穴ぐさ傾向と対策
天皇賞・秋でタスティエーラがA評価だった理由は?
今週末の重賞はアルゼンチン共和国杯、みやこS、京王杯2歳S、ファンタジーS。その予想に役立つ情報と穴ぐさの好走率が高い特別競走をご紹介します。今週末の重賞も、レースの特性&性質の分析が重要でしょう。
先週(10月26日~27日)の穴ぐさは[4.9.6.93](複勝率17.0%)でした。天皇賞・秋で【A】評価のタスティエーラが9番人気で②着に激走してくれました。馬券を獲ったみなさん、おめでとうございました!
天皇賞・秋の穴ぐさは、【A】評価がタスティエーラ、【B】評価がダノンベルーガ、【C】評価がマテンロウスカイでしたが、ダノンベルーガに騎乗予定だったC.デムーロ騎手がレース当日(27日)の6Rまでに騎乗機会5連勝を記録していたこともあって、ダノンベルーガの単勝人気がどんどん上がっていったんですよね。
最終的にダノンベルーガは5番人気で、タスティエーラは馬体重が18kg増(506kg)だったことも関係してか、9番人気(単勝53.8倍)でした。内心では、さすがにこの人気はないでしょう、と思っていました。
タスティエーラの「穴ぐさコメント」は、内容がちょっと伝わりづらかったか、と感じていました。せっかくなので、ここで解説しますね。
まず、1行目(赤線)は、タスティエーラが東京芝で好位から速い上がりを計時していることを記しました。今年の天皇賞・秋はハイペースが考えづらかったですし、近年の勝ち馬はイクイノックスを除くと、優勝馬の多くが4角6番手以内から速い上がりで押し切ってました。今年もそれに該当する馬に向くと考えていて、実際にダービーを好位(4角4番手)から速い上がりで押し切った実績があったタスティエーラには、それを再現する資質があると感じていました。
好位を取るにはスタートが重要で、ベターなのはゲートが後入れになる偶数馬番だと考えていました。タスティエーラ自身、偶数馬番での成績が良く、今回は好位を取りやすそうな内目の枠(3枠4番)であることを記したのが3行目(青線)です。タスティエーラの近4走(②⑥⑪⑦着)は奇数馬番でした。
2行目(緑線)では距離適性について触れました。タスティエーラはダービー①着、菊花賞②着の実績があるので、長距離向きに思っている人がいるかもしれないけれど、この牝系から天皇賞・秋の優勝馬が複数出ていて、スピードの問われる中距離がベストの可能性がありますよ、ということを伝えたつもりです。ちなみに、クラフティワイフの父はCrafty Prospectorで、同馬から2001年の天皇賞・秋の勝ち馬アグネスデジタルも出ています。
言うまでもないことだったかもしれませんが、堀厩舎の馬は東京芝の重賞で好走率が高く、4行目(黒線)でそのことを加えました。
タスティエーラはダービー馬で、東京芝のG1で実績があったので、ダノンベルーガやマテンロウスカイよりも高評価(【A】評価)としました。
実際のレースは、1000mの通過タイムが59秒9で、松山騎手がスタートを決めたタスティエーラは好位に位置していました。直線に入り、追われてから脚を伸ばして、タスティエーラ自身が計時した上がり3Fタイムは33秒4。完璧なレースぶりだったと感じましたが、上がり32秒5を使う馬が現れることまでは想像していませんでした。
直線でのドウデュースの末脚は、何度見返しても素晴らしいですね。個人的には、ホワイトストーンを本命にしていて、オグリキャップが優勝した1990年の有馬記念以来の清々しさを感じています(笑)。
写真:瀬戸口翔
予想は「レースそれぞれの特性分析が重要」ということをここで何度も記してきましたが、想像通りにことが運んだつもりでも、想像を超えることが起こります。それがまた競馬の楽しさ・素晴らしさでもあるので、今週末以降も、いろいろと想像を巡らせながら楽しみましょう。
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今週末は米国BCがあり、国内ではアルゼンチン共和国杯、みやこS、京王杯2歳S、ファンタジーSという重賞が予定されています。
アルゼンチン共和国杯は東京芝2500mでのハンデG2ですが、昨年以降、芝2200m以上のハンデ重賞(JRA)は7レースが行われ、上位人気馬が勝利するケースが続いています。
【2023年以降の芝2200m以上のハンデ重賞(JRA)】
レース | ①着 | ②着 | ③着 |
2024年 目黒記念 |
1人 | 10人 | 2人 |
2024年 ダイヤモンドS |
2人 | 1人 | 3人 |
2024年 日経新春杯 |
1人 | 4人 | 3人 |
2023年 アルゼンチン 共和国杯 |
1人 | 5人 | 2人&4人 |
2023年 目黒記念 |
4人 | 6人 | 1人 |
2023年 ダイヤモンドS |
2人 | 13人 | 1人 |
2023年 日経新春杯 |
2人 | 10人 | 4人 |
【2023年以降の芝2200m以上のハンデ重賞(JRA)】
ハンデ | 着別度数 |
ハンデ56kg以下 | [1.5.5.52] |
ハンデ57kg以上 | [6.2.3.29] |
優勝馬は1~4番人気で、そのうち6頭はハンデ57kg以上でした。ハンデ56kgの馬が勝利したのは昨年のダイヤモンドSで、その時はハンデ57kg以上の馬がいなかったんですよね。ハンデ57kg以上の馬が存在した6レースでは、いずれもその中から勝ち馬が出ています。
今年のアルゼンチン共和国杯の登録馬には、ハンデ57kg以上の馬がクロミナンスやセレシオンなど9頭もいます。その中で上位人気に推されたタイプに注目するといいかもしれませんね。
みやこSは京都ダート1800mでのG3で、今年のJRAのダート重賞は、G2&G3に限ると、やはり上位人気馬が制するケースが多くなっています。
【2024年のダートG2&G3(JRA)】
人気 | 着別度数 |
1番人気 | [3.3.2.2] |
2番人気 | [1.0.2.7] |
3番人気 | [1.3.0.6] |
4番人気 | [0.1.1.8] |
5番人気 | [4.1.0.5] |
6番人気以下 | [1.2.5.96] |
【2024年のダートG2&G3(JRA)】
馬体重 | 着別度数 |
498kg以下 | [1.4.5.52] |
500kg以上 | [9.6.5.72] |
対象の10レースのうち9レースの勝ち馬が1~5番人気で、6番人気以下の馬が勝利したのはハンデ戦のマーチSです。また、10レースのうち9レースで馬体重が500kg以上だった馬が優勝していて、498kg以下の馬が勝ったのはハンデ戦のシリウスSです。
上記の10レースのうち、ハンデ戦以外の8レースでは、馬体重が500kg以上だった1~5番人気馬が勝利を収めているので、別定戦のみやこSでも、大型の上位人気馬に期待するといいのではないでしょうか。
京王杯2歳SとファンタジーSは2歳重賞で、今年の2歳重賞(JRA)では、前走で先行してメンバー中上位の上がりを使った馬が優勝しています。
【2024年の2歳重賞(JRA)】
前走の 4角位置 |
前走の上がりが メンバー中1~3位 |
前走の上がりが メンバー中4位以下 |
前走が 4角1番手 |
[0.5.4.9] | [0.0.0.5] |
前走が 4角2~4番手 |
[6.0.1.22] | [0.0.0.4] |
前走が 4角5番手以下 |
[0.1.1.10] | 出走なし |
先週までに、今年は2歳重賞(JRA)が6レースあり、いずれも前走で4角2~4番手からメンバー中3位以内の上がりを使っていたタイプが勝利しています。前走が4角1番手だった馬は②~③着が多いので、京王杯2歳SとファンタジーSでも参考にしてみてはいかがでしょうか。
→菊花賞も天皇賞・秋も
7番人気以下の【穴ぐさ】が激走!←
7番人気以下の【穴ぐさ】が激走!←
京都芝は今週末からBコースに替わるので、ご注意ください。11月2日~3日に行われる東京、京都、福島の芝の使用コースと平地特別競走での穴ぐさ成績は、次の通りです。
11月2日~3日
場所 | 芝 |
東京 | Bコース・2週目 |
京都 | Bコース・1週目 |
福島 | Aコース・1週目 |
11月2日
場所 | レース名 | 穴ぐさ 成績 |
東京9R | 神奈川新聞杯 | [0.3.1.30] |
東京10R | ノベンバーS | [2.0.4.29] |
東京11R | 京王杯2歳S | [4.4.2.39] |
京都9R | 衣笠特別 | [0.3.1.23] |
京都10R | 貴船S | [3.2.2.29] |
京都11R | ファンタジーS | [2.4.1.39] |
福島9R | 三春駒特別 | [2.1.5.32] |
福島10R | 三陸特別 | [0.2.1.38] |
福島11R | フルーツラインC | [4.2.3.40] |
11月3日
場所 | レース名 | 穴ぐさ 成績 |
東京9R | 百日草特別 | [0.0.1.6] |
東京10R | 錦秋S | [0.1.4.37] |
東京11R | アルゼンチン共和国杯 | [2.1.2.48] |
京都9R | もちの木賞 | [2.1.0.22] |
京都10R | 醍醐S | [0.2.3.33] |
京都11R | みやこS | [2.3.3.33] |
福島9R | 土湯温泉特別 | [0.2.2.35] |
福島10R | 河北新報杯 | [3.1.3.33] |
福島11R | みちのくS | [2.1.6.43] |
☆注目レース☆
京王杯2歳S(G2、東京芝1400m)
京王杯2歳Sでの穴ぐさは[4.4.2.39](複勝率20.4%)で、複勝回収率は146%です。昨年は【A】評価のロジリオンが8番人気で②着、一昨年は【A】評価のフロムダスクが11番人気で②着に入り、3年前は【B】評価のキングエルメスが8番人気で優勝しています。
近10年では7番人気以下で③着以内に入った馬が7頭いて、そのうち6頭は中5~10週での臨戦で、同じく7頭のうち6頭は馬番10番以内でした。7頭のうち6頭は父か母父がサンデー系かミスプロ系で、7頭のうち6頭は前走時馬体重が448kg以上だったので、馬体重や血統をチェックしておきましょう。
☆注目レース☆
みやこS(G3、京都ダート1800m)
みやこSでの穴ぐさは[2.3.3.33](複勝率19.5%)で、複勝回収率は106%です。
2014年以降のみやこSでは7番人気以下で③着以内に入った馬が9頭いて、そのうち8頭は中6週以内での臨戦で、2016年以降の7頭は5歳以上でした。9頭のうち7頭は前走が⑤着以内で、京都で激走した6頭は前走⑤着以内で馬番10番以内だったので、真ん中から内枠で前走掲示板内の馬をマークしておくと良さそうです。激走した9頭のうち8頭は前走時馬体重が498kg以下で、必ずしも大柄である必要はなさそうです。
☆注目レース☆
貴船S(3勝クラス、京都ダート1200m)
貴船Sでの穴ぐさは[3.2.2.29](複勝率19.4%)で、複勝回収率は116%です。
馬券に絡んだ7頭の穴ぐさは中4週以内での臨戦で、7頭のうち5頭は牝馬です。ただ、7頭のうち5頭は馬体重が486kg以上だったので、ある程度の馬格があるタイプが望ましいでしょう。ダート1200mで③着以内に入った5頭は前走が4角1~8番手で、レースでは4角3~8番手から馬券圏内に入ったので、位置取りが後方過ぎない馬が良さそうです。
☆注目レース☆
三春駒特別(1勝クラス、福島芝2000m)
三春駒特別での穴ぐさは[2.1.5.32](複勝率20.0%)で、複勝回収率は116%です。昨年は【B】評価のピンクジンが5番人気で②着、【C】評価のコスモバラタが6番人気で③着に入る【穴ぐさダブル】でした。
馬券圏内に入った8頭の穴ぐさは父か母父がサンデー系で、そのうち7頭は馬番7番より外枠で、8頭のうち6頭は3~4歳でした。8頭は前走が④着以下でしたが、左回りや直線に急坂があるコースでした。8頭は右回りで勝ち鞍があり、そのうち6頭は右回りの直線平坦コースで勝ち鞍があったので、コース替わりで妙味がありそうな馬を狙いましょう。
■ちなみに…■
アルゼンチン共和国杯での穴ぐさは[2.1.2.48]で、ファンタジーSでは[2.4.1.39]です。ファンタジーSでは、昨年に【C】評価のドナベティが9番人気で②着に入り、一昨年に【A】評価のリバーラが10番人気で優勝しています。
近10年のアルゼンチン共和国杯では6番人気以下で③着以内に入った馬が5頭いて、中6週以内だった4~5歳馬です。5頭はいずれも前走から斤量が軽くなっていました。5頭は前走で4角3~6番手に付けていて、そのうち4頭は前走時馬体重が482~498kgだったので、前走時の馬体重とレースぶりをチェックしておきましょう。
近10年のファンタジーSでは7番人気以下で③着以内に入った馬が7頭いて、そのうち5頭が10番人気以下でした。7頭は中5週以上での臨戦で、そのうち6頭は中8週以上でした。7頭のうち6頭は馬番8番以内で、同じく7頭のうち6頭は前走時馬体重が410~420kg台だったので、前走から間隔を空けられた小柄なタイプを侮らないように気を付けましょう。