10/26(日)
菊花賞(G1)
京都11R 芝外3000m 15時40分発走予定
◎⑤ジョバンニ
○⑥ミラージュナイト
▲⑱レッドバンデ
☆⑮エリキング
△④ヤマニンブークリエ
△⑦ショウヘイ
△⑨エネルジコ
△⑫ゲルチュタール
皐月賞馬もダービー馬もいない菊花賞は決して珍しいことではありません。今年の菊花賞の注目ポイントは3点。
①2つのトライアルの精査
②穴人気になりそうな「2勝クラス勝ち組」の評価は?
③芝はAコース4週目(昨年は3週目)で雨予報。
トライアルに関していえば、神戸新聞杯(阪神芝外2400m)はかなり極端な「中だるみ」のレースでした。レース中盤でガクンとペースが下がり、中盤では「1F13秒台」が3回もあり、残り4Fは11秒9~11秒2~10秒7~11秒2のスプリント勝負。ここまで上がりが速いと、結果的に問われたのは「切れ」や「スプリント能力」。上がり3F32秒3で突き抜けたエリキングは、もちろん弱くはありません。全体時計が2分26秒4と地味すぎるのは「中だるみ」が影響したのがすべて。もちろん、中盤で普通にペースが上がっても、強い競馬で差し切った可能性は十分あります。春の皐月賞(⑪着)は久々が影響したかもしれませんが、ダービー(⑤着)もレースが終わりかけた頃に伸びたように、3歳になってからは正攻法で競馬をできていない点には一抹の不安を覚えます。
その神戸新聞杯で②着のショウヘイは、対照的に上手な競馬でした。好位で流れに乗り、前に行った馬に有利な展開の中、勝ち切ってもおかしくない競馬でした。ただ、最後が甘かった印象。母父がオルフェーヴルなので、母系でスタミナ面のカバーはできるでしょうが、父がサートゥルナーリア(その父はロードカナロア)ですから、3000mがベストというタイプではないでしょう。今年は川田騎手、ルメール騎手、坂井騎手と乗ってきて、今回が岩田望騎手の騎乗。G1で勝ち切る素材なら、コロコロと騎手が変わっている点は気になります。
一方、セントライト記念は皐月賞馬ミュージアムマイルの完勝でした。こちらは道中で極端にペースが落ちる場面はなく、後半5Fがすべて「11秒台」の締まった競馬。勝ち馬は別格としても、②着ヤマニンブークリエ、③着レッドバンデも一定の価値はあります。特にレッドバンデは一度離されかけながら、坂を上がってから盛り返しました。思えば、春の青葉賞(④着)は勝ったエネルジコと0秒1差。そのエネルジコが今回人気になるのなら、春時点の結果からも、そこまで差はないのでは?
穴人気になりそうな「2勝クラス勝ち組」が多数いるのも今年の特徴。アマキヒ、ミラージュナイト、レクスノヴァス、マイユニバース、加えて3勝クラスの日本海Sを勝ち上がったゲルチュタールの評価は? どこまでやれるのか?
当日の馬場状態も微妙です。悩ましい。土曜から日曜にかけて、結構な降雨もある予報。良馬場は望み薄でしょう。それでなくても、今年の菊花賞は開催日程の変更で、秋の京都開催4週目(昨年までは3週目)で、芝コースはAコース使用4週目(昨年までは3週目)となります。土曜の競馬で内寄りの悪化が進めば、中~外差しの馬場が濃厚。軽い切れではなく、渋った馬場もこなす持続型の出番では?
◎ジョバンニは神戸新聞杯(③着)を改めて振り返れば、好位インの良い位置にはいましたが、一度ブレーキをかけて仕掛け直すロスがありました。また、それ以上に後半4Fの極端なスプリント勝負となったのは、血統的にも合わなかった印象でした。多少、道中でハミを噛み気味でしたが、そちらは改善できそうな余地は見られました。春の皐月賞(④着)は向正面で他馬と接触する不利もありながら、最終4コーナーでは外から盛り返して、粘り強く伸びました。理由はどうあれ、エリキングに先着し、勝ち馬ミュージアムマイルと「0秒4差」は価値あり。ただ、ダービー(⑧着)は若葉S→皐月賞と厳しい競馬をした影響か、レース当日は発汗が目立ち、激しくイレ込み、レース前に消耗した形。それでも、大負けはしていません。
血統的には、菊花賞を制した父エピファネイア自身もハミを取って行きたがる操縦面の難しさは備えていましたが、強靭な持続力をジャパンC制覇でも証明しました。一瞬の切れよりも、持続力が武器。英2000ギニーを制した母父フットステップインザサンドの「血統スケール」も上質。さらに、母系を辿ると、日本でも活躍馬を輩出したカーリアン(フサイチコンコルドの父)やレインボウクエスト(サクラローレルの血)もいて奥は深い。道悪は正直未知ですが、血統の字面だけ見れば、渋化はOKでしょう。当日の馬場次第では、神戸新聞杯の「イン付き」が奏功する可能性もありますし、若葉Sや皐月賞のように、外差しでもOKだと思います。ダービー当時、かなりイレ込んで見えたので、今回は自分との闘いでしょう。ダービー時のイレ込みが叩き3戦目で自身が煮詰まっていたことが要因であれば、今回は叩き2戦目で「短距離輸送」なので、大幅に条件も良くなります。三冠皆勤ですが、そのわりにオッズは結構おいしいのでは? 経験値を買います。
全体的には春の重賞組を評価する中で、2勝クラス勝ち組の○ミラージュナイトは心身の成長と、血の力を買います。春は折り合い面に不安もありましたが、今夏の札幌では操縦面で進境が見られました。前走で負かしたショウナンサムデイは2勝クラスでは最上位クラス。余裕を持って4コーナーを回り、着差通りの完勝でした。父バゴの血統的な裏付けは言うまでもなく、母ラキシスは重のエリザベス女王杯②着、不良の大阪杯(当時G2)①着と、渋った馬場をこなしました。逆に言うと、天気予報が外れて、パンパンの良馬場になると「全体時計」は足りない形ですが、今週末の天気予報でレコードが出るような高速決着にはならないでしょう。コンビ復活の藤岡佑騎手が折り合いをつける点で達者なのも魅力。
▲レッドバンデは最内をついた青葉賞(④着)でエネルジコと0秒1差。セントライト記念(③着)はミュージアムマイルと0秒1差。春の二冠の勝ち馬が不在なら、この2戦だけをピックアップしても、高評価できます。管理する大竹調教師からは「距離は延びて良いし、雨予報もプラスになりそう」といった評も出ています。大外の馬番18番はさすがに極端ですが、序盤で好位につける脚のある馬なので、終始外を回されるような競馬にならない限りは、十分に持ち味が出せるでしょう。セントライト記念の「2分10秒9」も決して悪くなく、ある程度の時計勝負もOKなはず。これまで中山と東京でしか使われていないので、初の関西輸送でも馬体減やイレ込みがないようならば、勝負になっても良いと思います。パドックの気配がカギに。
逆に、☆エリキングのこれまでの過程は切れ特化。馬場はできれば「良馬場」にこしたことはないでしょう。
人気になりそうな△エネルジコも同様。中団~後方から追い上げる競馬を続けてきただけに、あまりに馬場が悪くなって切れが鈍ると能力半減の恐れも。すべては土曜から日曜の「天気」にかかっていると考えます。重~不良だと、大きく評価は下げたいです。
△ヤマニンブークリエは、セントライト記念(②着)が横山典騎手の好騎乗があったとはいえ、内で粘った脚が光りました。かなり成長していると見ます。横山典騎手の連続騎乗で、今回は内寄り馬番4番。セントライト記念と同じ競馬が奏功する流れ&展開になれば不気味。父キタサンブラック、母父チチカステナンゴならガス欠はないでしょうし、多少の馬場悪化はOKでしょう。
△ショウヘイは本質的には3000m向きではないと思います。そう考えると、スタミナ寄りになる馬場より、軽い芝で走りたいところ。ただ、ダービー③着の「実績」から、春の二冠の勝ち馬が不在のここでは無印にはできません。
△ゲルチュタールは前走・日本海Sの「2分12秒1」は正直物足りませんが、青葉賞③着は評価して良いですし、相手なりで渋太いタイプ。3000m向きという超スタミナ型ではないとは思いますが、馬券的には②、③着なら。
他の無印にした馬の評価は次の通りです。
アマキヒの阿賀野川特別の「2分14秒3」はさすがに地味。まだ稽古でもスパッとは動けて見えず、成長の余地を残す現状。いきなりは?
ライトトラックは、神戸新聞杯(⑤着)は頑張りましたが、上位とは着差以上に差があった印象。京都1800mで勝ち切れるだけに、今回の距離延長がプラスになるかは微妙。
マイユニバースは前走・九十九里特別は見事でしたが、展開的には「Sペース」で鞍上・横山典騎手の好騎乗が光った印象が強いです。ここは楽には逃げられないでしょうし、「内荒れ」の馬場になってしまうと、前&内を通る利は半減してしまいます。差しに回った時は、決め手で上回る馬は他にいると思います。
レクスノヴァスは北海道の2600mを2連勝しましたが、メンバーレベルは低かった印象。いきなりここで通用するか?となると、さすがに微妙では。京都未経験もマイナスでしょう。
| 券種・買い方 | 組み合わせ・点数 |
|---|---|
| 馬連 |
各2000円(4000円)
|
| 馬連 |
各800円(4000円)
|
| 馬連 |
各1000円(2000円)
|
| 合計 | 10000円 |
ご注意
レースに関する情報は、主催者発表のものをご確認ください。また、勝馬投票券の購入はお客様のご判断の元で行ってください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
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小田哲也 プロフィール
スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。2015年には宝塚記念で3連単52万馬券を当てるなど、万馬券メーカーであることから「万哲」という愛称で競馬ファンに親しまれている。2004年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、2009年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」パドック解説を担当中。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。