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速攻レースインプレッション

コース適性だけでなく、タフさも光る連覇となった

文/後藤正俊(ターフライター)、写真/瀬戸口翔


中間の大雨で心配された馬場状態は当日7Rまでに良馬場まで回復し、どの馬にもチャンスがある状態。マイル路線を中心に、短距離路線2000m路線ダート路線からの参戦もあるフルゲートの18頭で、馬券購入には頭を悩ませたファンも多かったのではないだろうか。

2年前の3歳時にNHKマイルCを制しているシュネルマイスターが、前哨戦のマイラーズCを勝っていることから4.2倍の1番人気に推されたが、16番人気は高松宮記念勝ち馬、17番人気が朝日杯FS勝ち馬、18番人気がフェブラリーSを連覇した馬と、G1勝ち馬が下位人気を占めたことも大混戦を象徴していた。

レースはウインカーネリアンが前半3F34秒2のややスローなペースで逃げ、ジャックドールが2番手、ソダシが3番手で積極的に先行。その先行勢をマークするようにダービージョッキーとなったレーン騎手セリフォスがいつもより前目の4~5番手の内に付ける。大外8枠18番ソングラインは枠なりに出て中団外の位置取りになったが、きっちりと折り合いをつけた。シュネルマイスターは後方から3番手と、末脚にかける形となった。

そのままの態勢で直線を向き、残り300mでジャックドールウインカーネリアンを捉まえて先頭に立つと、すぐにセリフォスが動いて抜け出しを図る。絶好の展開と思われたソダシは追い出されてから意外に伸びない。そのままセリフォスが押し切ろうとした時に、外からソングラインが別次元の末脚を繰り出して一気に差し切る。最後は戸崎騎手が手綱を緩める余裕がある1馬身4分の1差だった。

ゴール直前で勝ち馬の外からシュネルマイスター、馬群の中からガイアフォースも追い込んだが③、④着に上がるのが精一杯。ジャックドールも最後までバテずに⑤着に粘り込み、1~5番人気馬のうち4頭が掲示板を埋めた。2番人気ソダシだけが⑦着となったが、これだけの大混戦でもファンの見る目の高さが改めて示されたレースでもあった。

安田記念はリピーター率が高いレースと言われている。G1となった1986年以降、連覇したのはヤマニンゼファー、ウオッカの2頭だけでソングラインが史上3頭目となったが、2年連続連対はニッポーテイオー、タイキブリザード、アサクサデンエン、ストロングリターン、モーリス、ロゴタイプ、アエロリット、グランアレグリアと8頭もいる(グランプリボスは隔年で②着)。シュネルマイスターはこれで3年間の成績が③②③着。セリフォスは3歳時の昨年は④着で上がり32秒8を記録していた。勝ちタイムは1分31秒4と昨年より0秒9も速い決着となったが、結果としてはほぼ昨年と似た結果になった。

ソングライン安田記念連覇と前走のヴィクトリアマイルG1・3勝目。いずれも東京マイルで、同コースでは未勝利戦、富士Sを制し、NHKマイルCも②着となっており[5.1.0.1]。⑤着だった昨年のヴィクトリアマイルは②着との着差はクビ、ハナ、ハナ差だった。マイル能力の高さはもちろんだが、コース適性の高さが際立っている。そして何よりもタフだ。2年連続でサウジアラビアに遠征し、ヴィクトリアマイルからは中2週でもパフォーマンスが落ちなかった。その点が、初の中2週が影響したように見えたソダシと明暗を分ける形となった。

キズナ産駒は様々なタイプが出ているが、ディープボンド、ステラリア、バスラットレオン、テリオスベル、ダディーズビビッドなど使い込まれて成長する馬が目立つ。ソングラインは海外も含め、今後もマイル路線を担っていく存在として君臨しそうだ。

②着セリフォスは昨秋の富士SマイルCSを4角11~13番手から豪快に差し切ったが、今回は枠順(2枠4番)もありレーン騎手は積極的な先行策を取った。初の1800m戦となったドバイターフはゴール前で脚が上がってしまったようにやはり1ハロン長かったが、マイル戦なら前に行っても十分に勝負になるという自信がレーン騎手にはあったのだろう。東京ではソングラインに屈したが、京都のマイルCSになれば逆転は十分に可能。秋は連覇が最大目標となりそうだ。

③着シュネルマイスターはメンバー最速の上がり32秒8を記録した。安田記念の走破時計はこの3年、1分31秒8、1分32秒3、今年が1分31秒6。ソングライン同様に東京マイルが最適舞台で、コンスタントに1分32秒前後で走れる能力があるし、一時はスランプ気味だった体調も完全に回復したようだ。だが1分31秒台の高速決着となると、牝馬と2kgのセックスアロワンスが響いていることが考えられる。

④着ガイアフォースは2戦続けてマイルで好走となったが、距離適性はまだはっきりとはしていない。気性面で若さも感じられるだけに、ひと夏越すとさらに大きく成長する可能性が感じられる。キタサンブラック産駒の奥深さを考えると、秋の中距離G1戦線でも侮れない存在になっていくのではないだろうか。

⑤着ジャックドール武豊騎手の進言もあったようで、デビュー以来初めて2000m以外のレースへの出走となったが、きっちりと結果は残した。マイルのペースにも十分に対応していたように見えたが、この馬の持ち味はやはり速い平均ペースの逃げで後続をバテさせる競馬なのではないだろうか。個人的には距離短縮よりも延長、2400mでその逃げを一度見てみたい。


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