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速攻レースインプレッション

古き良き中山らしさをいちばん残している!?

文/出川塁、写真/小金井邦祥


12月の誕生石をレース名に冠したターコイズSが行なわれるのは、もちろん暮れも押し迫った5回中山の3週目。前月のエリザベス女王杯マイルCSを目標とした牝馬にとっては出走しづらい時期で、あまり力の差がないメンバー構成になりやすい。そのうえハンデ戦でゴチャつきやすい中山のマイルとくれば、混戦になるのも当然だろう。

実際、過去2年の勝ち馬はいずれも馬群を割って出てきた。16年はマジックタイムのルメール騎手。17年もミスパンテール横山典弘騎手。道中は馬群の真っ只中にいても慌てず騒がず、直線では開いた進路を見逃さず、見事なエスコートを披露した。15年のシングウィズジョイは先行抜け出しだったが、鞍上は戸崎圭太騎手。この通り、重賞昇格後のターコイズSを制したのは百戦錬磨のベテランジョッキーばかりということになる。

では、今年はどうだったか。先に結果を書いてしまえば、ミスパンテール横山典騎手が連覇を飾るのだった。

今年は2枠3番からスタートを決めて前々での競馬もできたが、無理をせずに中団のラチ沿いにつける。ロスなく進められる反面、最後は必ず馬群を割らなければならない。ただ、道中の揉まれ度合いでいえば、残り150mまで前が開かなかった昨年のほうが厳しかった。勝負どころの4コーナーでも周囲にはスペースがあり、狭くなったのは直線でリバティハイツの外に持ち出すときにぐらい。進路を得てからはしっかりと脚を伸ばし、一団でなだれ込む馬群から半馬身先んじてゴールした。

秋の2戦は府中牝馬S⑨着、エリザベス女王杯⑫着と苦戦したが、適距離のマイルに戻って鮮やかに巻き返して重賞4勝目。そのすべてで手綱をとった横山典騎手にとっては、ヴィクトリアマイルでかち合ったアエロリットを手放すことになったものの、コンビを継続したことがここで報われた格好となった。

また、昨年の速攻インプレでも触れられていた「父サンデー系×母父ロベルト系」による連勝も、この連覇によって自動的に継続された。これでこの組み合わせの馬が4連勝である。

血統に関して付け加えると、②着のリバティハイツサンデーの血を持たない。このことから類推すると、「父サンデー系×母父ロベルト系」の4連勝でより重要なのは「母父ロベルト系」なのだろう。サンデーの切れ味ではなくロベルト系の持続力が活きるのがターコイズSというレースなのだ。

それを裏付けるのがディープインパクト産駒不振。今年は6頭の産駒が出走したのだが、1番人気のプリモシーンが⑧着、2番人気のフローレスマジックも⑪着など、1頭も馬券圏内に入れなかった。それどころか、重賞昇格後のターコイズSにおいてディープインパクト産駒[0.0.0.11]と、いまだ③着以内に入ったことがない。

今年出走した6頭のディープインパクト産駒に関しては、母父に注目すると面白いことがわかる。⑤着と最先着したディメンシオンMontjeu、⑥着のレッドオルガダンシングブレーヴと、ディープインパクト産駒のなかでは上位に入った2頭の母父は、いずれも現役時代に凱旋門賞を制している。

一方、人気を裏切ったプリモシーンの母父はデインヒル系Fastnet Rockで、フローレスマジックStorm Cat。つまり、スタミナタイプの母父を持つディープインパクト産駒のほうが着順は上で、母父がスピードタイプだと人気を大きく下回る結果に終わったのである。

最近はディープインパクト産駒皐月賞有馬記念を普通に勝つようになって忘れられた感もあるが、14年に馬場が改修されるまでは「ディープインパクト産駒は中山苦手」というのが血統馬券のセオリーだった。さらにさかのぼると、ブライアンズタイムを筆頭とするロベルト系が中山の大レースをよく勝っていた時期もある。そう考えると、重賞としての歴史は浅いものの、古き良き中山らしさをいちばん残しているのがターコイズSといえるのかもしれない。

もっとも、そういうことを言いはじめると、途端にディープインパクト産駒が勝つのもよくある話。「来年も母父ロベルト系を狙って、ディープインパクト産駒は割引」と断言するには、なかなか踏ん切りがつかないのであった。




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