10/12(日)
アイルランドT(G2)
東京11R 芝1800m 15時45分発走予定
◎⑬サフィラ
○⑧ボンドガール
▲⑦カナテープ
☆⑪セキトバイースト
△①アドマイヤマツリ
△②アンゴラブラック
△⑮ラヴァンダ
第1回としてリニューアルスタートする「アイルランドT」は、昨年までは秋の東京で行われていた牝馬限定重賞「アイルランドT府中牝馬S」を踏襲した形の牝馬限定の別定戦。3歳馬も出走できますが、3歳の実力馬は基本的には秋華賞に向かうので、実質は「4歳以上牝馬」の戦いとなっています。
別定重量は「4歳馬は55kg。昨年10月5日以降のG1①着馬は2kg増、G2①着馬は1kg増」。実績馬でもそう酷量は背負わないので、ハンデ戦で負担重量に泣いていた馬にはありがたい別定重量。昨年(第72回アイルランドT府中牝馬S)は前年にエリザベス女王杯を勝ち、2kg増の57kgを課せられたブレイディヴェーグが優勝しました。
秋の東京2週目、芝Aコース2週目の施行条件も、昨年までのアイルランドT府中牝馬Sと一緒。フルゲート(18頭立て)になったのは過去10年ではシャドウディーヴァが勝った2021年だけ。13~15頭ぐらいの手頃な頭数になることが多いレースです。ただ、人気馬が必ずしも好走していないのは「牝馬重賞」らしいところ。そして、稍重や重(過去10年で4回)の時に荒れ気味な傾向があるのには注意したいところ。今年、週末の土・日曜の東京の天気は芳しくありません。
過去10年の馬番別成績は1~3番になぜか優勝馬は出ていませんが、これは偶然でしょう。優勝馬では4~15番あたりまで満遍なく出ていて、内外差も少ないですが、連対率では「4~7番」が好走ゾーンになっています。
今年は過去の傾向というよりは、個体重視で◎サフィラを推します。この馬だけが別定56kgを背負っているのは、今年4月のG2・阪神牝馬Sを勝っているから。確かに本馬だけ別定56kgというのは不利ですが、むしろその分だけ、少しでもオッズが上がればおいしいと考えます。それよりも、サフィラ自身の大きな課題は、「長距離輸送で体が減る」可能性でしょう。今春のヴィクトリアマイルが、4月阪神牝馬Sよりも「10kg減」の454kg。当日のパドックでは見た目も細く映って、レースも好位は走ったものの、まったく動けなかったのは仕方ないところでしょう。この中間は放牧効果も出て、ふっくらと見せていて、松山騎手が騎乗した10月1日の1週前追いはCWコースでラスト1F11秒1とかなり切れました。この体を維持できるか?
血統的には半姉サラキア(父ディープインパクト)が、2020年にアイルランドT府中牝馬Sを制覇。全兄サリオスは2020・22年に同じ東京1800mの毎日王冠を勝っていますので、舞台設定はピッタリでしょう。また、本馬と同じハーツクライ産駒の牝馬シャドウディーヴァも2021年にアイルランドT府中牝馬Sを勝っていますから、サフィラ自身はマイル指向が強いといっても、1800mが駄目という理由はありません。展開的には「Sペース濃厚」。東京までの長距離輸送をクリアして、前走・ヴィクトリアマイルと比べて「10kg以上増」でふっくらした体を維持できていれば、前付けして、かつ持続力を活かせるでしょう。ハーツクライ産駒の牝馬はリスグラシューを筆頭に「成長型」がゆっくり目の馬が多く、年齢的にも4歳秋のこれからが本領発揮の場。
もし、雨が降った時がどうか? 実は半姉サラキアが府中牝馬Sを優勝した2020年は「重馬場」でした。それまで重~不良馬場での好走歴はありませんでしたが、好位からの持続力で、断然人気のラヴズオンリーユーなどを一蹴しました。その半妹であり、また道悪巧者多数のハーツクライ産駒のサフィラですから、極端に道悪がダメとは思えません。当日の馬体をチェックして、勝負してほしいです。
○ボンドガールはレース当日、かなりテンションが上がるタイプ。実戦では「制御」が問題になるでしょう。前走・関屋記念(②着)は、レース前に返し馬をせずにゲートまで歩いていく戦略も功を奏しました。重量的にもハンデ56kgだった前走から、今回の1kg減の別定55kgは間違いなくプラス。要は折り合えるかでしょう。意外に行く馬が少なく、掛かり気味になってしまうと厳しいかもしれません。カギはその点だけ。②着が多いキャラで「単勝」が買いにくいタイプですが、こういう時こそ狙い目は単勝でも面白いかも? 過去、「稍重」まではこなしています。
▲カナテープは今春の府中牝馬Sがハンデ53kg、前走・関屋記念がハンデ54kg。そして、今回が別定55kg。狙うべきはハンデ戦の前2戦だったかもしれません。その府中牝馬Sの「1分46秒2」はSペースだったとはいえ、正直平凡な印象。関屋記念での切れる脚を見ると、ベストは1600mでは。今回はあと1Fがどう出るか? ここまで成長した今の姿を見ると、凡走イメージはありませんが、マイル続戦の方が好走確率は高かったかもしれません。道悪はマイナスでしょう。
4番手評価の☆セキトバイーストは、今春の府中牝馬Sをハンデ55.5kgで勝って、ここで0.5kg減の55kgは有利。差す競馬も板についてきました。ただ、本質的なポテンシャルがサフィラ、ボンドガールあたりと比べて明らかに上とも思えず、今回は試金石。トップナイフでもおなじみのデクラレーションオブウォー産駒で、道悪になれば、大幅加点。
アドマイヤマツリはおそらく馬体重増。成長は顕著。マイルの前走・ヴィクトリアマイル(⑦着)で前付けしたので、1800mのここでどんな競馬をするかでしょう。最内の馬番1番。自ら逃げる形になると、他馬の目標になりかねず多少不安。そしてもう1点、阪神牝馬Sで上がり3F33秒3を記録したサフィラあたりと比べて、極端な「Sペース」になった時の本質的な切れ勝負で、果たしてどうか?
アンゴラブラックは2000m中心のローテを使ってきた分、今回は1800mでどんな立ち回りになるのか? 前走・3勝クラスが「ハナ差勝ち」。重賞であっさり突き抜けるまでの破壊力は?
ラヴァンダは春の阪神牝馬S(③着)で勝ち馬サフィラとはハナ+ハナ差。間に入った②着アルジーヌがヴィクトリアマイル④着、クイーンS①着と頑張っていて、レースレベルは高かったと評価しています。サフィラが本来の力を出すのなら、「セット券」で好走イメージは沸きます。
| 券種・買い方 | 組み合わせ・点数 |
|---|---|
| 馬連 |
各2000円(4000円)
|
| 馬連 |
各1000円(4000円)
|
| 馬連 |
各1000円(2000円)
|
| 合計 | 10000円 |
ご注意
レースに関する情報は、主催者発表のものをご確認ください。また、勝馬投票券の購入はお客様のご判断の元で行ってください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
小田哲也 プロフィール
スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。2015年には宝塚記念で3連単52万馬券を当てるなど、万馬券メーカーであることから「万哲」という愛称で競馬ファンに親しまれている。2004年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、2009年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」パドック解説を担当中。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。