穴ぐさ傾向と対策
JBCの3レースでも1番人気は受難に!?
先週(10月27日~28日)の穴ぐさは[8.2.7.89](複勝率16.0%)で、単勝回収率が269%、複勝回収率が105%でした。芝での単勝回収率は9月が147%、10月が183%で、複勝回収率は9月が108%、10月が113%と、芝での100%超えが続いています。
天皇賞・秋は、2番人気だったレイデオロが1分56秒8で制しましたね。キセキが1000m通過59秒4で逃げ、後半1000mの方が2秒も速い57秒4となり、順調に使われていた力のある馬が上位に入る結果になりました。展開的にはダンビュライトが除外となってしまったことが誤算でした……。
今週は京都でJBC3レース(スプリント、クラシック、レディスクラシック)が行われます。JRAでのダートG1は、通常はフェブラリーSとチャンピオンズCの2レースで、過去データが通用しづらそうなだけに予想のし甲斐があると言えそうですが、果たしてどんな結果となるでしょうか。
JRAでダートG1が創設されたのは97年フェブラリーSからで、00年からJCダートが加わり、14年にJCダートがチャンピオンズCに名称変更されたわけですが、この間の1番人気は、苦難と安定と惜敗の歴史と言えます。その歴史をご覧ください。
【JRAダートG1での1番人気】
時代 | 年 レース | 1番人気の 着別度数 |
苦難の時代 | 97年フェブラリーS ~01年フェブラリーS |
[0.1.0.5] |
安定の時代 | 01年JCダート ~11年JCダート |
[15.3.3.1] |
惜敗の時代 | 12年フェブラリーS ~18年フェブラリーS |
[1.4.3.5] |
ダートG1の創設当初は1番人気が馬券圏外に敗れるケースが多く、ダートで本当に強いのはどういった馬か、傾向が掴めていなかったこともあったと思われます。しかし、クロフネが3歳でJCダートを圧勝してからはアドマイヤドンやカネヒキリ、ヴァーミリアン、エスポワールシチー、トランセンドなどが登場し、安定の時代を築きました。
ただ、2012年以降は再び勝てないケースが多くなっていて、近7年では15年フェブラリーSのコパノリッキーしか1番人気での優勝がありません。この間、13レースのうち11レースは2~8番人気が勝利を挙げていて、各馬の実力差が小さくなった印象を受けます。
2012年以降のJRAダートG1での1番人気は[1.4.3.5]という成績で、これを枠順別にすると次のようになります。
【2012年以降のJRAダートG1での1番人気】
枠番 | 着別度数 |
1枠 | 出走なし |
2枠 | [1.1.0.0] |
3枠 | [0.0.1.0] |
4枠 | [0.1.0.1] |
5枠 | [0.0.1.1] |
6枠 | [0.0.1.1] |
7枠 | [0.2.0.1] |
8枠 | [0.0.0.1] |
1番人気は3枠以内だと[1.1.1.0]で馬券圏外がなく、4~8枠だと[0.3.2.5]で勝ち切れていません。今の時代のダートG1での1番人気は、ロスなく立ち回れそうな枠順の方が良さそうですが、果たしてJBCの3レースではどうなるでしょうか。
ちなみに、過去5年のJBCでの1番人気は、スプリントでは[1.3.0.1]、クラシックでは[1.1.1.2]、レディスクラシックでは[2.1.1.1]となっています。スプリントとクラシックは1勝ずつで、1番人気で制することはなかなか難しそうに思われますね。
今週末からは福島開催が始まり、京都芝がBコース替わりとなります。11月3日~4日に行われる東京、京都、福島の芝の使用コースと特別競走での穴ぐさ成績は、次の通りです。
11月3日~4日
場所 | 芝 |
東京 | Bコース・2週目 |
京都 | Bコース・1週目 |
福島 | Aコース・1週目 |
11月3日
場所 | レース名 | 穴ぐさ成績 |
東京9R | 南武特別 | [1.0.1.14] |
東京10R | ノベンバーS | [2.0.2.19] |
東京11R | 京王杯2歳S | [3.2.2.26] |
京都9R | 近江特別 | [0.0.1.7] |
京都10R | 貴船S | [1.2.2.19] |
京都11R | ファンタジーS | [1.2.1.27] |
福島10R | 磐梯山特別 | [1.0.2.12] |
福島11R | 河北新報杯 | [2.1.1.28] |
福島12R | 二本松特別 | [1.1.1.18] |
11月4日
場所 | レース名 | 穴ぐさ成績 |
東京9R | 百日草特別 | [0.0.0.5] |
東京10R | 晩秋S | [0.0.1.20] |
東京11R | アルゼンチン共和国杯 | [1.0.2.32] |
京都8R | 醍醐特別 | [0.2.1.26] |
京都9R | 清水S | [1.2.2.18] |
京都10R | JBCスプリント | 出走ナシ |
京都11R | JBCクラシック | 出走ナシ |
京都12R | JBCレディスクラシック | 出走ナシ |
福島10R | きんもくせい特別 | 出走ナシ |
福島11R | みちのくS | [1.1.5.27] |
福島12R | 会津特別 | [1.1.1.22] |
☆注目レース☆
京王杯2歳S(G2、東京芝1400m)
京王杯2歳Sでの穴ぐさは[3.2.2.26](複勝率21.2%)で、複勝回収率は157%です。昨年が11頭立てで、今年も登録頭数が9頭で少ないんですよね…。
過去10年では7番人気以下で③着以内に入った馬が8頭いて、そのうち7頭はひと桁馬番でした。8頭中6頭が父か母父ミスプロ系で、同じく8頭中6頭が関西馬でした。8頭は中8週以内の臨戦で、そのうち7頭は前走がOPで⑤着以内か6番人気以内に推されていたので、前走のOPで結果が出なかった馬にも注意を払いましょう。
☆注目レース☆
貴船S(1600万、京都ダート1400m)
貴船Sでの穴ぐさは[1.2.2.19](複勝率20.8%)で、複勝回収率は129%です。
馬券圏内に入った穴ぐさは中2~4週の臨戦で、5頭中4頭は前走時よりも間隔が詰まっていました(例外馬は前走時と同じ間隔)。5頭のうち3頭は休み明け2~3戦目だったので、使われて状態が上がっている馬を狙うと良さそうです。5頭の鞍上は関西騎手でしたが、そのうち3頭は関東馬だったので、関東からの遠征馬にも気を配りましょう。
☆注目レース☆
清水S(1600万、京都芝外1600m)
清水Sでの穴ぐさは[1.2.2.18](複勝率21.7%)で、複勝回収率は210%です。昨年はマコトサダイジンが9番人気で③着に食い込みました。
③着以内に入った穴ぐさは4~6歳馬で、5頭のうち4頭が5~6歳で、同じく5頭中4頭は母父がサンデー系でした。5頭はいずれも前走で掲示板外に敗れていましたが、5頭中4頭は京都芝での勝ち鞍があったので、京都実績馬を侮らないようにしましょう。
☆注目レース☆
みちのくS(1600万、福島芝1200m)
みちのくSでの穴ぐさは[1.1.5.27](複勝率20.6%)で、複勝回収率は125%です。2014年以降は4年連続で穴ぐさが馬券に絡んでいて、昨年はユキノアイオロスが9番人気で優勝しました。
馬券圏内に入った穴ぐさはいずれも前走から騎手が替わっていました。7頭のうち6頭は中5週以内の臨戦で、福島で激走した6頭はひと桁馬番だったので、内目を走れそうなタイプに注目しましょう。6頭のうち4頭は牝馬となっています。
■ちなみに…■
アルゼンチン共和国杯での穴ぐさは[1.0.2.32]で、ファンタジーSでは[1.2.1.27]です。過去10年のアルゼンチン共和国杯では7番人気以下で③着以内に入った馬が6頭いて、ファンタジーSでは9頭います。
アルゼンチン共和国杯で激走した馬は3~6歳の牡馬で、6頭のうち4頭は前走が④着以内で、残りの2頭は前走がG1&G2でした。激走馬はいずれも近3走以内に芝で馬券圏内があったので、好調さが重要でしょう。
激走した6頭のうち4頭は母父がノーザンダンサー系で、例外の2頭も5代血統表内にノーザンダンサーのクロスを持っていたので、ノーザンダンサー系を濃く持っているタイプに注目したいですね。
ファンタジーSで激走した馬は、9頭中3頭が前走で初勝利を挙げていて、残りの6頭は前走のOPで敗れていましたが、その6頭のうち5頭は右回りの芝OPで掲示板に載ったことがありました。09年以降に激走した8頭は馬体重が前走と同じかプラスで、8頭のうち7頭はプラス体重だったので、体重の増減もチェックして臨むと良いでしょう。
なお、JRAのダートG1では、2008年以降だと7番人気以下で③着以内に入った馬が17頭いて、そのうち12頭が前走のダートOPで③着以内に走っていました。前走④着以下で激走した5頭のうち4頭は、過去にダートG1で③着以内に入ったことがあったので、G1好走歴があるか、勢いのあるタイプが狙い目でしょう。
2014年以降のJRAダートG1だと7番人気以下で③着以内に入った馬が7頭いて、この7頭は父&母父がサンデー系・ミスプロ系・ノーザンダンサー系だったので、血統的にはその3系統を掛け合わせられた馬が面白そうです。