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速攻レースインプレッション

高速決着の皐月賞はキズナ産駒の牡馬が戴冠

文/出川 塁、写真/小金井 邦祥


2010年代以降、牝馬が牡馬混合2000m以上のG1を勝つ光景は当たり前になった。それでもなかなか勝てないレースはあり、たとえば皐月賞はその典型かもしれない。

牝馬には1週前に桜花賞という大きな目標があり、そもそもの出走が限られるという事情はある。ブエナビスタやジェンティルドンナ、アーモンドアイが出走していれば、すでに歴史が変わっていた可能性はあるだろう。

ただ、少ないながらも2010年以降の皐月賞に出走した牝馬3頭のうち、2頭は1番人気に推されている。すなわち、レース前には勝者の資格が十分にあるとみなされていた。しかし、2017年のファンディーナ、今年のレガレイラともに掲示板を外す結果に終わっている。

ファンディーナは、1月デビューから3月のフラワーCまで3連勝を飾った勢いで挑戦したものの、先行策から伸びあぐねて⑦着に敗れた。結果論ではあるが、年明け4戦目のローテーションは3歳牝馬には厳しかったか。

そのことを踏まえると、レガレイラ「76年ぶり」の期待が集まったのは大いに納得できる。昨年末のホープフルSを勝った直後には、桜花賞ではなく皐月賞を目指すことが伝えられた。同条件のG1で実際に牡馬を負かしたのだから、普通の選択とも言える。

ところが、相棒のルメール騎手が先月のドバイターフで落馬負傷。その後、北村宏司騎手が騎乗することが発表されたのは、レース当週の木曜11日だった。もちろん北村宏騎手はG1経験も豊富なベテランではあるのだが、完全に憂いがない臨戦にはならなかったことは否定しづらい。

迎えた当日のレース展開も楽なものにはならなかった。年明け初戦で1冠目に出走するのはもはや当たり前となった。ただ、年明け初戦の皐月賞で好走した馬にはレースラップ上の共通点がある。前半1000m通過が、サートゥルナーリア①着の2019年は59秒1、コントレイル①着、サリオス②着の2020年は59秒8、イクイノックス②着の2022年は60秒2と、平均かやや遅めのペースで流れていたのである。

ところが今年は、メイショウタバルが超ハイペースで逃げて57秒5。同馬は4番人気と有力どころの一角を占めており、後続も無視はできない。実際、ジャンタルマンタルは直線入口で先頭に立ち、ジャスティンミラノも追いかけて、この2頭がそのまま上位に入っている。休み明けが不利にならない現代競馬でも、今年の皐月賞のような高速戦になると、最後まで息がもたない部分があるのかもしれない。まして3歳春の牝馬である。

その①着ジャスティンミラノ、③着ジャンタルマンタルはいずれも共同通信杯からの臨戦となった。昨年までの10年間で皐月賞5勝と、トライアル戦を押しのけて最有力となっている前走が、今年も大いに機能したかたちとなった。

ジャスティンミラノキズナ産駒の牡馬として初のG1勝ち。すでに種牡馬として成功を収めている父に、初となるクラシックのタイトルをもたらすこととなった。鞍上の戸崎圭太騎手はレース後の勝利インタビューで、友道康夫厩舎で調教をつけていた藤岡康太騎手から事細かに状態を教わっていたことを明かしている。3~4コーナーの中間あたりで追い通しになったのも想定の範囲内だったのではないか。キズナ産駒の勝利は、絆の勝利でもあった。

②着にはコスモキュランダが食い込んだ。弥生賞を勝ちながら7番人気の評価にとどまっていたが、下馬評を見事に覆した。先週の桜花賞に続いてG1好走のモレイラ騎手もさることながら、父アルアインのレースレコードが破られた一戦で激走。高速決着となった皐月賞で、その血が大いに騒いだ格好だ。

ジャンタルマンタル距離の不安をささやかれながらも、川田将雅騎手の揺るぎない信頼に基くレースを展開。最後はさすがに脚があがったようにも見えたが、2000mのG1でこの走りは価値が高い。次走は1600mなのか2400mなのか。その選択が気になるところだが、どちらにしても堂々たる走りを披露してくれることだろう。

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