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速攻レースインプレッション

勝っても負けても…それがシンザン記念

文/編集部(W)、写真/森鷹史


今年から弥生賞が「弥生賞ディープインパクト記念」と改称されたが、馬名がレース名の先輩といえばセントライト記念、そしてこのシンザン記念が現存している(共同通信杯は副称がトキノミノル記念)。セントライトはJRA史上初のクラシック三冠馬で、シンザンは史上2頭目、戦後初のクラシック三冠馬に輝いた歴史的名馬である。

過去20年のシンザン記念を振り返ると、00~09年の出走馬からはダイワスカーレットタニノギムレットツルマルボーイローレルゲレイロロジックと、のちのG1馬が5頭出ているのに対し、10~19年からはオルフェーヴルマルセリーナジェンティルドンナミッキーアイルモーリスジュエラーレインボーラインファインニードルペルシアンナイトアルアインアーモンドアイの11頭と倍増している。

史上7頭目のクラシック三冠馬となったオルフェーヴルをはじめ、牝馬三冠ジェンティルドンナアーモンドアイ、マイルG1・4連勝を果たしたモーリス、春秋スプリント王ファインニードル天皇賞・春を制したレインボーラインなど、顔ぶれもバラエティーに富んでいる。

G1馬の登竜門という印象が強まりつつあるシンザン記念に、今年は10頭が出走。注目を集めたのはフィエールマン(G1・2勝)の妹ルーツドールヨシダ(米G1・2勝)の妹サンクテュエールという良血の牝馬2頭だったが、人気(単勝オッズ)は順に1番人気(1.6倍)、2番人気(4.2倍)で、血統とデビュー戦でのパフォーマンス(1分33秒3の好時計で5馬身差の圧勝)が支持されたのか、オッズ的にはルーツドール優勢と見るファンが多かったようだ。

良血牝馬2頭に次ぐ3番人気(6.4倍)には、朝日杯FSで見せ場たっぷりの④着と健闘を見せたタガノビューティーが推された。牝馬と勘違いしてしまいそうな馬名だが、れっきとした牡馬。同じ父ストームバード系の兄にタガノブルグ(NHKマイルC②着)がいて、適度に時計と上がりのかかる今の京都芝なら芝重賞でも好勝負になると見込まれたのだろう。

レースはオーマイダーリンが大きく出遅れ、その内でサンクテュエールも出が良くないが、ルメール騎手が軽く仕掛けて好位の内に取り付き、逃げたヴァルナの直後で折り合って進む。1000m通過は60秒2で、時計のかかる馬場を考慮すると平均ペースよりやや遅めといったところ。結果的にはスタート後の判断が勝負の大きなポイントだったと言える。

内ラチ沿いを通った馬が掲示板を占めた内前有利な展開で、サンクテュエール&ルメール騎手は好位の内から抜け出し、2番手から押し切りを図ったプリンスリターンとの追い比べをクビ差で制した。出遅れてそのまま後方に待機していたら…おそらくプリンスリターンには届かなかったはず。今年初の重賞騎乗で絶妙な判断で勝利を手にするあたり、さすが3年連続のリーディングジョッキー・ルメール騎手、うなるしかない。

サンクテュエールも関西への長距離輸送をクリアし、レースでもスタート以外は落ち着いた走り。キャリア3戦目の3歳牝馬としては上々の内容だろう。シンザン記念を制したディープインパクト産駒は前出のジェンティルドンナミッキーアイルに続いて3頭目。血統背景を見ても、今後に向けて期待は膨らむばかり。

②着プリンスリターン&原田騎手は中団待機の朝日杯FSから一転し、今回は2番手に付ける積極策に出て、③着コルテジアに4馬身差を付けていたから内容的には勝ちに等しい。デビューからコンビを組む9年目の原田騎手には重賞初制覇のチャンスだったが…ゴールした瞬間、悔しそうに頭を下げた原田騎手が印象的だった。この敗戦を糧に重賞タイトル獲得を目指して頑張ってほしいと思う。

一方、1番人気のルーツドールはまさかの⑦着敗退を喫した。道中は馬群の外でいくらか力み気味だったが、折り合いを欠いたというほどでもなく、内前有利な展開になったとはいえ、直線で川田騎手の合図にまったく反応できず伸びを欠いたのは不可解としか言いようがない。気持ちが切れてしまったのだろうか。デビュー戦の走りを考えれば、能力を秘めていることは間違いなく、良血馬の巻き返しに期待したい。

タガノビューティーは内前有利な展開で外を回って差し届かず⑥着。③着コルテジアとは0秒2差も、計時した上がり35秒9はプラタナス賞(34秒8)や朝日杯FS(35秒2)よりも遅く、期待(3番人気)ほど走れず。デビューから中8週、中8週と間隔を開けて使われた後の中3週で、目に見えない疲れもあったのだろうか。この後はヒヤシンスS(2月23日)に向かい、2戦2勝のダートに戻ってリスタートとなる模様。

上位人気は明暗が分かれる結果となったが、過去20年のシンザン記念からG1馬に登り詰めた16頭はシンザン記念[4.3.4.5]という成績だった。全馬デビューして間もない3歳1月。勝った馬にも負けた馬にも等しく可能性が秘められている、それがシンザン記念というG1馬の登竜門の良い所だろう。


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