
6/1(日)
日本ダービー(G1)
東京11R 芝2400m 15時40分発走予定
◎⑨ジョバンニ
○⑬クロワデュノール
▲⑦ミュージアムマイル
☆③エリキング
△②ショウヘイ
△⑩トッピボーン
△⑰マスカレードボール
△⑱サトノシャイニング
この春は週末に天気が崩れる流れが多く、先週のオークスも「良馬場」の発表とはいえ、土曜夜に降った雨の影響は大きく、優勝したカムニャックの優勝タイム2分25秒7は、通常の良馬場(2分23秒台)より2秒近くは遅かった。そして、今週のダービーウィークも金曜、土曜の予報は良くないです。日曜には天気は回復するようですが、芝はどこまで乾くでしょうか? 最終的に「良」になりそうですが、過去10年の完全な「良馬場」とは違って、多少タフな設定も考えた方がいいかもしれません。
ステップ的には皐月賞組が断然強いです。ダービーの過去10年の前走別成績を見ると、皐月賞が[7.9.7.74]。皐月賞のレースレベルが高かった今年は、なおさら皐月賞組が断然とみます。問題は皐月賞組の序列。優勝したミュージアムマイルの1分57秒0は、昨年優勝のジャスティンミラノ(1分57秒1)より速く、価値を認めない訳にはいきません。ただ、今年の皐月賞は「レース中の不利」も大きく作用した印象です。スタート直後、最初の1コーナー、向正面と、別の個所で別の不利の事象があって、力を出し切れなかった馬がいたのも事実でしょう。一番厳しく見えたのは、最初の1コーナー手前で致命的な不利を受けたのもあって⑯着のフクノブルーレイク。能力を100とすれば「30」ぐらいしか実力を出せないと思える大きな不利でした。
皐月賞上位①~⑤着馬の「個人的不利指数」を数字にしました。「100」のうち、どれだけ実力を出せたか?の評価です。
着順 | 馬名 | 不利 指数 |
不利内容 |
①着 | ミュージアムマイル | 85 | 向正面の接触不利 |
---|---|---|---|
②着 | クロワデュノール | 90 | 向正面で押し込められ引っ張る不利 |
③着 | マスカレードボール | 75 | 正面スタンド前でエリキングと何度も接触する不利 |
④着 | ジョバンニ | 70 | 向正面で内から出てきた馬と接触し、ズルズル位置を下げる不利。4角では大外へ |
⑤着 | サトノシャイニング | 80 | 1コーナーで内の馬と接触。終始外を回る形に |
あくまで個人的な見解ですが、特に③着マスカレードボール、④着ジョバンニには大きな不利に映りました。そんな中、②着クロワデュノールから⑤着サトノシャイニングは「0秒1差」。もちろん、今回は大箱の東京コースなので、中山の結果が「直結」するとは思いませんが、可視化できる大きな差は感じませんでした。
強力な皐月賞上位組でも、◎ジョバンニを推すのは皐月賞の不利がかなり大きかったと見るからです。向正面でバランスを崩す不利があって、松山騎手も「向正面で挟まれ、ポジションを下げる不利が悔やまれます。トモ(後肢)をぶつけて、バランスを崩しながらも、最後の直線ではもう一度追い上げてくれました」とレース後、悔やんでいました。4コーナーではすぐ内を通る形になった③着マスカレードボールよりもさらに外を回る形。①着ミュージアムマイル、②着クロワデュノールとの「4角位置」の差が、そのままゴール板でも直結した形でしたが、ラストも諦めずにジリジリ伸びた根性は光っていました。
確かに2歳時に使われたレース数が多い分、近年のダービー馬よりは過酷なローテになっていますが、皐月賞の前に輸送負担やメンバーレベルが高くない若葉Sから始動したのは、共同通信杯、弥生賞、スプリングSなどを使った組よりも「消耗度」は軽減できたのでは? 幸い、超消耗戦になった前走の疲れは、この中間には見せていませんし、体は引き締まってシャープさが出てきたようです。右回りのコーナー4回の2000mを4戦連続で使っていますが、一瞬というよりは長く脚を使う馬なので、距離延長はむしろプラスでしょう。父エピファネイアは日本ダービー②着ですが、前進気勢がとにかく強かった父よりは、操縦性が良い息子の方が、3歳春の時点では競馬の上手さは光って見えます。血統的には母系の4代前に日本でもおなじみのカーリアン(ダービー馬フサイチコンコルドの父)や、レインボークエスト(有馬記念優勝馬サクラローレルの父)の名もあって、奥は深いです。皐月賞自体は最初の1コーナーでは5~6番手の好位置で運べていました。後肢に力が付いたことで、スタートの危うさも解消しつつあり、他馬の出方次第では「好位付け」もかなう序盤力があります。動きやすい馬番9番。逆転は十分とみます。
○クロワデュノールの皐月賞は、ホープフルS以来となる「休み明け」の影響も感じました。当日のパドック気配も、ホープフルSと比べて際立って良くなった印象がなく、ダービーに向けてまだ1、2段上がる余地を感じていました。中間は着実に良くなっています。強いていえば、前走の感じでも勝ち切っていれば、今回は「盤石」だったでしょう。東京コースでの実績はメンバー屈指。あとはレース本番の立ち回りだけでしょう。皐月賞が早めに動いて差されたので、今度は1~2列控えて差し損ねて惜敗は、少々考えたいシチュエーション。最初の1コーナーでどの位置にいるのか? 勝負のカギは、そこにあります。
▲ミュージアムマイルは結果的に弥生賞を使ったことが、皐月賞上位馬の中では「消耗」の点では懸念。今春、栗東から関東圏の輸送は3度目。いまの競馬では結構つらいです。それに、弥生賞(④着)の感じだと、仮に土曜に雨が降りすぎると、決してプラスにはならないでしょう。ただ、調教の迫力はクロワデュノール以上に感じています。レーン騎手が騎乗した1週前追いのラスト1F(11秒0)は、単に数字だけではなく凄みを感じました。皐月賞が結果的に「ハマった感」はありますが、それでもこれより下には評価は落とせません。
☆エリキングは、皐月賞の個人的不利指数が「60」。正面スタンド前でマスカレードボールと何度も接触して、双方に不利は甚大に見えました。エリキングの方が内枠だった分、終始窮屈なインに押し込まれ、4コーナー手前では正直、勝負圏外の位置。しかし、皐月賞で力を出し切ったとしても、どれだけ着順を上げられたかが未知で、今回は本命に推しきれませんでしたが、父が日本ダービー馬キズナで、母父が英愛ダービー馬ハイシャパラルなら、2400mがマイナスとも思えません。中間の動きは2段ぐらい上がっています。激変する可能性があれば、本馬でしょう。そういった意味での☆(爆弾)です。
ショウヘイは前走・京都新聞杯(①着)が流れに乗り切った利はありましたが、スリムな長距離体形で、もし例年通りに内枠の利が活きる「内&前有利馬場」なら侮れない存在になりそう。現状、速い持ち時計を持っていないので、金曜、土曜に雨が降りすぎる分には歓迎でしょう。ただし、天候回復で「2分22~23秒台」の高速決着になるような舞台設定だと厳しいかも。当日の馬場次第。
トッピボーンは前走・京都新聞杯は完全に展開負け。春の阪神はいくら時計が出たとはいえ、2走前の1分57秒9はかなり優秀で、むしろ高速決着になれば、激変の可能性は秘めています。
問題は、当初は◎まで打とうと思っていた8枠2頭です。
マスカレードボールは、馬番17番を残念がっていた陣営の表情が「本心」を語っているかもしれません。共同通信杯のような「好位」が一番取りたかった作戦だったかもしれません。この枠では噴かしても中団まで? 逆に、序盤で脚を使いすぎると、最後のガス欠につながる恐れもあります。母系がマイル色が濃く、序盤のロスを軽減したい意味では「内枠」が欲しかったでしょう。東京実績、高速決着歓迎。外枠と若干の距離懸念以外は「買い」の要素は充満しています。
サトノシャイニングも◎まで考えていました。皐月賞は外枠に泣き、結果的には外を回ることになり脚をなくした形でした。今回は大外枠…。東スポ杯2歳S(②着)で壁がつくれずに逃げる形になって、それでもクロワデュノール相手に粘った実績は評価できますし、簡単には止まらない持続力も評価できるのですが、それ以上に「大外枠」は気になります。
別路線組は今年は厳しいとみます。
ファンダムの前走・毎日杯は確かに強かったですが、今年の阪神は好時計が出ていました。勝ち時計1分45秒9は、当日の君子蘭賞(3歳1勝クラス牝馬限定)の勝ち時計1分45秒8(①着ルクスジニア)より遅く、上がり3F32秒5は確かに凄いですが、ダービーに直結する総合力は示していません。
プリンシパルSを勝ったレディネスは、将来性は相当感じていますが、1分59秒3は地味。弥生賞(⑧着)を基準にしても、もうワンパンチ欲しいです。
展開的には外枠2頭の出方次第では、ペースが上がる可能性はありますが、ほぼ「Mペース」想定。折り合って位置を取れる馬や、ある程度の枠のアドバンテージもある馬から。そういった展開予想から、◎ジョバンニの「好位差し」を本線とします。
券種・買い方 | 組み合わせ・点数 |
---|---|
馬連 |
各2000円(4000円)
|
馬連 |
1000円
|
馬連 |
各800円(3200円)
|
馬連 |
各900円(1800円)
|
合計 | 10000円 |
ご注意
レースに関する情報は、主催者発表のものをご確認ください。また、勝馬投票券の購入はお客様のご判断の元で行ってください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
小田哲也 プロフィール
スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。2015年には宝塚記念で3連単52万馬券を当てるなど、万馬券メーカーであることから「万哲」という愛称で競馬ファンに親しまれている。2004年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、2009年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」パドック解説を担当中。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。