が進んだ時季に行われる関係上、年によって走破時計が大きく変わってくるのも特徴。阪神開催時の過去10年では、2022年ウインマイティーの1分58秒3が最速タイム。これがマーメイドSのレースレコードにもなっています。「2分台」に収まっていた年も過去10年で4回もあり、時計不足の馬でも台頭できる余地があるのが阪神開催時のこれまでの傾向でした。
ただ、いまの京都の芝は様相がまったく違います。時計がかなり出ています。芝コースはDコース替わりの1週目。多少内寄りは傷んでいて、特に外回りコースの競馬では、内寄りを通らないケースが土曜の競馬では見られましたが、勝ち時計に関しては「速い」です。
マーメイドSと同じ内回り2000mで行われた土曜9R・稲荷特別は、4番人気マイネルメモリーが4角12番手からの外一気。②着は4角5番手から先に抜け出した1番人気カンティプール。勝ち時計は1分58秒4。
土曜~日曜の京都の天気は不安定ですが、日曜の日中は晴れ基調で最高気温も30度と高くなる予報です。2勝クラスで1分58秒4なら、重賞では「1分57秒台」のレースレコードもあるでしょう。もちろん、雨が降ってしまうと話は別ですが、少量の雨なら、例年の阪神とは違った「高速決着対応力」が問われるでしょう。
【展開は?】
土曜11R・米子Sを逃げ切ったトゥードジボンが通った場所は内から5~6頭目あたり。各馬が内寄りを避けて走っていて、内寄りを通りたい逃げ&先行馬には辛い設定。「内枠」の馬には厳しい芝状態といえると思います。
マーメイドSの展開的には、最内1番のベリーヴィーナス、前走逃げ切ったアリスヴェリテが逃げ候補。好位差しがパターンのコスタボニータや、ゴールドエクリプス、タガノパッションなど、ある程度は位置を取りたいだろう馬も多いだけに「平均速め」の想定。中~外差しが決まる設定で、エーデルブルーメや、ミッキーゴージャス(ハンデ56.5kgは大きなカギですが)あたりにも申し分ない展開ともいえそう。最終的には軽い芝の時計決着に強い差し馬が優勢とみます。
逆に持ち時計がないホールネスは「雨頼み」となるでしょうか。
【予想印入り出走表 】
マーメイドS(G3)
京都11R 芝2000m 15時35分発走予定
馬番 | 印 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 |
1 | ベリーヴィーナス | 牝5 | 53 | 藤懸 | |
---|---|---|---|---|---|
2 | ジューンオレンジ | 牝4 | 54 | 富田 | |
3 | △ | ピンハイ | 牝5 | 54 | 北村友 |
4 | △ | ミッキーゴージャス | 牝4 | 56.5 | 浜中 |
5 | ☆ | ラヴェル | 牝4 | 54 | 坂井 |
6 | ホールネス | 牝4 | 52 | 西塚 | |
7 | マリネロ | 牝5 | 50 | 松若 | |
8 | △ | セントカメリア | 牝5 | 53 | 西村淳 |
9 | ▲ | コスタボニータ | 牝5 | 56 | 岩田望 |
10 | ゴールドエクリプス | 牝5 | 53 | 幸 | |
11 | △ | インザオベーション | 牝5 | 51 | 荻野極 |
12 | ○ | タガノパッション | 牝6 | 53 | M.デムーロ |
13 | アリスヴェリテ | 牝4 | 50 | 永島 | |
14 | エリカヴィータ | 牝5 | 54 | 小沢 | |
15 | ◎ | エーデルブルーメ | 牝5 | 54 | 川田 |
16 | ファユエン | 牝6 | 53 | 菊沢 |
【有力馬・気になる馬の評価】
◎⑮エーデルブルーメ
いまの高速京都にピッタリ合いそうな差し馬です。人気馬が不振なレースという点だけが気掛かりですが、3勝クラス勝ち直後でハンデ54kgは理想ゾーン。前走・ダイワスカーレットCの「1分58秒8」は、当日の阪神の芝が時計が出やすかったことを考慮しても速いです。ハービンジャー産駒といえば、少し時計が掛かる芝が向くと思いがちですが、本馬は過去に夏の小倉で「1分57秒8」を計時していて、軽めの芝でも重めの芝でも対応しています。1番人気でそれほどオッズ妙味はありませんが、といって、圧倒的1番人気というわけでもなさそうなので、買い方次第で配当妙味は十分あります。①着固定で買います。○⑫タガノパッション
先週に坂路で4F51秒台の好時計。今週は木曜追いでしたが、動きの良さは光っていました。ここ2戦の中山牝馬S、福島牝馬Sもそれほど負けていませんし、何よりハンデ53kgは魅力。道悪もこなしますが、1分57秒5の持ち時計も良いです。1月の愛知杯②着の重賞好走があって、単勝11~13倍前後なら、買い得では?▲⑨コスタボニータ
福島牝馬Sは最内馬番1番をうまく活かして機敏な立ち回り。好位差しが勝ちパターンで、多少時計が掛かる方がベターとみていますので、例年の阪神の方が優勝確率は上だったかもしれません。問題はハンデ56kgと、差し基調の馬場でしょう。基本的には好位付けタイプだと思いますので、ゴール前で中~外伸びの決着になった時が試練になりそう。☆⑤ラヴェル
穴候補。掛かる面が災いしてか、近走はオークス④着の力が発揮できていないと思います。ただ、京都記念にしても、前走・中山牝馬Sにしても、最後に大バテした訳ではありませんでした。要は折り合えるかどうか? 今回はそれなりにピッチは上がりそうなメンバー構成。ハンデ54kgや、時計が出る軽い馬場は本来合っているでしょう。ここまで人気がないのなら狙う余地は十分。△③ピンハイ
芝1800mでの持ち時計は光っていて、軽い馬場はOK。それに内回りの一瞬の切れ比べは合っているとみます。2走前の大阪城S(⑫着)のように外を回される競馬では厳しいと思いますが、今回の馬番3番なら、外には出さず馬群を縫うイメージでしょう。一瞬の脚で浮上するイメージはあります。ハンデも手頃。△④ミッキーゴージャス
大阪杯(⑭着)を挟んでいるのがどう出るか? ここは立て直す過程での参戦で、追い切りの動きも含めて、そこまで体調の良さを感じられないのはカギに。また、現実に56.5kgは大変では。ただ、1月の愛知杯での「1分57秒9」の時計対応力はプラスになるでしょう。底力で。△⑧セントカメリア
古すぎるかもしれませんが、3歳夏の月岡温泉特別(②着)でラーグルフに続いた競馬が忘れられません。2走前の愛知杯こそ⑨着と崩れましたが、相手なりに走れるしぶとさはあると思います。体自体の成長も感じます。ハンデ差も活かせば、十分勝負になるのでは?△⑪インザオベーション
パールS組(3勝クラス)、ハンデ51kg。これだけで狙う価値があるでしょう。この馬にとっては、時計が速すぎるいまの京都の馬場がどうか? ですが、夏場にも強い昨年のイメージからぜひ狙いたい穴馬。①ベリーヴィーナス
内荒れ気味のいまの京都の馬場が大きな試練か。何頭か同型馬もいます。ハンデ53kg自体は良いのですが、重めの馬場巧者で高速決着はマイナスでは。②ジューンオレンジ
芝1400mで3勝クラスを勝ち、OP昇格後は苦戦中。2走前の谷川岳S(④着)から、距離上限はマイルとみます。ハンデ54kgも相手関係を考えると、楽ではないでしょう。⑥ホールネス
雨が降れば話は別ですが、現状は高速決着の切れ勝負になった時に対応できる裏付けがありません。ハンデ52kg自体は良いですが、重賞で即対応できる力は?⑦マリネロ
前走3勝クラスで完敗(⑨着)。それ自体はマイナスデータではないですが、良績がローカルに集中していて、坂のある京都の底力勝負で好走するイメージがありません。⑩ゴールドエクリプス
同じ京都でもベストは外回り1800mか。内回り2000mの持続力勝負はスタミナ的にも合わないと思います。好位粘り型で、「内荒れ」の舞台設定もマイナスに。⑬アリスヴェリテ
ベストは逃げでしょう。ただ、同型のベリーヴィーナスの存在が厄介。仮に行けたとしても、イン荒れの馬場がポイントになりそう。このメンバーで荒れた内を避けながら走って、押し切る力は?⑭エリカヴィータ
長らく不振が続いています。福島牝馬Sもそれなりに頑張っていたと思いますが、一変するイメージはありません。⑯ファユエン
差せる馬場自体は良いのですが、良績は左回りに集中しています。これが左回りの中京コースなら話はまったく別ですが、高速対応も微妙では。【万哲の決断馬券】
◎エーデルブルーメは前走内容、ハンデ、舞台設定のすべてが向くので頭勝負。相手次第でそれなりにオッズが付くのも魅力です。仮に馬場が渋っても問題ない点は強調したいと思います。
券種・買い方 | 組み合わせ・点数 |
---|---|
馬単 |
各2,000円(計4,000円)
|
馬単 |
各1,000円(計5,000円)
|
馬単 |
各1,000円
|
合計 | 10,000円 |
ご注意
レースに関する情報は、主催者発表のものをご確認ください。また、勝馬投票券の購入はお客様のご判断の元で行ってください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
小田哲也 プロフィール
スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。2015年には宝塚記念で3連単52万馬券を当てるなど、万馬券メーカーであることから「万哲」という愛称で競馬ファンに親しまれている。2004年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、2009年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」パドック解説を担当中。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。