北枕鳩三郎の注目の馬体
【2021年エリザベス女王杯】
牝馬限定戦での馬体の見方と、好走期待馬のパドックでの診断ポイントを紹介!
阪神の芝2200で行われる2021年エリザベス女王杯で必要となる能力とは!? そして、牝馬限定戦でのパドックの見方、そして注意点とは!? サラブレ本誌にも度々ご登場いただいた、パドックの達人・北枕鳩三郎氏(著者プロフィール)に、2021年エリザベス女王杯のポイントと馬体面からの好走期待馬を挙げていただいた。
昨年よりも上がりの時計を要している2021年秋の阪神の芝だけに、芝2200で行われるエリザベス女王杯も少し距離適性が長めの馬を狙い打ちするのがセオリーです。重たい芝ほど、道中の追走にスタミナが削られる傾向があり、スピード一辺倒では乗り切ることができません。特に牝馬は牡馬ほどのパワー兼備の一流馬は少ないとも言え、より馬体や歩様からパワー型の資質を見抜く必要があります。
そこで、まずは牝馬限定戦でのパドックの見方、そして注意点をお伝えし、好走が期待できるオススメ馬を発表したいと思います。
毛艶は体調をはかる一番の方法
馬体のシルエットは好走時と比較を
気温が下がってくるこの時期は、牡馬に比べて冬毛が伸び、毛艶が悪くなってくるタイミングが早いのが牝馬です。それだけに見栄えが悪く感じるかもしれませんが、大きく減点する必要はありません。しかし、毛艶は体調をはかる一番の方法と言え、やはり厳寒期であっても毛艶が良い馬はそれだけ体調の良い馬だと言えます。毛艶の良い馬はパドックの評価で加点するイメージで良いでしょう。
次に、牝馬は牡馬に比べて腹袋の大きな馬が少ないのがひとつの特徴です。大きな腹袋が遺伝しやすいロベルトの血を持つ馬でさえ、牝馬となるとシルエット自体はシャープに映ります。牡馬の場合、多少太めに映っても、腹袋にスタミナを溜め込むという表現が可能ですが、牝馬の場合は単なる太め残りである可能性が高いことは知っていて損はありません。特にG1での高レベルの争いになると、馬体の造りに余裕がある馬の好走率はガクンと下がります。
また、逆にお腹のラインが細すぎるのもマイナス。G1仕様に稽古を強めて出てくる馬も多く、ギリギリの仕上げか否か、そのサジ加減が難しいのが牝馬でもあります。狙っている馬の好走時のパドック映像をしっかりと頭の中に叩き込んで、当日のお腹のラインがそれと比較して、どう映るのかも非常に大事なポイントとなります。
ちなみに、エリザベス女王杯は時季的にも絞りづらく、プラス体重で出走してくる馬の方が多いレース。馬体の細化よりも太め残りに注意してください。その際に馬体重の増減に左右されるのではなく、あくまで馬体のシルエット的に好走時と比較してジャッジすることをオススメいたします。
さて、ここからは好走を期待するオススメ馬3頭を発表します。冒頭に触れたように、距離適性としては2200よりもそれ以上の長めの距離が向く馬の方が良い、というのがある意味、結論でもあります。オススメ馬は皆、今の阪神を乗り切れるパワー兼備の馬たちです。
約28年間、パドックの最前列にこだわり続け、学生時代には年間365日、南関と中央のパドックに立ち続けたことも。競馬場以外にもセレクトセールや一口馬主のツアーなどにも参加し、数え切れないほど馬体を見続けてきた。その馬見に関してはネットを中心にカリスマ的人気を誇る。サラブレ本誌をはじめ競馬メディアにも度々寄稿。近年はツイッターの鍵付きアカウントに限定して予想や馬産地で見た馬の情報などを公開中。