穴ぐさ傾向と対策
日本ダービーもグレイソヴリン系を持つ馬が!?
先週(5月20日~21日)の穴ぐさは[6.2.7.100](複勝率13.0%)で、単勝回収率が140%でした。ただ、オークスで15番人気で③着に入ったドゥーラを指名できず、申し訳ありませんでした。
オークスを制したのは圧倒的1番人気だったリバティアイランドで、直線で6馬身差を付けて圧勝しましたね。計時した上がり3Fはメンバー中最速の34秒0で、他馬とは一枚も二枚も力差があった印象でした。
リバティアイランドはドゥラメンテ産駒で、②着にはハーツクライ産駒のハーパーが入りましたが、③着のドゥーラもドゥラメンテ産駒でした。オークスの前には、フリーウェイS(3勝クラス、芝1400m)と調布特別(2勝クラス、芝1800m)という芝の特別競走が組まれていましたが、その結果がオークスでの父キングマンボ系(ミスプロ系)の台頭を暗示するかのような内容だったんですよね。
9Rの調布特別は次のような結果でした。
【2023年5月21日・東京9R調布特別】
着順・馬名 | 父 |
①着アドマイヤハレー | モーリス |
②着シンティレーション | ロードカナロア |
③着ジッピーレーサー | City Zip |
④着ジャスティンヴェル | ドゥラメンテ |
⑤着サイルーン | ディープインパクト |
⑥着シュブリーム | ジャングルポケット |
⑦着シゲルローズマリー | シルバーステート |
⑧着メタルスパーク | ジョーカプチーノ |
⑨着ポッドヴァイン | ジャングルポケット |
⑩着シーニックウェイ | ハーツクライ |
黄色がミスプロ系、ピンク色がサンデー系、オレンジ色がロベルト系、青色がグレイソヴリン系です。調布特別は、3頭いた父ミスプロ系が②~④着に入り、4頭いた父サンデー系は⑤着以下でした。
続いて、10RのフリーウェイSは次のような結果でした。
【2023年5月21日・東京10RフリーウェイS】
着順・馬名 | 父 |
①着ペイシャフェスタ | マクフィ |
②着セッタレダスト | トゥザグローリー |
③着ショウナンアレス | リオンディーズ |
④着ドゥラモンド | ドゥラメンテ |
⑤着フミロア | ロードカナロア |
⑥着アルトシュタット | ロードカナロア |
⑦着サルファーコスモス | キングカメハメハ |
⑧着スコールユニバンス | ドゥラメンテ |
⑨着ファロロジー | バトルプラン |
⑩着アバンチュリエ | モーリス |
⑪着シュヴェルトライテ | マツリダゴッホ |
⑫着モチベーション | ガルボ |
⑬着ヒルノローザンヌ | キズナ |
⑭着ボルザコフスキー | キズナ |
⑮着グッドマックス | ジャスタウェイ |
⑯着ミスボニータ | イスラボニータ |
⑰着ショウリュウレーヴ | ミッキーアイル |
⑱着アンセーニュ | オルフェーヴル |
このレース結果を見て、こんなことが起こるのか!?とビックリしました。フリーウェイSは、父ミスプロ系と父サンデー系で明暗がくっきりと分かれて、明らかに日曜日(21日)午後の東京芝が父ミスプロ系に向いていることを表していました。
結果、11Rオークスの上位5頭は次の通りでした。
【2023年5月21日・東京11Rオークス】
着順・馬名 | 父 |
①着リバティアイランド | ドゥラメンテ |
②着ハーパー | ハーツクライ |
③着ドゥーラ | ドゥラメンテ |
④着ラヴェル | キタサンブラック |
⑤着シンリョクカ | サトノダイヤモンド |
先週のこのコーナーでは、昨年以降の芝2400mの重賞(JRA)の連対馬は父サンデー系か父キングマンボ系で、①着馬と②着馬が同じ父系になることが多いことを記しました。オークスは①着馬と②着馬が同じ父系ではなかったので、その点は当たりませんでしたが、掲示板に載った5頭は父サンデー系か父キングマンボ系で、今週末の日本ダービーでも、両父系の馬をどう扱うかがポイントになるんじゃないでしょうか。
2021年以降のJRAの芝2400mの重賞(12レース)を調べると、勝ち馬は父サンデー系(7頭)か父キングマンボ系(5頭)となっていて、①&②着の組み合わせは次のように表現することができます。
【2021年以降のJRAの芝2400m重賞】
条件 | レース数 |
①着が父サンデー系で、 ②着も父サンデー系 |
5レース |
①着が父サンデー系で、 ②着が父ロベルト系 |
2レース |
①着が父キングマンボ系で、 ②着も父キングマンボ系 |
3レース |
①着が父キングマンボ系で、 ②着が父サンデー系 |
2レース |
父サンデー系が勝利したレース(7レース)は、②着が父サンデー系(5レース)か父ロベルト系(2レース)で、他の父系の馬が②着になっていません。一方、父キングマンボ系が勝利したレース(5レース)は、②着が父キングマンボ系(3レース)か父サンデー系(2レース)で、他の父系の馬が②着になっていません。連対馬は父サンデー系か父キングマンボ系か父ロベルト系のいずれかで、①着父サンデー系・②着父キングマンボ系という組み合わせはないんですね。
今週末の日本ダービーで上位人気が予想されるのは、ソールオリエンス、タスティエーラ、ファントムシーフ、スキルヴィングだと思いますが、このうちソールオリエンスとスキルヴィングはキタサンブラック産駒(父サンデー系)で、タスティエーラとファントムシーフは父ノーザンダンサー系です。組み合わせをどう考えるかが楽しみなレースになりそうです。
オークスの①~③着はドゥラメンテ産駒とハーツクライ産駒だったので、いずれもトニービンを持っていたとも言えます。今春の東京芝2400mでのレースは、5月13日以降に4回行われ、グレイソヴリン系を持つ馬の好走が目立つので、その成績も見てもらいましょう。
【2023年5月13日以降の東京芝2400m】
月日レース | 着順・馬名 | グレイソヴリン系 |
5月21日 オークス |
①着リバティアイランド ②着ハーパー ③着ドゥーラ |
父母母父トニービン 父母父トニービン 父母母父トニービン |
5月21日 1勝クラス |
①着ライリッズ ③着タイセイアーサー |
トニービン4×3 母母父Highest Honor |
5月20日 未勝利 |
①着エコロマーベリック ②着コスタレイ ③着トロピカルライト |
父母父トニービン 父母母父トニービン 母母父トニービン |
5月13日 緑風S |
①着カーディナル ②着ワイドエンペラー ③着サクセスシュート |
母父母父トニービン 父母父トニービン 父母母父トニービン |
①~③着に入った馬のうち、4代血統表内にグレイソヴリン系を持つ馬を記すと上記の通りで、なんと非該当馬は1頭だけです。これだけ複数の好走馬が出ているということは、日本ダービーでも有力なのではないでしょうか。
今年の日本ダービーの登録馬のうち、4代血統表内にグレイソヴリン系を持つのは、グリューネグリーン、シーズンリッチ、ドゥラエレーデ、ハーツコンチェルト、フリームファクシ、ホウオウビスケッツです。スキルヴィングは5代目にトニービンを持っていますね。
昨年以降の芝2400mの重賞(JRA)は、上位人気でメンバー中上位の上がりを使った馬が優勝しているので、改めてその成績も確認しておきましょう。
【2022年以降のJRAの芝2400m重賞】
人気 | 着別度数 |
1番人気 | [2.2.0.3] |
2番人気 | [1.4.0.2] |
3番人気 | [3.0.1.3] |
4番人気 | [1.0.2.4] |
5番人気 | [0.0.0.7] |
6番人気以下 | [0.1.4.73] |
【2022年以降のJRAの芝2400m重賞】
上がり3F順位 | 着別度数 |
メンバー中1位 | [5.3.1.1] |
メンバー中2位 | [2.0.2.3] |
メンバー中3~5位 | [0.4.3.11] |
メンバー中6位以下 | [0.0.1.77] |
勝利した7頭は1~4番人気で、メンバー中1~2位の上がりを計時していました。今春の東京芝OPという観点でも、メンバー中1~2位の上がりを使った馬が勝ちまくっているので、やはり注目すべきでしょう。
【2023年春の東京芝OP】
上がり3F順位 | 4月 | 5月 |
メンバー中1~2位 | [1.1.1.3] | [7.2.4.3] |
メンバー中3位以下 | [2.2.2.31] | [0.5.3.87] |
開催序盤の4月はメンバー中3位以下の馬も勝てていましたが、5月以降はメンバー中1~2位の上がりを使った馬が7連勝中です。今週末の東京競馬場は良馬場となりそうで、日本ダービーも決め手上位の馬が差し切る可能性が高そうですが……、果たしてどうなるでしょうか!?
今週末は東京・京都の2場開催で、どちらも芝はCコースに替わります。5月27~28日に行われる東京、京都の芝の使用コースと特別競走での穴ぐさ成績は、次の通りです。
5月27~28日
場所 | 芝 |
東京 | Cコース・1週目 |
京都 | Cコース・1週目 |
5月27日
場所 | レース名 | 穴ぐさ 成績 |
東京9R | 富嶽賞 | [1.2.4.34] |
東京10R | 葉山特別 | [1.1.2.18] |
東京11R | 欅S | [0.1.2.44] |
京都9R | 御室特別 | [0.1.0.9] |
京都10R | 桃山S | [0.4.5.23] |
京都11R | 葵S | [1.2.6.34] |
5月28日
場所 | レース名 | 穴ぐさ 成績 |
東京8R | 青嵐賞 | [1.1.0.23] |
東京9R | 薫風S | [4.2.1.30] |
東京10R | むらさき賞 | [3.0.2.40] |
東京11R | 日本ダービー | [1.2.4.43] |
東京12R | 目黒記念 | [2.2.4.41] |
京都9R | 與杼特別 | [1.1.0.36] |
京都10R | 安土城S | [1.0.0.26] |
京都11R | 白百合S | [0.2.2.9] |
京都12R | 渡月橋S | [1.0.3.37] |
☆注目レース☆
日本ダービー(G1、東京芝2400m)
日本ダービーでの穴ぐさは[1.2.4.43](複勝率14.0%)で、複勝回収率は125%です。昨年は【A】評価だったアスクビクターモアが7番人気で③着に入りました。
近10年での日本ダービーでは7番人気以下で③着以内に入った馬が7頭いて、そのうち6頭は③着です。激走した7頭は前走が芝2000m以上のOPで、①~⑤着か、3~4番人気でした。7頭はキャリア5~7戦で、2014年以降の6頭は父か母父がサンデー系です。
激走した7頭のうち、ノーザンファームの生産馬が3頭いて、馬番6~11番でした。それら以外の4頭は馬番1~3番だったので、ノーザンファームの生産馬と内枠の馬をマークしておきましょう。
☆注目レース☆
葵S(G3、京都芝1200m)
葵Sでの穴ぐさは[1.2.6.34](複勝率20.9%)で、複勝回収率は116%です。昨年は【A】評価だったコムストックロードが9番人気で②着に入り、2014年以降は近9年のうち8年で穴ぐさが馬券に絡んでいます。
重賞の近5年(2018~22年)では7番人気以下で③着以内に入った馬が6頭いて、いずれも2勝馬です。6頭のうち5頭は牝馬で、5頭の牝馬は前走が⑥着以内でひと桁馬番でした。2020年以降の激走馬4頭は父か母父がサンデー系です。
☆注目レース☆
薫風S(3勝クラス、東京ダート1600m)
薫風Sでの穴ぐさは[4.2.1.30](複勝率18.9%)で、複勝回収率は110%です。
③着以内に入った7頭の穴ぐさは4~6歳で、中2~4週での臨戦でした。7頭のうち6頭は左回りで勝ち鞍があり、7頭のうち6頭は近4走以内にダートで連対歴がありました。1600m戦で激走した4頭のうち3頭は父か母父がサンデー系で、メンバー中2位以内の上がりを使っていたので、サンデー系内包で決め手のありそうな馬が狙い目でしょう。
☆注目レース☆
桃山S(3勝クラス、京都ダート1900m)
桃山Sでの穴ぐさは[0.4.5.23](複勝率28.1%)で、複勝回収率は130%です。
ダート1900mの時に限ると[0.4.3.21](複勝率25.0%)で、馬券圏内に入った7頭は4~6歳の牡馬で、そのうち6頭は馬番1~6番でした。7頭のうち6頭は中8週以内での臨戦で、同じく7頭のうち6頭は4角5番手以内から③着以内に入っていたので、順調に使われている先行型が侮れないでしょう。
☆注目レース☆
葉山特別(2勝クラス、東京芝1600m)
葉山特別での穴ぐさは[1.1.2.18](複勝率18.2%)で、複勝回収率は114%です。
馬券に絡んだ4頭の穴ぐさは4~6歳で、中1~6週での臨戦でした。4頭は左回りで勝ち鞍があり、そのうち3頭は馬番1~4番でした。4頭は3代血統表内にミスプロ系を持っていたので、内枠のミスプロ系内包馬をマークしておきましょう。
■ちなみに…■
目黒記念での穴ぐさは[2.2.4.41]で、昨年は【B】評価だったウインキートスが8番人気で③着に入りました。
近10年の目黒記念では、7番人気以下で③着以内に入った馬が13頭いて、父か母父がサンデー系かグレイソヴリン系の馬です。激走した13頭のうち7頭は芝重賞での連対実績があり、それ以外の6頭のうち5頭は近2走以内に芝で連対歴があったので、重賞実績か勢いがあるタイプに注意しましょう。
牝馬で54kg・牡セン馬で56kg以上を背負って激走した馬は6頭いて、そのうち5頭は馬番9番より外枠でした。それ以外の7頭のうち6頭は馬番9番以内だったので、重めのハンデ馬は真ん中から外枠、軽めのハンデ馬は真ん中から内枠がベターでしょう。