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速攻レースインプレッション

完璧な競馬で2連勝、スプリンターズSでも楽しみな存在に

文/浅田知広、写真/森鷹史


まずは謝っておこう。前走で「2戦続けて勝つようなタイプではない」とか書いてごめんなさい。

さて、サマースプリントシリーズの第4戦、北九州記念である。このレース、ハンデ戦ということもあり、単勝1番人気は過去10年[1.2.2.5]、2番人気は[1.2.1.6]とともに1勝止まり。まったくダメというほどでもないが、ちょっと信用もしづらい成績だ。

さらに、これに単勝オッズも絡めると、1番人気で単勝2.6倍以上だった馬は[0.0.2.5]。2番人気で5.1倍以上だった馬は[0.0.1.5]と連対なし。1、2番人気に関しては、人気+オッズで見ると、連対候補に入るかどうかが判断できるレースだ。

さて、今年。1番人気に推されたダイアナヘイローは5.8倍。そして2番人気のアサクサゲンキは5.9倍と、過去10年の傾向からは好走しても「③着以下」までというオッズになった。

ダイアナヘイローは昨年の覇者だが、その後は⑮⑯⑱⑨着。前走は直線で詰まりっぱなし、そして昨年制したレースといっても、なかなか信頼はしづらい成績だ。続くアサクサゲンキは2戦連続で出遅れ、後方から鋭い脚を繰り出し⑤④着と、強そうではあるが、これまた1番人気にも推しづらいかな、といった印象である。

もっとも、それで1、2番人気になるのだから、他馬はもっと半信半疑。3番人気のゴールドクイーンは前々走の葵Sを逃げ切って重賞制覇を果たしているが、ここは同型がカギ。4番人気ダイメイプリンセスは今年、直線1000m戦ばかりで3勝、他は⑤着以下。さらに5番人気のセカンドテーブルは16年春以降勝利がない。結局、どれが1番人気になったとしても「ちょっとどうなんだろう」というような構成だった。

そんなメンバーで、まずは注目の先行争い。好発を決めたのはラブカンプー(7番人気)だったが、葵Sで先に行かれたゴールドクイーンのほうが速いとみたか、内を見つつ逃げる気はなし。結果、ゴールドクイーンがハナに立ち、ナインテイルズ(10番人気)を挟んでラブカンプーは3番手。好位から中団にダイアナヘイローダイメイプリンセスセカンドテーブル。そしてアサクサゲンキは今回は互角に出たものの、二の脚は今ひとつでやはり後方からとなった。

前半の600m通過は32秒4と速い流れ。しかし、まず3コーナーでナインテイルズゴールドクイーンに並ぶと、直後のラブカンプーもさらに外からかぶせていって、4コーナー手前で先頭にかわった。そして、その外からはダイメイプリンセスも追っていったが、そんな動きを見つつ、内で脚を溜め……いや、抜群の手応えながらも前が詰まっている赤い帽子が1頭。それを見た瞬間に「あ、これ、またやられたわ」というアレスバローズ(6番人気)だった。

CBC賞は直線で外に出しての差し切りだったが、今回はそのまま内へ。前で止まったゴールドクイーンナインテイルズの間、ぎりぎり1頭分を割って出ると、ラチ沿いに入って抜群の切れ味ラブカンプーを一気に交わし先頭へ。外からじりじりと差を詰めていたダイメイプリンセスも楽に突き放し、CBC賞と同じ②着に0秒2差をつけての快勝、重賞連覇を飾ったのだった。

アレスバローズは早めに行くと甘くなり、かといって後方からでは届かなかったり、不利があったり。そんな中で菱田騎手の手を離れていたが、ここ2戦は互角にゲートを出ると、ペースも速くなって中団できっちり折り合い直線へ。最後はしっかりとした末脚を繰り出し完勝と、まったくもって完璧な競馬での2連勝。そして前走の川田騎手から今回は菱田騎手に戻り、こちらはプレッシャーもかかる中でのJRA重賞初制覇となった。

前走時には、次走で人気になったら嫌いたい、そこで負けてスプリンターズSあたりで人気薄ならおもしろいか、などと考えていたのだが、なんのことはない、CBC賞(4番人気、9.1倍)から人気順は落としての6番人気(オッズは8.7倍)。いくらハンデ2キロ増に乗り替わりとはいっても、あの強い競馬をしたあとに同じG3でこの人気なら、今回も買いだったのではないか、という話である。そんなファンの支持やら自身の予想やらはさておいても、この競馬、人馬ともお見事でしたと頭を下げるしかない。

これでサマースプリントシリーズ2勝目、シリーズの王者にも近づいたと同時に、スプリンターズSでも楽しみな存在には変わりない。ただ、セントウルSに出走するとスプリンターズSまで中2週+中2週になってしまう。サッカーのワールドカップ・グループリーグ最終戦の日本代表ではないが、シリーズ制覇は「他力本願」でG1制覇を狙うのか、それともセントウルSに駒を進めて自力で王座を獲りにいくのか。その選択にも注目したい。


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