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速攻レースインプレッション

鮮やかな差し切りで復活の重賞2勝目

文/出川塁


今年のAJCCで単勝2.0倍の1番人気に推されたのはオーソクレースだった。ホープフルS②着、セントライト記念③着と中山実績があり、昨年に勝利したアリストテレスと同じ菊花賞②着馬。「父エピファネイア×母父ディープインパクト」という配合も同じで、前年の覇者と同様にここでの重賞初制覇が期待された。

ところが結果は⑥着。4角2番手と菊花賞より積極的な競馬を展開したものの、直線で伸びを欠いた。デビュー以来初めて馬券圏内を外すどころか、掲示板にも載らない結末となってしまった。

AJCC前時点で「父エピファネイア×母父ディープインパクト」の配合馬は、オープンで[2.7.3.13]、勝率8.0%、複勝率48.0%、単勝回収率23%、複勝回収率179%という成績を残していた。オープンに入ると②着が多いものの安定はしていて、軸馬としては手堅そうにも思えたのだが……。

もうひとつ、鞍上のルメール騎手のことが気になっている人も多いだろう。これで2022年の重賞は[0.0.0.5]で、掲示板に載ったのも京成杯④着のアライバルしかない。中央移籍後(2015年)から2021年までの月別勝率を確認すると、1月の21.3%は2番目に悪く(7月と同率。最低は4月の19.7%)、元々自身の成績的にはあまり良くない。

ちなみに、同日行われた大相撲1月場所でも横綱・照ノ富士が優勝を逃した。現時点で最後に横綱が1月場所を制したのは2015年の白鵬で、これはルメール騎手の中央移籍直前のこと。まったくのこじつけだが、1月の勝率が他の月と比べると下がる競馬界の横綱・ルメール騎手と軌を一にするかのように、大相撲でも1月に横綱が優勝しなくなってしまった。

ただし、ここで話を終えてしまってはいけない。今年のルメール騎手は1月23日終了時点で勝率25.5%、単勝回収率102%。重賞の印象が強くなるのは仕方ないが、実際には1月のルメール騎手としてはかなりいい成績なのだ。そもそも5レースぐらいならたまたま偏っただけかもしれず、次の東京開催で重賞を勝ちまくって帳尻を合わせてくる可能性はある。

話をレースそのものに戻そう。掲示板に載った5頭の通過順を見ると、どこかで10番手以降の数字が記録されている馬が4頭を占め、もう1頭も4角8番手。終わってみれば、積極策のオーソクレースには厳しい展開となり、完全に差しの競馬だった。

勝ったのは、スタート直後から最後方近くに控えるジッと我慢の競馬を貫いたキングオブコージ横山典弘騎手らしい騎乗と思ったが、道中で行きたがった前走の中日新聞杯を受けての作戦だったか。加えて、最内1番枠から真冬の連続開催最終週でかなり荒れて見えたラチ沿いを避けて走るには、あの競馬しかなかったのかもしれない。これがドンピシャリで、3コーナー過ぎから手応えよくポジションを上げていくと、直線で鮮やかに差し切った。

2年前の1月に初コンビを組んでから4連勝で目黒記念まで制し、中長距離の新星として期待されたものの、2020年京都大賞典③着後に骨折。約1年の休養を余儀なくされ、昨秋のオールカマーで復帰し、3戦目で復活の重賞2勝目を手に入れた。ロードカナロア産駒ではあるが、サンデーを持たず、母父Galileoの血がよく活きた配合で、父のイメージ以上にスタミナがあり、それは2000m以上を使うようになって躍進した戦績が示す通り。次は大阪杯が目標に挙がっているようだが、個人的には天皇賞・春を狙っても面白いのではないかと感じている。

②着には11番人気のマイネルファンロンが突っ込み、馬連は3万4330円という波乱に。昨夏の新潟記念を制したあとは勝ち馬から1秒以上離されるレースが3戦続き、今回も人気薄に甘んじていた。ただ、過去に2000mを超えるレースは1回しか走っていなかったが、それが同コースの2019年湾岸S①着。血統作戦としてはもはや古典的ながら、中山の非根幹距離が得意なステイゴールド産駒でもあり、これだけ人気がなければ押さえておく手はあった。

続く③着には直線で最内を突いたボッケリーニが入った。鞍上の横山武史騎手は直前の芝戦である9R若竹賞(シンティレーションに騎乗)では外を回って勝っていたが、このレースでは勝負所で外に持ち出せそうな場面がなかった。とはいえ、咄嗟に最内勝負に切り替えなければ③着もなかったのではないか。自身の人気(4番人気)よりは上の着順で走っており、これも好騎乗だっと思う。今年はまだ重賞勝ちがないものの、AJCCの歴代最多勝記録を7に伸ばした偉大な父とともに今年も大いに沸かせてくれそうだ。


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