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速攻レースインプレッション

まぶしい勝利、けた違いの強さだった

文/木南友輔(日刊スポーツ)


大の大人が人前で涙し、感極まった表情を見たとき、こちらも心が動かされる。その涙を流せるだけの厳しい努力を重ねてきたのかな、と想像する。日本のトップジョッキー、さまざまな経験をし尽くして、感情のコントロールに長けているはずの人が馬上で泣いて、インタビューで言葉を詰まらせて…。コントレイルの勝利はまぶしかった。

それまでの実績からコントレイル能力的に抜けた存在であることは疑いようがなかった。ただ、競馬に絶対はない。今年のダービー馬シャフリヤールとは2kgの斤量差があった。今年は未知の存在である外国馬が3頭参戦してきた。そして、逃げ馬不在というメンバー構成。競馬は何が起こるかわからない。何しろ、圧倒的な1番人気(単勝1.6倍)とはいえ、コントレイルが昨秋のジャパンC、今年の大阪杯と天皇賞・秋で3連敗中なのも確かだった。

が◎を託したのは、アルゼンチン共和国杯連覇を果たし、ルメール騎手とのコンビで参戦する◎オーソリティ。おじ(母の全兄)にJC圧勝のエピファネイア。先に抜け出して、追いかけてくるコントレイルの追撃を凌げれば…。最後の直線、自分の思い描いた展開になったが…、それは一瞬だった。

コントレイルけた違いの強さだった。表彰式後、場内のインタビューで福永騎手が言った言葉が響いた。「本当に強いんです。もっとみんなに知ってほしかったです」。本当はまだまだ走れるだろうし、もっと強い競馬を見せられると思うけど…。引退を惜しむセリフとして、「これ以上ないフレーズだなあ」とうならされた。

月曜に強い雨はあったが、火曜から関東は晴天続き。雲ひとつない快晴で、金曜朝の外国馬取材、そして、ジャパンC当日も東京競馬場の西の空には雪化粧の富士山がきれいに見られた。Cコース2週目。先週は圧倒的にイン有利だったが、今週は外が伸びる芝コースに変わっていた。そして、4Rの2歳未勝利戦(芝2000m)では1分58秒5の驚異的な2歳レコードが出た(勝ったウィズグレイスも強かったが…)。

アリストテレスが逃げ、1000m通過62秒2のスローペース。3角でキセキが先頭を奪う奇襲に出てペースは上がったが、それでも勝ちタイムは2分24秒7で、正直、特筆すべき数字とは思えない。昨年のダービー(勝ちタイム2分24秒1)も思い起こさせた。オーソリティとの着差は2馬身差。これが5馬身とか、10馬身なら誰の目にも「強い」とわかるのだけど、そうでないところがインタビューの最後に福永騎手が語った言葉、伝えたかった思いにつながるのだろう。

自身は今年も、1年前のジャパンCの3冠馬3頭の激突も競馬場のスタンド(8階の記者席)から見させてもらった。昨年、パドックで見たコントレイルには半年前のダービーで見たような精悍さは感じられなかった。それでも最後の直線、アーモンドアイを懸命に追い掛け、追い込んできた。「この馬は本当にすごいな」と思わされた。あれから1年、今年のパドックは絞り込まれた隙のない馬体、何より目つきに昨年とは違う輝きがあったと思う。

ディープインパクトがこの世を去った後に登場し、父と同じく無敗で皐月賞、ダービーを制したコントレイルは、父産駒の最高傑作として、ダービーを制した時点で種牡馬入りする選択肢もあったのではないか、と思ってきた。それでも現役を続行し、無敗の3冠に挑戦した。アーモンドアイ、デアリングタクトとの3冠馬対決に挑んだ。そこにはファンを喜ばせたい、競馬の面白さを伝えたいというコントレイル陣営(オーナー、厩舎)の愛があったのだと思っている。

コントレイルと同じタイミングで、アメリカにはエッセンシャルクオリティ(G1・4勝を含めて10戦8勝、祖母Contriveコントレイルの3代母)が登場した。旬な牝系を引き寄せたのは、矢作調教師の熱意と行動力だと思う。

2年前、東京スポーツ杯2歳Sを勝った後、検量室前から引き上げていく矢作調教師と言葉を交わした。コントレイルの祖母(Folklore)とモズアスコットの母(India)が同じレースで走っていたことを自分が聞くと、矢作調教師「それは知らなかったよ」と答えた後、「それにしても、すごいよな」と感嘆のため息をついた。「期待して買ってきた牝馬(コントレイルの母ロードクロサイト)が未勝利で終わってどうしようと思っていたのに、その子どもがこんな走りをするんだから」。瞳を輝かせた矢作調教師の顔を覚えている。無事に現役生活を終え、来年からは社台スタリオンステーションで繋養される予定だが、どんな子どもをターフに送り出してくれるのか。多くのファンとともにコントレイル2世の登場を待ちたいと思う。

最後に、外国馬の参戦について。現在、東京競馬場の内馬場に工事中の新たな検疫施設が完成すると、(白井の競馬学校を使わなくなり)検疫体制の面では来年から招致のアピールにはなるかもしれない。ただ、どこまで効果があるのかはJRA職員と話していても、確信的なものはなさそうな状況だ。

今年の遠征馬は、クールモアの2頭は、日本人オーナーの共有という点で顔見せ的な側面があったのではないか。楽しみにしていたが、今週の時計の速い馬場もアンラッキーだったと思う。グランドグローリーは来週アルカナ社(フランス)の繁殖セールに上場予定。終わってみれば、こちらの方が評価を上げたいという目的が明確だった分、勝負だったのかもしれない。競馬はエンターテインメント。外国馬の参戦というエンタメ性をファンが求めているのは間違いないと思うし、来年も参戦してくる外国馬が1頭でも多くなるように期待したい。


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