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速攻レースインプレッション

大胆騎乗が奏功、「京都の宝塚記念」を制す

文/浅田 知広、写真/瀬戸口 翔


阪神競馬場のスタンドリフレッシュ工事に伴い、今年は京都競馬場での施行となった宝塚記念。京都での宝塚記念は、ディープインパクトが圧勝した2006年以来になる。ほかに当方がリアルタイムで見たレースでいえば、ダンツシアトルがG1初制覇を飾った1995年。そしてもうひとつ、思い出深いのはメジロライアンが悲願のG1制覇を達成した1991年だ。

日本ダービーではアイネスフウジン、有馬記念ではオグリキャップ、そして菊花賞と天皇賞(春)ではメジロマックイーンと、後に歴史に名を残す名馬に屈してきたメジロライアン。この宝塚記念はメジロマックイーンと3度目の対戦で、過去2回は後ろから行って差せずに突き放されていた。しかし、ここでは一転して3~4コーナー中間で先頭に立つという思い切った作戦に出ると、そのまま押し切って栄冠を手中にしたのだ。

一方のメジロマックイーンは人気馬の宿命というべきか他馬のマークが厳しく、4コーナーで4番手まで押し上げたものの距離損の大きい大外。直線に入りじりじりと差を詰めたが、もともと切れで勝負するタイプではないだけにメジロライアンを捕らえるには至らなかった。

このときのメジロライアンの鞍上は横山典弘騎手、言わずとしれた今年のダービージョッキーである。そしてメジロマックイーンの手綱をとっていたのは武豊騎手。33年後の今年、同じ京都の舞台で1番人気の馬(ドウデュース)にまたがっているのだから恐れ入る。

その武豊騎手は後にディープインパクトで「京都の宝塚記念」は制しており、特に悪いイメージはないはず。秋春グランプリ連覇へ向けドウデュースをどう導くのかがまず第一の注目だった。

対する2番人気は、武豊騎手に比べれば若いとはいえベテランと呼べる域には達しているルメール騎手ジャスティンパレス。1年2ヵ月ぶりに再結成されたこのコンビはこれまでなんと4戦4勝。昨春の天皇賞後は②~④着が続くジャスティンパレスをいかに勝利へと導くのか。

そして3番人気はブローザホーンで、こちらの鞍上はデビュー6年目とまだまだ若い菅原明良騎手。今回も出走しているカラテとのコンビが印象深いが、ここは今年の日経新春杯で重賞タイトルをプレゼントし、前走の天皇賞(春)でも②着に健闘したブローザホーンに引き続き騎乗となった。

2日前に梅雨入りした京都の馬場はあいにくの。本来は阪神開催になるところ、連続開催10週目ともなれば馬場も荒れてベテランの経験が活きそうにも思えたが、9レースの瀬田特別では勝ったクランフォードが上がり33秒9を記録。馬場の中央から外なら決して悪くない状態に見受けられた。

レースはルージュエヴァイユが大外からハナを叩く予想外の展開に。人気どころではジャスティンパレスが中団から。ドウデュースブローザホーンは後方につけた。

昨年の有馬記念では3コーナーあたりから大外を進出し、単騎で飛ばすタイトルホルダーを追撃に出たドウデュース。今回は逆にほぼ一団の展開で果たしてどう動くかと思えば、最後方まで下がってそのまま3コーナーを通過。一方すぐ前にいたブローザホーンはここで動き、大外から前との差を詰めていった。

そして迎えた直線。コーナーでのロスを最小限にとどめたドウデュースジャスティンパレスと併せ、9レースを勝ったクランフォードが通ったあたりから少し内へ。ここから末脚を伸ばせれば勝機十分だったが、軍配が上がったのはブローザホーンの方だった。

4コーナー大外のロスがあった分、一度は開いたドウデュースとの差がほぼなくなっていたブローザホーン。しかし9レースからさらに馬場が水を含んだためか、距離損を喫してもなお外へ出すことが今年の宝塚記念の正解だった。馬場の8~9分どころまで出したブローザホーンは内の各馬をまとめて差し切ると、後を追って伸びてきたソールオリエンスに2馬身の差をつけ優勝。見事、人馬ともに初めてのG1タイトルを獲得したのだ。

いくら道悪とはいえ、あまり外を回しすぎて差し損ねるような事態は避けたいはず。しかしブローザホーンの手応えの良さにも背中を押されたのか、若者らしい思い切った騎乗が功を奏した一戦だったと言えるだろう。

ちなみに、横山典弘騎手がメジロライアンで宝塚記念を制したのは、菅原明良騎手と同じデビュー6年目のことだった。G1初勝利か2勝目かの違いこそあれ(横山典弘騎手は前年のエリザベス女王杯を制覇)、同じ京都の舞台でビッグタイトルを手にした菅原明良騎手ブローザホーンともども、今後の活躍を大いに期待したいところだ。

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