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速攻レースインプレッション

古馬のダート路線は楽しみな馬が揃ってきた

文/出川塁、写真/森鷹史


それにしても今年の平安Sは見ごたえのある攻防となった。最後の直線で先頭の馬が二度三度と入れ替わり、ゴール前ではレース実況にもあったように火の出るような追い比べが演じられた。

これには伏線がある。5月18日に行なわれた京都のダート戦のうち、準メインのシドニーTまでの5レース中4レースを4角2番手以内の馬が勝っていた。もう1レースの勝ち馬も4角4番手だったから、この日の京都ダートは前有利。重賞の平安Sを前に、そのような判断を下すのは極めて自然なことだった。

ところが、肝心のメインレースに限って①着馬が4角12番手、②着馬が同15番手、③着馬も同8番手という完全な差し決着になってしまうのだ。当然ながら、ジョッキーたちもそれまでの結果を見て当日の馬場傾向を把握しようとする。前が有利と見ればポジション争いは激化し、誰もが勝ちたい重賞ではなおさらペースが速くなる。

それはレースラップにも表れている。最初の100mを7秒1で通過したあと、100~300m地点が11秒2、300~500m地点が11秒6。稍重だった昨年の同じ箇所では7秒1、11秒5、12秒5だから、良馬場の今年は先行争いがかなり激化したことがわかる。ちなみに今年のフェブラリーSは2、3F地点が11秒5、11秒9だったから、序盤はマイルG1より厳しい流れといっても過言ではない。

スタミナも必要な1900mのダート重賞でこのペースになると、前に行った馬にはさすがに苦しい。昨年逃げ切ったサンライズソアは今年も果敢にハナを切ったものの、直線半ばで力尽きて⑤着に終わった。とはいえ、マイネルオフィールに終始競りかけられる苦しい展開になったことを思えばよく粘っており、むしろ大崩れしなかったことを称えるべきだろう。

レースが本格的に動き始めたのは3コーナーの手前から。まず、後方に控えていた3番人気のオメガパフュームが外を回って中団まで押し上げていくと、1番人気のチュウワウィザードもマークするような位置をキープする。先行集団は4、5頭並んだまま4コーナーを回っていく。

最後の直線に入って、まず目立った脚を見せたのが芦毛のオメガパフューム。59キロもものかは、M.デムーロ騎手のアクションに応えて一気に先頭へと躍り出ていく。ただし、その外に目を向けると、さらに際立った脚を使う馬が2頭いる。人気のチュウワウィザードと穴馬のモズアトラクションが馬体を合わせて追い込んでくると、オメガパフュームを加えて3頭による叩き合いとなった。

そこから最初に脱落したのが最初に仕掛けたオメガパフュームだったのは仕方のないところ。おそらくは59キロの斤量を考えての動きだったのだろう、結果としては早仕掛けとなったが、NHKマイルCを制した影響か、デムーロ騎手らしい思い切りのいい騎乗が戻ってきた印象だ。いかんせん、そのデムーロ騎手帝王賞ルヴァンスレーヴに騎乗する公算も大きいものの、試走としては悪くない走りだった。

残る2頭は鼻面を合わせたままゴール板へとなだれ込み、この大接戦をハナ差で制したのはチュウワウィザード。首の上げ下げのタイミング次第でどちらが勝ってもおかしくなかったが、鞍上の川田将雅騎手ともども充実著しいコンビの勢いを感じさせる。

惜しくも重賞タイトルを逃したモズアトラクションはアテにしづらい馬ではあるが、ハマったときの末脚は破壊力十分。今後も展開が合うかどうかをしっかり見極めて狙っていきたい。アナザートゥルースは道中でずっと窮屈なところに入ったのが痛恨で、直線で差を詰めたものの④着まで。スムーズならもっと際どいところまで来ていただろう。⑤着は前述したサンライズソアで、ここまでの馬は今後も重賞では常に勝ち負けになりそうだ。

それにしても、というフレーズは冒頭でも使ったが、もう一度使いたくなってしまうほど、古馬のダート路線は楽しみな馬が揃ってきた。この平安Sから臨むチュウワウィザードオメガパフュームに、ゴールドドリームインティルヴァンスレーヴらが覇を競うはずの帝王賞ではどんな激闘が繰り広げられるのだろうか。今から実に楽しみだ。


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