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速攻レースインプレッション

まさに「人馬一体」の偉業達成だった

文/編集部(M)、写真/小金井邦祥



古い話で恐縮だが、直線でコパノキッキングが差し切ったシーンを見て、オグリキャップが優勝した90年有馬記念(引退レース)での故・大川慶次郎氏の言葉を思い出した。

と言っても、最後の直線で実況に入った「ライアン!」の声のことではなく、ゴール後に「私は(オグリキャップに)いの一番に謝らなければいけない」と言われた、あの言葉だ。コパノキッキング(と藤田菜騎手)にいの一番に謝らなければいけない」と感じた。

「メインレースの考え方」では、コパノキッキングに「▲」を付けたが、正直なところ、勝つ確率はかなり低いと思っていた。

地力上位であることは間違いなく、昨年のカペラSを制していたのだから、コース適性も申し分なかったのだろうが、データ面では15頭立て以上のOPで[4.1.0.0]というのが良いものぐらいで、他には勝つまでは難しそうというデータが山積していた。

まず、過去11回のカペラSでは連覇した馬がいなかった。いなかったどころか、優勝馬の次年以降の成績は[0.0.1.9]で、連対圏に入った馬すらいなかった。

昨年に優勝した時の斤量は55kgで、過去11回で58kgを背負った馬は[0.1.2.7]という成績だった。さらに言えば、前走から斤量が増えていた馬も[0.5.4.32]で、前走が地方競馬だった馬も[0.3.3.31]と未勝利。鞍上の藤田菜騎手は、JRAのダートで斤量56kg以上の時が[0.2.2.33]と未勝利でもあった。

もちろん、過去データが絶対ではないが、これだけアゲインストが強いと重い印を付けづらくなる。勝つことは相当に難しいのではないかと感じていたのだが、これらをあっさりと覆し、2馬身半差という決定的な差を付けて快勝したので「いの一番に謝らなければ…」と思ったのだ。コパノキッキングが勝たないと考えて馬券を購入したみなさんに対しても、申し訳ありませんでした。

改めて、コパノキッキングが今回どうしてデータクラッシャーになり得たのか考察してみると、まず大きな要因として、連覇をなし得なかった過去の馬たちとは力が違ったと言える部分があるのだろう。昨年優勝時は斤量55kgで1分10秒2(3/4馬身差)という勝ち時計だったが、今年は58kgを背負って1分9秒3(2馬身半差)で制覇した。コパノキッキングは今年4歳で、まだ成長曲線の中にいる馬だったのだろう。

成長曲線という意味では、藤田菜騎手自身もそうで、同騎手とコパノキッキングのコンビという部分においても成長し、強くなっているからこそ、今回の快勝劇につながったのだろうと推察する。

思えば、コンビ2戦目となった春の東京スプリント(大井ダート1200m)では不良馬場で出遅れ、差し届かずに②着に敗れ、続くクラスターC(盛岡ダート1200m)では2番手に付けるも、その後ろに控えた岩田康騎手のヤマニンアンプリメに差し込まれて、③着に敗れた。

展開のアヤ、ツイてなかったと言ってしまえばそれまでだが、その次走の東京盃(大井ダート1200m)でハナを奪いに行って快勝し、自ら勝利を掴み取ったところから一段上のステージに上がったように感じられる。

前走のJBCスプリント(浦和ダート1400m)は、結果的に早めに動いて最後に交わされてしまった(②着)が、あの敗戦があって、今回の冷静な立ち回りにつながったのではないだろうか。

今回はゴールドクイーンヒロシゲゴールドレッドアネラという強力な先行型がいて、決してレースがしやすいとは言えない組み合わせだったと思う。激流になるであろう序盤をどう乗り切るかに注目していたが、出して行きながらすっと4~5番手に控えたところに人馬の成長と強さが感じられた。今年6戦目で、まさに「人馬一体」となり得たからこそ、偉業とも言える連覇を達成できたのだろう。

実は今回のコパノキッキングにはもうひとつアゲインストのデータがあって、それは過去11回で騎手が継続騎乗した馬が[1.3.7.36]という成績だったことだ。

騎手が乗り替わった馬の方がよく勝っていたのだが、今回のレースを見て、改めてコンビ継続というのは良いなと感じた。この人馬だからこそ分かりあえるという部分が競馬には確実に存在すると思う。


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