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速攻レースインプレッション

餅は餅屋という思いを強くした

文/出川塁 写真/小金井邦祥


夏競馬の楽しみのひとつとなっているのが、新潟開幕週のアイビスサマーダッシュ。21世紀最初の年である2001年に第1回が行なわれているので、今年で第18回。正直、他の重賞に関しては第何回など考えもしないが、この名物G3だけはとにかく覚えやすいのである。

個人的なセオリーとして、新潟芝1000mでは「直千」初出走の馬を狙うようにしている。中央で唯一のコースということもあり、直千で何度も好走している馬は実績がクローズアップされやすく、人気になりやすいからだ。だから、未出走だけど直千適性が高そうな馬を探すようにしている。ミスプロ系を中心としたスピード血統で、着順は悪くても短距離戦で常に先行できている馬を狙うと、結構な配当をつけてくれることがある。

ただし、これは主に条件戦の話。直千の最高峰であるアイビスサマーダッシュでは生半可な馬は通用せず、ここは実績がものをいう。だから、かつてのカルストンライトやカノヤザクラ、最近ではエーシンヴァーゴウやベルカントのように、同じ馬が何度も好走する。

今年でいえば、昨年③着のレジーナフォルテは実績面では目につく存在といえる。しかし、2走前の同条件である韋駄天Sでは着に大敗。また、3歳牝馬だった昨年に比べて斤量が3キロ重くなるのは気になる点ではあった。過去にアイビスSDで好走した3歳牝馬は、同馬を除いて5頭。そのうち翌年も出走した馬は3頭いるのだが、2年連続で好走した例はなかったからだ。

結論からいえば、今年のレジーナフォルテは着順をひとつ落として④着までだった。人気通りの結果ではあるのだが、アイビスSDでは3歳牝馬の斤量利が大きく、古馬になっても好走するためにはもう一枚力を上積みさせないといけないのだろう。

勝ったのは1番人気のダイメイプリンセス。直千を使われたのは5歳になった今年が初めてだが、5月に駿風S韋駄天Sをいずれも快勝。CBC賞⑨着を挟んで出走したここは8枠15番の好枠を引いたこともあり、1番人気に推されていた。

今回もスタートは若干甘く、枠のよさはあまり活かせなかったものの、前が開いてからは一気に突き抜けてみせた。これで新潟芝1000mは3戦3勝。着差がつきづらい短距離戦ながら、すべて1馬身以上の差で勝っており、まさに水を得た魚のような活躍だ。

②着には2番人気のラブカンプーが粘り込み。こちらは鞍上のミルコ・デムーロ騎手がレース前まで[5.1.1.2]と新潟芝1000mを大の得意にしており、今回もまたしっかりと好走を果たした。

そして、この2頭はいずれも森田直行厩舎に所属しており、森田師にとっては嬉しい中央での重賞初勝利となった。開業した14年にキョウエイアシュラで交流重賞のオーバルスプリントを制したことはあったが、同馬は矢作芳人厩舎からの転厩馬。デビューから手がけた馬での重賞勝利は格別の味だろう。それにしても、「直行」という名を持つ調教師の中央重賞初勝利がアイビスSDで、しかもワンツーフィニッシュというのはよくできた話だ。

総じて上位人気に推された牝馬は大崩しなかったが、唯一、3番人気のペイシャフェリシタだけは着に敗退してしまった。個人的な予想では、ハーツクライ産駒に直千は厳しかろうと評価を落とした馬ではあった。

ところが、レース後にデータを調べると、先週まで[4.2.1.12]勝率21.1%単勝回収率151%と予想外の好成績。これには一瞬焦ったが、内容を確認すると好走は500万下までに限られ、1000万下~オープンでは4戦すべて凡走だった。下級条件なら通用しても、クラスが上がってスピードの要求度が高まるとハーツクライには荷が重いのだろう。

一方、勝ったダイメイプリンセスキングヘイロー産駒、②着のラブカンプーショウナンカンプ産駒と、父はいずれも芝1200mのG1を制していた。ラブカンプーに至っては、母の父のマイネルラヴスプリンターズSの勝ち馬で、やはり餅は餅屋という思いを強くしたのだった。


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