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サウジカップ制覇を期待させるG1初制覇だった

文/木南友輔(日刊スポーツ)


前夜に行われたサウジカップデーの衝撃が鮮明な記憶として残っている。昨年の最優秀ダート馬チュウワウィザードはサウジカップで⑨着に沈み、リヤドダートスプリントではコパノキッキングマテラスカイがワンツー。初ダートのピンクカメハメハが欧米の重賞好走馬に快勝し、サウジダービー馬に輝いた。

自然と浮かぶ「日本のダート馬のレベルは?」という問題は抽象的すぎて、おそらく答えが出ないものだろう。中距離でどうなのか、短距離でどうなのか、3歳春のレベルはどうなのか、2歳戦ではどうなのか、コーナー4つの競馬ではどうか、コーナー2つの競馬ではどうか、日本のダート(砂)ではどうか、アメリカのダート(土)ではどうか、ドバイではどうか、サウジではどうか…。簡単に答えは見つからない。

アメリカのシャーラタンミシュリフが撃破し、そのミシュリフを昨年のサウジダービーで破っているのがフルフラットフルフラットがサウジからの帰国初戦となったユニコーンSではカフェファラオの前に⑥着に敗れている。こう見れば、単純な比較でカフェファラオ世界最強説」が出たっておかしくない。いや…、それはどう考えてもおかしいか。

カフェファラオフェブラリーSG1初制覇を果たした。良馬場ではレース史上最速となる1分34秒4の勝ちタイムは素晴らしいのひと言だ。チャンピオンズC(⑥着)では年長馬たちの厚い壁にはね返されたが、陣営は中間に馬具を工夫。今回はチークピーシズを着用し、クロス鼻革も装着。「血統的に揉まれ弱いのでは…」という雑音を封じるように、内枠から楽々好位を奪うと、直線で抜け出してから最後まで集中した走り。このメンバーでは力が違うといった勝ちっぷりだった。

この勝利でヒヤシンスS、ユニコーンSに続き、東京のマイルでは3戦3勝。ハッキリと意識できるのは、前夜のサウジカップ=「キングアブドゥルアジーズ競馬場のダート1800m」=「向正面と最後の直線が長いワンターン」のコース形態はカフェファラオに向いているということ。現在の新型コロナウイルスの問題が解決するまでは軽々に海外遠征の可能性を口にはできないけれど、現役の日本のダート馬でサウジカップ制覇にもっとも近い場所にいるのが、カフェファラオだと思う。

②着エアスピネル、③着ワンダーリーデルはいずれも8歳馬。エアスピネルは昨年からダートに転向し、近2走も武蔵野S③着、チャンピオンズC⑦着と堅実に走っていた。佐賀記念を圧勝したクリンチャー(菊花賞②着馬)のように、クラシックで好走するレベルの馬にはダート馬としてトップクラスの能力を持った馬がいる。インをロスなく進み、直線でスムーズに外へ出した鮫島駿騎手の手綱さばきが光った。

ワンダーリーデルは昨年④着馬。年齢的な上積みはおそらくなかったはずだが、初めてのブリンカー着用が功を奏し、中団のインで運ぶ衝撃の競馬を見せてくれた。スピードを問われる速い時計の決着に対応した2頭の8歳馬にはただただ拍手を送りたい。

今週末は土日とも東京競馬場で取材した。前日土曜の東京はダートで波乱の決着が多かった。人気薄の先行馬が止まらず、人気の差し追い込み馬が不発に終わるケース。直線の向かい風も追い込みを決まりづらくさせてきた。日曜は無風の好天。天気や馬場とは関係なく、純粋に能力を問われる馬場状態だったはずで、予想を外した者はあまり言い訳が見つからないのが正直なところだ。

個人的に期待していたアルクトスは直線半ばから伸び切れず。速い流れで外をまわったにしても止まりすぎた印象がある。サンライズノヴァも同じ。逆にいつもと違う形から⑥着まで追い込んできたインティはこのメンバーだと間違いなく上位の地力を持っているのだろう。

4歳の新たなダートG1馬誕生。ただ、②、③着に8歳馬が入り、新陳代謝が進んだ一戦とは言いがたい。結果だけ見れば、昨秋のチャンピオンズCのメンバーがハイレベルだったことを証明するレースだったと思うし、そうなると…、振り出しに戻るのだが、前夜のサウジカップ、チュウワウィザードの敗戦はショックが大きい。ワンターンの競馬を経験していなかったことが最大の敗因だと思っているが…。

2021年最初のJRA・G1。なんとなくだが、川崎記念を快勝したカジノフォンテンの存在(※もちろん順調であることが大前提だが…)が、今後のダートG1戦線でかなり大きくなっていく予感がある。


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