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速攻レースインプレッション

川田騎手の判断は大正解だった

文/出川塁、写真/川井博


夏競馬最大のレースである札幌記念は、例年にもまして豪華なメンバーが揃った。人気を集めたのは昨年のG1を勝った4歳馬で、1番人気は菊花賞馬にして今年の天皇賞・春も制したフィエールマン大阪杯③着以来となるダービー馬ワグネリアンが2番人気で、有馬記念馬ブラストワンピースは今年の2戦がいずれも着外ということもあって3番人気となった。

このうちフィエールマンブラストワンピース凱旋門賞遠征を控えており、今回は叩き台となる一戦となる。かつてのエルコンドルパサーや今年のディアドラの成功例を考えても、欧州の馬場で好走するには現地で調教や実戦を重ねながら慣れていくのが最善手と思えるが、補助金や褒賞金が廃止された現状では難しい面もある。凱旋門賞に向けて国内でひと叩きするなら、洋芝かつ適度な間隔(今年は中6週)で出走できる札幌記念しか選択肢はないだろう。

昨年の勝ち馬サングレーザーが4番人気で続き、ここまでが単勝10倍未満。この馬に加えて、少し離れた5番人気のペルシアンナイトには2000mG1の②着があり、この2頭も距離実績は十分だ。他にもエリザベス女王杯で2年連続②着のクロコスミアや、今春の豪州遠征であのウィンクスの②着に入ったクルーガーなど穴馬も多士済々の顔ぶれが集った。

ゲートが開いてまず飛び出したのはエイシンティンクルで、同馬は個性的な逃げで人気を博したエイシンヒカリの全妹にあたる。大外枠のクロコスミアもハナに行きたいクチではあるが、枠の差もあって2番手からの競馬となった。

人気どころに目を転じると、意外な動きを見せたのがサングレーザー。これまでは差す競馬を得意としてきたが、コンビを組んで2戦目の岩田康誠騎手は3番手につける。今年に入ってから2戦、大阪杯安田記念が物足りない結果に終わっていたこともあり、新味を求めての先行策だったか。

このサングレーザーが切れ込む動きを見せ、さらにペルシアンナイトワグネリアンも押し寄せたことで、フィエールマンは位置取りが若干悪くなった。天皇賞・春からの距離短縮で、出足がつきづらかった影響もありそうだ。一方、最内枠を引いたブラストワンピースは初コンビの川田将雅騎手がテンで少し手綱を動かしたが、無理に先行することはせず、後方からレースを進めた。

レースが終わった今だから言えることではあるが、この川田騎手の判断は大正解だった。出していけばインで詰まるリスクは軽減される反面、ヨーロピアンスタイルのハービンジャー産駒は前半から脚を使う競馬を不得手とする。6歳牝馬の2頭が引っ張って前半1000m通過が59秒9の締まった流れを前で追走していたら、結果につながらなったのではないか。付け加えれば、今年のリーディングを突っ走る川田騎手には、最後に馬群を割れる自信もあったのだろう。

3コーナーの手前あたりから後続馬群はエイシンティンクルに接近。なかでもワグネリアンは早めに2番手まで進出するのだが、この仕掛けはやや不発だったかもしれない。同じ区間で脚を溜めていたサングレーザーが②着に残った一方、ワグネリアンは直線に入ると伸びあぐねて④着に終わったからだ。その意味で今年の札幌記念は、前半で堪らえた川田騎手、勝負どころで我慢した岩田騎手のワンツーという見方もできる。

そう考えると、フィエールマンルメール騎手は最後の最後に③着に入ったものの、スタート直後のポジション争いでも、直線の脚の使いどころでも我慢しすぎたか。ただ、フィエールマンにとってはあくまで叩き台であり、そうそう無理なレースもできなかったというのが実際のところだろう。

というのも、これまでは常に3ヵ月ほどの間隔を空けて使ってきたが、札幌記念から凱旋門賞は1ヵ月半。一般的には余裕のあるローテと言えるが、この馬にとっては初めての詰まった臨戦となる。凱旋門賞への余力を残しつつ、最低限馬券圏内をに入ってファンにも大きな迷惑をかけないレースを演じたのはさすがにルメール騎手といったところである。


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