
4/20(日)
皐月賞(G1)
中山11R 芝2000m 15時40分発走予定
◎⑯サトノシャイニング
○⑩クロワデュノール
▲⑪ミュージアムマイル
☆⑮ヴィンセンシオ
△②エリキング
△③キングスコール
△⑤ジョバンニ
△⑬アロヒアリイ
中山競馬場では一番幅員の狭い芝Cコースが「フルゲート18頭」になったことに伴い、今年の皐月賞は史上初めてCコースで行われます。ただ、今春の中山開催は週末になると雨の影響を受けてきたので、果たして今週から移動柵が3m外(先週まではBコース使用)に出ることで、先週までに傷んだ内寄りのすべてがカバーできるのか?というのが、一番のポイントでした。個人的には先週土曜のニュージーランドTで②着アドマイヤズーム(馬場の真ん中)、勝ったイミグラントソング(同外)が通った位置や、内を避けていた馬が結構いたのを考慮すると、BコースからCコースに変更しても、内寄りはまだ傷み気味だろうとみていました。しかし、金曜のJRA公式サイト発表の馬場情報を見ると、「コース変更に伴い傷んだ場所はカバーされて全体的に概ね良好」とのこと。
今週は水曜以降は晴天に恵まれていて、土曜、日曜も雨の心配はほとんどなく、皐月賞は「良馬場」が濃厚。先週土曜9R・山藤賞(芝2000m)を勝ったビーオンザカバーが3歳1勝クラスで「1分59秒0」の好時計。同11R・ニュージーランドT(芝1600m)を勝ったイミグラントソングが「1分32秒4」と古馬並みの時計が出ていて、先週の内寄り傷みの馬場でこれだけ速い時計が出るのなら、中間に芝刈りも実施して、良馬場濃厚の今週なら、「高速決着」までいかないにしても、かなり速い馬場になるのでは?と考えます。山藤賞を基準にすれば、G1の皐月賞なら「1分57秒台後半」が出ても、不思議ではありません。さすがに昨年のジャスティンミラノが記録した「1分57秒1」は出ないでしょうが、今年はそれなりに先行型もいて、展開次第ではファウストラーゼンの「マクり」で、序盤からある程度流れる激流からの底力勝負=時計勝負を想定します。さて、締まった流れで、勝ち切る馬は!?
◎サトノシャイニングは昨秋の東京スポーツ杯2歳S(②着)で自ら逃げ、優勝したクロワデュノールと「0秒1差」。当時は勝ち馬クロワデュノールが残り1F過ぎで、内にヨレました。それに反応する形で一瞬減速した影響がまったくなかった訳ではなく、スムーズならもっと際どかった可能性もあります。きさらぎ賞(①着)が行われた当時の京都の芝は、昨秋の3ヵ月連続で開催した影響と雨の影響が残ったこともあり、ややタフな稍重馬場。確かに前が引っ張ったことで展開は向いたし、時計も少頭数としては出やすかったと思いますが、控える競馬をして、4コーナーではやや荒削りに外を回して、直線半ばでギアが上がってからの加速感が圧巻でした。1週前追いを見ると、ピタッと折り合えるかどうかがポイントになりそうですが、豊富な体力でそれをカバーしている印象です。中間の馬体のシルエットを見る限り、いい意味で研ぎ澄まされてきているようです。東スポ杯2歳Sで1分46秒9。パンパンの良馬場だったら、きさらぎ賞では「1分46秒台前半」は出ていたであろう時計対応力。言うまでもなく、きさらぎ賞の②着馬リンクスティップが桜花賞③着、同③着ランスオブカオスがチャーチルダウンズCを勝ったことで、きさらぎ賞自体も「水準以上」の価値があります。関東への輸送は東スポ杯2歳Sで経験済み。ここは前掛かりな馬が多く、きさらぎ賞で自ら前半3F35秒0で序盤速めのラップを刻んだ「激流経験値」が活きてくる計算。クロワデュノールとの勝負付けは済んでいません。
相手は○クロワデュノール。気掛かりな点は新馬(前半3F37秒1)、東スポ杯(同36秒6)、前走ホープフルS(同37秒0)と、いずれも序盤は「緩ペース」からの上がり勝負で勝ってきており、序盤から脚を使わされる展開になった時に、果たしてどの位置で競馬ができるのかということ。一見、理想に見える「馬番10番」は、展開次第では揉みくちゃになる恐れがあり、揉まれるのを嫌ってある程度出して行けば、必然的に今までよりは速い序盤の入り(3F35秒台)になる訳で、その場合にどれだけ脚が溜まっているか? また、キタサンブラック産駒の血統イメージからも「超高速決着」に課題がありそう。内にヨレて勝った東スポ杯は完勝とは思えず、スピード色が問われる馬場・展開になった時に、サトノシャイニングに遅れを取る懸念が。
▲ミュージアムアイルの前走・弥生賞(④着)は馬体重が前走比8kg増の余力残しの仕上げで、渋った重めの馬場。勝ったファウストラーゼンの「マクり」の特殊展開で、測りにくい結果になりました。ただ、中山への輸送経験がマイナスになるとは思えず、型通りに良化。「枠の並び」もクロワデュノールのすぐ外。勝っても負けても、マークしやすい絶好の位置で、言い訳が利かない地力勝負に持ち込めば、一段上のパフォーマンスは見込めるでしょう。既に1週前時点で、腹回りが締まってきたのは確認できました。昨秋の京都での2連勝は、軽い芝の時計勝負。弥生賞当時よりも「高速度」が増した馬場で、今回は大きな上積みに期待。
☆ヴィンセンシオは前走・弥生賞(②着)がファウストラーゼンにマクられて厳しい展開だったと評価する半面、当時のルメール騎手は3コーナー手前から機敏に操作していたので、本当に強ければ、再び差し返して勝ち切っても…という物足りなさも残りました。新馬や葉牡丹賞でもそうですが、競る形になると、とにかく渋太い。そういう意味では「接近戦」になる皐月賞は、本来最適なのでしょうが、調教でもピタッと折り合う感じでもなく、制御面や馬体面に一段良化の余地を残す印象。弥生賞は初手から逃げましたが、今回はどう出るのか? 弥生賞は逃げたことで折り合えたのか? 考えるところは多々あって、微妙な☆の評価です。葉牡丹賞で記録した「1分58秒8」は、冬の中山開幕週の絶好馬場を差し引いても、今週の高速馬場にはマッチするでしょう。さて、どの位置で折り合うのか?
エリキングは常識的には厳しいでしょう。軽度とはいえ、骨折明け。現在、収得賞金2600万円なら、ここで「権利」を獲る必要はなく、着順無関係でダービーには行けます。ただ、中内田厩舎らしく、質・量しっかり調教はできています。それに前向きな性格。Cコース替わり1週目で、内傷みが軽減(当日の確認は必要)されたならば、馬番2番も活きてくるでしょう。キズナ産駒で、弾力に富んだ脚捌き。時計短縮もある程度はOKでしょう。大幅な短縮を求められると、経験値のなさが気掛かりですが、一応、押さえます。
キングスコールは前走・スプリングS(③着)が正直びっくりでした。良くて、6~7分程度の出来。スタートで出負け。ほぼ万事休すと思いきや、4コーナーでの絶望的に見えた手応えから盛り返した点は紛れもなく「A級」。中間も凄く上積みがある感じではないのですが、ドゥラメンテ産駒には打ってつけの良馬場で、結果的に追い上げて位置を取る形になったスプリングSが、前掛かりの今回の展開ではプラスに働きそう。恐らく、人気はないでしょう。オッズ妙味はあります。
ジョバンニは京都2歳S(②着)の頃まではまだ半信半疑でしたが、ホープフルS(②着)が最内馬番1番を活かしたとはいえ、価値ある内容。松山騎手の連続騎乗がとにかく大きく、若葉Sでも手堅さを見せました。爆発的なパワーは感じない半面、どんな流れにも対応できるうまさを「馬番5番」で活かせれば。①着では狙いにくいですが、②着なら狙いやすい馬です。
アロヒアリイは弥生賞(③着)が決して上手なレースではなかった中での好走。最終4コーナーを逆手前で入って外に膨れ、まだコーナリングで危うさを残すなかで、前の2頭に迫った持続する脚は目を惹きました。弥生賞以上に、皐月賞は道中が流れる可能性は高く、むしろ競馬はしやすいのでは? まだまだ課題を残すだけに、伸びしろも十分あると思います。前崩れの乱ペースになった時、弥生賞と同じレースパターンでも、直線で追い上げてくる可能性はあります。中間の調教もしっかり負荷をかけて、一段の上積みも見込めます。ダービーに出るなら、何としても「今回⑤着以内」の優先権は欲しく、ロングスパートでの台頭は要警戒。
以下、無印の馬の解説です。
ニシノエージェントの前走・京成杯(①着)は時計はまずまず出ましたが、メンバーレベルを考えると、皐月賞で勝ち負けするには、突き抜けて勝つぐらいのパフォーマンスが欲しかった。ここは相手強化で苦戦しそう。
ジュタは若駒S(①着)が内を巧妙に突く競馬。②着ミッキーゴールドが若葉S③着で勝ち切れなかった点で、暮れのホープフルS(④着)も含めて、現状G1で勝ち負けするまでの力を感じません。
マスカレードボールは「枠の並び」が微妙。馬番6番自体はいいのですが、すぐ近くに前付けしたいジーティーアダマン、ピコチャンブラックがいて、理想の揉まれない競馬が叶うかどうか? 広い東京が合うのは間違いなく、この後の東京戦こそ狙い目?
フクノブルーレイクは前走・スプリングS(②着)は◎でした。ただ、今年からスプリングSが「弥生賞から連闘」の日程に変更されたことで、例年以上にスプリングSが手薄な構成になったことは否めません。
ジーティーアマダンは「無欲逃げ」で誰も追ってこない展開になれば侮れないのですが、今年は他にも先行タイプ、マクり屋(ファウストラーゼン)がいるのがネックになりそう。前走・すみれSの2分11秒0は決して悪くありません。
ピコチャンブラックは前走・スプリングSの今年のレースレベルが低調で、しかも速い馬場への対応力に疑問に残す分、パンパンの高速決着もどうか。
ドラゴンブーストはニシノエージェントでも触れた通り。京成杯を高評価することはできません。
カラマティアノスは前走・共同通信杯(②着)がインから一瞬先頭の巧い立ち回り。その前走イメージから、今回もできれば内枠が欲しかったです。外を回って、まとめて勝ち切るまでの大技は感じません。
ファウストラーゼンは果たしてマクれるか? 果たして、今回もホープフルSや弥生賞のように向正面でペースダウンするのか? 個人的には道中緩まず流れるとみて、マクるタイミングは難しいとみます。
マジックサンズは函館デビュー時は高評価した馬なのですが、ホープフルS後の骨折判明でローテが厳しくなりました。いい馬なのですが、今回は厳しいでしょう。現実問題、大外枠は辛いでしょう。
券種・買い方 | 組み合わせ・点数 |
---|---|
馬単 |
3000円
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馬単 |
2200円
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馬連 |
1000円(計2000円)
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馬連 |
700円(計2800円)
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合計 | 10000円 |
ご注意
レースに関する情報は、主催者発表のものをご確認ください。また、勝馬投票券の購入はお客様のご判断の元で行ってください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
小田哲也 プロフィール
スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。2015年には宝塚記念で3連単52万馬券を当てるなど、万馬券メーカーであることから「万哲」という愛称で競馬ファンに親しまれている。2004年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、2009年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」パドック解説を担当中。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。