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【対談・金子騎手①】今回は金子光希騎手をゲストにお迎えしました!
2017.8.23
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金子光希騎手…以下[金]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]今回は金子光希騎手をゲストにお迎えしてお送りさせていただきます。お忙しいところありがとうございます。

[金]よろしくお願いします。



[西]金子さんとは、調教でよくお会いしますよね。

[金]申し訳ありませんが、実は今回お話をいただいて、10年続いているこのコーナーを初めてきちんと読ませていただきました。もっと気楽な感じでオチャラケている感じなんだと勝手に思っていたんですけど、深い話をされていて、ちょっと驚きました。

[西]いろいろ真剣な話をしているんですよ。

[金]この世界の人たちはそうですよね。職人ですから。

[西]そもそもは西塚厩舎の下克上について、包み隠さずお話ししますというコーナーから始まっているので、そのラインは引き継いでいる感じなんですよ。

[金]そうなんですね。

[西]そういえば今回の収録について、本当は先週にと思っていたんですけど、金子さんは体重があるみたいで、1週延ばしてほしいと言われましたよね。実は、その話を編集の方にすると「金子さん平場に乗られるんですか?」と聞かれて、違うと言うと「そんな重いイメージがありません」と言われたんですよ。まあ、軽い松岡さんやマユちゃん(黛騎手)たちとバンド活動をしていて、普段から一緒にご飯を食べたりしますが、そこまでではないんですよね。さすがに52キロとかになると意識するみたいなんだけど。確かに、金子さんがそこまで重いイメージがないんだけど。

[金]元々、学校時代から重いんです。そのままの流れで、やはり体重が増えていく感じでした。

[西]あ、学校時代から重かったんだぁ。でも、走ったりしているし、努力しているよね。

[金]いえ、当たり前のことしかできていないんですよ。

[西]でも、体重というのは、身長とか体質とかの部分が大きかったりするよね。

[金]僕で言えば、骨が太いというところはありますが、その分リーチ(腕)が長いんです。障害だけでなく、馬乗りはリーチが長い方が有利ですから。話は逸れちゃいますけど、逆に足が長いと鞍のハマリが悪く見えますよね。

[西]それはあるね。

[金]日本人は欧米人と比べて短いから、そこは良いと思うんです。やはり外国人は外国人で研究して、工夫しているからハマっているようにみせるけど、足が長い人はハマリが悪くみえますよね。

[西]だから、外国人はアブミが長かったりするじゃない?

[金]それはあります。スミヨンなんかは身長も大きいですからね。

[西]ムーアもそうだよね。逆に、外国人は足が短くなりたいと思ったりするのかも。

[金]上に伸びている分、どこかを削らなければならないわけですからね。ただ、人間はないものねだりという部分もあるので、それぞれ欲しいところはあるんじゃないですか。

[西]話を戻しますけど、そこまで重いとか、太いというイメージがないんですよ。もちろん、平場の免許を返したのには、体重という部分もあるんだろうけど、言われれば55とか56キロならば乗れます、という感覚でした。

[金]確かに、減量時代には50キロを普通に乗っていましたからね。その代わりと言ってはなんですけど、いつも目の下に隈ができていて、腰骨が出てしまっていて、いつもフラフラしてしたので、「おい、大丈夫か」と言われていました。いまにして思えば情けない話ですけど、もうとにかく乗っているだけというか、掴まっているだけという感じでした。

[西]でも、それは節制をした上で、そうなってしまっていたわけだよね。

[金]水曜日からほぼご飯を食べられない感じでした。そのストレスから、レースが終わる日曜日の夜には飲み食いしたくなってしまうわけです。いまにして思えば、たいした量ではないんですけど、それがすべて身になってしまう感じでした。1週間で2キロ。ただ、元々軽いところから2キロ落とさなければならないので、しんどくなる。でも、考えようによっては、普通のサラリーマンの方々と同じように寝て起きて、仕事をしてというタイムスケジュール通りに行うと思えば、当たり前のことなんでしょうけど。

[西]もちろん、一般のお仕事も大変ですけど、馬に乗るというのは見た目以上に重労働だったりしませんか? 騎手の方でも乗らなくなった途端に太られる場合がありますけど、そう思います。

[金]僕は余裕がないからなのでしょうか、逆に痩せました。ポキポキとよく鎖骨を折りましたけど、動かないから食欲がわかないですし、筋肉が落ちるので、体重そのものは落ちるんです。でも、馬に乗れなくなってしまう。

[西]太る方は馬乗りを辞めてしまうケースで、怪我をして休むとなると、水分も取らないし、何もできないからということなんじゃないかな。僕も怪我して痩せました。ただ、力はなくなりますけどね。

[金]デビュー3年目までは49キロも乗っていました。ただ、戒告を受けてしまうこともあったんですよ。

[西]そうだったんだ。

[金]49.5キロまではいきませんでしたけど、49.3キロくらいだったことがありました。49.5キロまでいかないから49キロで乗ることができたんですけど、0.2キロと0.3キロの間に厳しい差があって、0.3キロが2、3回あると戒告を受けてしまいます。

[西]やはり食べた分はそのまま重さになる感じなんですか?

[金]そうですね。今日こうして飲み食いするとしたら、明日は汗取りを頑張らなければなりません。でも、競馬学校時代からなんですよ。学校を脱走して走りに行ったというのは、ひょっとすると僕くらいじゃないですかね。

[西]えっ、どういうこと?

[金]当時は43キロを維持しなければなりませんでした。1年生で風呂場で汗取りをしていた奴もいたんですけど、僕はのぼせてしまって、湯船に10分、長いときには15分とか浸かっていますので、上がった瞬間倒れてしまうこともあったんです。なので、点呼が終わってから、夜抜け出して走ったんです。

[西]競馬学校当時の身長はいくつくらいだったの?

[金]入学時に160センチでした。

[西]あ、元々が大きいんだね。

[金]同期では最後まで一番大きかったです。

[西]お母さんとは大きいの?

[金]そこまでではないです。父親が骨太タイプではあるかなぁ、という感じです。

[西]ただ、騎手として160センチというのは大きい方だし、いまはそれ以上ということだからね。

[金]いまは170センチでしょうか。でも、1年生のときが一番苦しかった。あの時期を乗り越えることができたことで、そこから頑張れたかなぁと思うんです。競馬学校から鎌ケ谷大仏まで走っていたんですけど、当時は体重をオーバーすると馬に乗せてもらえず、引き馬をする、というルールがあって、よく引き馬していました。いまだったら、卒業できていなかったかもしれません。

[西]よく脱走して、お菓子や食べ物を買いに行くというのはお決まりだけど、走ったというのは聞いたことないかも。

[金]もう今だから言えますけど、捨て血というか、血を抜いて軽くしたこともありました。

[西]マジですか。

[金]朝、お風呂場の体重計に乗って、「あっ、駄目だ」となるわけですよ。それで下剤や利尿剤とか、いろいろ手を出しましたけど、もう出るモノがないところまでいっていますので、もう最後の100グラムを軽くするために、紐で腕をしばって、血を抜きました。何グラムのために、何回かは自分で血を抜きましたよ。恥ずかしいことだと思っていたので、人に言ったことはありませんけど。

[西]いやぁ、それは凄いよ。少なくとも、俺はできない。

[金]検量の数分間を乗り切るためなんですけどね。もうカラカラだし、フラフラだし、それで朝ラジオ体操をして、寝わら上げをして、朝食になるわけですけど、そのときの牛乳の旨さは何とも言えませんでした。

[西]でも、牛乳は太りそうだね(笑)。

[金]そうなんですけど、喉は乾いているし、お腹は空いているし、余っている牛乳を飲んで、サラダを食べて、1日それだけで我慢していました。

次回へ続く

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