今年の「2018ドバイワールドカップデー」の各レースには、日本馬は計14頭が出走しているが、その中でも、
ドバイターフはG1馬4頭を含む最多の5頭(
ヴィブロス、
クロコスミア、
ディアドラ、
ネオリアリズム、
リアルスティール)が顔を揃えた。
過去5年の
ドバイターフを振り返ると、日本馬は13年と15年は不在だったが、出走馬がいた14年(①着ジャスタウェイ、⑥着ロゴタイプ、⑦着トウケイヘイロー)、16年(①着
リアルスティール)、17年(①着
ヴィブロス)はいずれも勝ち馬が出ている。今年は5頭もいれば、また
日本馬の中から勝ち馬が出ても不思議ない状況だが、どうだろうか。
過去5年では、
前走は同年で③着以内だった馬はいずれも連対していて、
5年中4年で勝利している。昨年は
ヴィブロスが
中山記念⑤着から巻き返して優勝していたが、実はこれはレアケースで、前走は同年で③着以内に好走していることが望ましい。
今年、前走は同年で③着以内なのは前哨戦の
ジェベルハッタで①②③着だった
ブレアハウス、
ベンバトル、
ジャヌービ、
モンジュー賞②着の
トレスフリュオース、
ザビールマイル②着の
チャンピオンシップとなる。
昨年優勝した
ヴィブロスは前年の
秋華賞を制していたが、
芝G1で①着のある馬は過去5年すべてで連対しているから、実績面で評価を上げるならこの該当馬がいいだろう。
今年、芝G1で①着があるのは日本馬だと
ヴィブロス、
ディアドラ、
ネオリアリズム、
リアルスティール、外国馬だと
ブレアハウスとなる。
年齢と血統については、
4~6歳で父サンデー系か父デインヒル系が過去5年すべてで馬券圏内入りしているから、今年も該当馬の
ヴィブロス、
クロコスミア、
ディアドラ、
トレスフリュオース、
リアルスティールは注目だろう。
以上の3点を
ドバイターフの好走共通項として扱い、該当馬を整理すると次のようになる。
[1]前走は同年で③着以内(該当馬は過去5年すべてで連対、5年中4年で勝利)
[2]芝G1で①着あり(該当馬は過去5年すべてで連対)
[3]4~6歳の父サンデー系か父デインヒル系(該当馬は過去5年すべてで馬券圏内)
番 |
馬名 |
[1] |
[2] |
[3] |
1 |
チャンピオンシップ |
○ |
|
|
2 |
ネオリアリズム |
|
○ |
|
3 |
プロミシングラン |
|
|
|
4 |
トレスフリュオース |
○ |
|
○ |
5 |
ベンバトル |
○ |
|
|
6 |
ジャヌービ |
○ |
|
|
7 |
ヴィブロス |
|
○ |
○ |
8 |
リアルスティール |
|
○ |
○ |
9 |
モナークスグレン |
|
|
|
10 |
ウォーディクリー |
|
|
|
11 |
クロコスミア |
|
|
○ |
12 |
ランカスターボンバー |
|
|
|
13 |
ディアドラ |
|
○ |
○ |
14 |
レシュラー |
|
|
|
15 |
ブレアハウス |
○ |
○ |
|
複数に該当したのは
ヴィブロス、
ディアドラ、
トレスフリュオース、
ブレアハウス、
リアルスティールで、すべてに該当した馬は不在だった。
史上初の連覇を狙う
ヴィブロスは昨年と同じく
中山記念をステップにして臨んだきたが、今年は昨年(⑤着)よりも着順を落とす結果(⑧着)だった。ただ、走破時計1分48秒1も勝ち馬との着差0秒5差も昨年より0秒2差遅いだけで、斤量が54→56kgと2kg増えていたことを考えれば、
内容的にはほぼ変わらないレベルと考えてもいいだろう。
ヴィブロスは
内田騎手以外のコンビだと
②①①②①①②⑤着とほぼ崩れておらず、
C.デムーロ騎手とは新馬戦で②着と好走歴もある。左回りの芝1800mは
①②着で、コース替わりもプラスだろうし、ゲート番号7番からスムーズに馬群を捌ければ2年連続の好走が見られても良さそう。
リアルスティールは昨年、鼻出血を発症して出走を取り止めとなったが、一昨年の勝ち馬で、左回りの芝1800mは
3戦3勝と負けなし。その勝利の中には7ヵ月ぶりで臨んだ昨年の
毎日王冠も含まれているから、
天皇賞・秋(④着)以来の5ヵ月ぶりでも仕上がっていれば好勝負も可能だろう。鞍上は予定していた
デットーリ騎手から
バルザローナ騎手に替わったが、いずれにせよ、外国人騎手とは
①②⑤①④着と悪くない。
ディアドラも外国人騎手とは
②④③③②①着と好相性で、
ルメール騎手とは昨年の
秋華賞を制して
1戦1勝だから、この乗り替わりは好材料のはず。近2走は
⑫⑥着だが、2走前の
エリザベス女王杯は後方から進めてスローペースとなり、前走の
京都記念は休み明けで過去最多体重(8kg増で500kg)だった。芝1800mは
1戦1勝で、休み明け2戦目は
③①着と好成績だし、馬体が締まって流れに乗れれば一変の余地もありそう。
ブレアハウスは前走の
ジェベルハッタで差し切りを決め、重賞初挑戦でG1制覇を果たした。後方内で脚を溜め、直線で内を突く競馬がハマった感もあるが、
同年のジェベルハッタ勝ち馬は過去5年中3年で馬券圏内入りしているから、マークは必要だろう。今回は
ドイル騎手から
ビュイック騎手に乗り替わりとなるが、
ビュイック騎手とは
[2.2.0.1]と好成績を収めている。あとは外枠替わり(ゲート番号3→15番)でどう立ち回るか。
トレスフリュオースはジオフラ(13年③着)、ダンク(14年③着)と同じ
ダンシリ産駒で、前走が同年の
モンジュー賞で連対というのはソロウ(15年①着)と同じ。デビューから
①①①①②④②着と安定しているが、1600mを超える距離も11頭立て以上のレースも初となる。前走は道中で行きたがる面も見せていたし、1F延長での頭数増でスムーズな競馬ができるか。
一方、好走共通項にひとつ該当した馬をピックアップしておくと
クロコスミア、
ジャヌービ、
チャンピオンシップ、
ネオリアリズム、
ベンバトルとなる。
ネオリアリズムは芝G1で
[1.0.2.2]で、
モレイラ騎手とのコンビだと
①③着。折り合いがポイントの馬で、実績ある鞍上で臨めるのはプラスのはず。昨年の
中山記念では
ヴィブロス、
リアルスティールを下して勝利していて、能力はここでも上位だろう。
ネオリアリズムは休み明けで
[2.0.1.3]と好走歴があり、3ヵ月半ぶりはクリアできても良さそうだし、東京芝で3勝していて、コース替わりにも対応可能のはず。すべて香港ながら海外遠征の経験が三度もあるし、初のドバイ遠征でも力を発揮できればチャンスがありそう。
クロコスミアは昨秋の
エリザベス女王杯で2番手から粘ってクビ差②着と好走し、
ヴィブロスに先着していたが、前走の
京都記念(⑧着)は掛かり気味に逃げて失速していたから、折り合いを考えると距離短縮はプラスのはず。U型コースの芝1800mは
②①着で、左回りに限れば
1戦1勝(
17年府中牝馬S)。コース替わりは悪くなさそうだが、牡馬相手の重賞は③⑧着。今回は初の海外遠征で力を発揮できるかもポイントでは。
ベンバトル、
ジャヌービは
ジェベルハッタの②③着馬で、勝った
ブレアハウスとは0秒1差と小差だった。特に、
ベンバトルは外枠で出遅れ、外、外を回る
ロスがあったことを考えると、負けて強しの内容と言えるし、内枠替わり(ゲート番号10→5番)は好材料のはず。
ベンバトルは昨年の
英ダービーや
“キングジョージ”で強敵相手にいずれも⑤着と健闘していた馬で、芝1800~2000mは
②①①①②着と連対を外していない。メイダンの芝1800mで
①①②着というコース巧者でもあり、
ロスなく立ち回れればチャンスがあっても良さそう。
マーフィー騎手とは
⑤①⑤①①②着と相性も良い。
チャンピオンシップはG2で⑭⑩
①①⑧
②着と実績を残していて、前走の
ザビールマイルは①着
ジャヌービと0秒1差の②着だったから、
ジェベルハッタの上位馬と大きな力差はなさそう。芝1800mは昨年1月の
シングスピールS(メイダン芝1800m)②着があるのみで、6勝は芝1600m以下。芝1800mでG1初挑戦となる今回はどこまで食い込めるか。
レーティングのの最上位は119の
ネオリアリズムで、それに続くのが117の
ヴィブロス、
リアルスティール、
ランカスターボンバーとなる。
ランカスターボンバーは上記した好走共通項にいずれも非該当だったものの、芝G1で
[0.5.0.6]と実績があり、メイダン芝1800mで行われた過去8年で
[2.1.1.4]と好成績を残す
ムーア騎手が手綱を取る点でも侮れない感じ。ただ、1600mを超える距離も休み明けも
UAEダービー(メイダン・ダート1900m)での④着があるのみ(今回は3ヵ月半ぶり)。過去5年、
前走が④着以下だった外国馬は1頭も馬券に絡んでいない点も気になる材料。
モナークスグレンも上記した好走共通項にいずれも非該当だったものの、
英・ゴスデン厩舎で
デットーリ騎手騎乗というのはエネイブルと同じ。去勢後は
②①①着と軌道に乗り、前走の
ダーレークラブS(G3)で差し切りを決めて重賞初制覇を果たした。5ヵ月半ぶりでのG1初挑戦というのは厳しい条件だが、
①①④①着と好相性の
デットーリ騎手が継続騎乗するのは不気味だ。
なお、
ゲート番号が9番より外枠の馬は6年連続で連対中となっている。今年、馬番9番より外枠に入ったのは
モナークスグレン、
ウォーディクリー、
クロコスミア、
ランカスターボンバー、
ディアドラ、
レシュラー、
ブレアハウスで、この中から好走馬が出ても不思議なさそう。
まとめると、今年も近年の成績が示す通り、日本馬が優勢と見て、「◎」は
リアルスティール、「○」は
ヴィブロス、「▲」は
ネオリアリズム。「△」は
ジェベルハッタ組の
ベンバトル、
ブレアハウスと、条件的には良さそうな日本馬の
ディアドラ。
穴ぐさ的存在の「★」としては、上表で複数に該当したうちの1頭
トレスフリュオース、
ジェベルハッタ③着馬で、過去8年で
[0.4.1.8]と好走馬を多数送り出している
M.デコック厩舎の
ジャヌービ、上昇中の勢いと
デットーリ騎手の手腕に期待して
モナークスグレンを挙げたい。
◎リアルスティール
○ヴィブロス
▲ネオリアリズム
△ベンバトル
△ディアドラ
△ブレアハウス
★トレスフリュオース
★ジャヌービ
★モナークスグレン
※ドバイ国際競走は『馬番』と『ゲート番』は同じとなります。