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速攻レースインプレッション

ときにはデータを疑ってみることも大事!?

文/出川塁、写真/小金井邦祥


夏場の3歳ダート重賞としてレパードSが新設されたのが2009年のことだから、今年は節目の第10回となる。その第1回からトランセンドが勝ち、以降もミラクルレジェンド、ホッコータルマエ、インカンテーションなどダートのG1戦線で長く活躍する馬を送り出してきた。

今年はフルゲート15頭のところに22頭がエントリー。結局、チュウワウィザード、コマビショウ、ショーム、ダイシンカローリなど、出てくれば面白そうな2勝馬たちの多くもゲートに収まることはできなかった。

レパードSに確実に出走するためには3勝を挙げておきたいところだが、この時期に古馬相手の1000万下を勝っていればかなりの実力馬だ。また、3歳ダート路線はそもそもの選択肢が少ないため、どの馬にとっても目標となるレースでもある。結果、ハイレベル戦になりやすく、これが出世レースとなっている理由のひとつといえる。

昨年まで9年連続で1番人気が馬券に絡んできたのも、ハイレベル戦ゆえに力がある馬でなければ好走しにくいからだろう。ただし、昨年は11番人気のローズプリンスダムが勝ち、②着にも12番人気のサルサディオーネが入って馬連9万馬券の大波乱。圧倒的1番人気のエピカリスがなんとか③着は確保したものの、創設以来もっとも荒れたレースとなった。

そして今年、ついに1番人気が③着以内に入れずに終わる結果となった。1番人気のグレートタイムはスタート直後から行き脚がつかず、最後方をルメール騎手に促されながらの追走。向こう正面で少しポジションを押し上げたものの、やはり行きっぷりはいまひとつで、直線で⑥着まで追い上げるのが精一杯だった。

勝ったのは5番人気のグリム。こちらは内田博幸騎手がゲートから手綱をしごいてハナに立つ。これまでの好走は馬群を外を追走したレースに限られており、逆に前走のユニコーンSは馬群に包まれ⑨着に敗退していた。

今回も内目の6番枠と歓迎とはいえない枠。しかし、内田騎手はテン乗りながらもしっかりと癖を把握して作戦を練ってきたのだろう。迷わずハナを奪うと、長所の渋太さが活きるレース運びに持ち込むことに成功した。

その目論見通り、逃げ脚は直線を向いてもまったく衰えない。外から10番人気の伏兵ヒラボクラターシュが迫ってくると、あえてラチ沿いを離れて叩き合いに持ち込み、きっちりクビ差残して先頭ゴール。まさに作戦勝ちの重賞初勝利となった。そこから3馬身離れた③着にも9番人気のビッグスモーキーが入り、昨年に続く3連単67万馬券の波乱決着となった。

一方、上位人気では前述したグレートタイムが1番人気⑥着に敗れたほか、2番人気のドンフォルティスは④着、3番人気のアドマイヤビクターも⑨着と揃って不本意な決着に終わった。

興味深いのは、この1~3番人気馬はすべて前走より距離短縮で臨んだ馬だったことだ。グレートタイムドンフォルティスの前走は2000mのジャパンダートダービーアドマイヤビクターは1900mのレースを勝ってからの出走だった。このうち、グレートタイムアドマイヤビクターは今回かなり後ろからの追走となってしまったのも、距離短縮の影響があったのかもしれない。

逆に上位3頭のうち、グリムは200mの距離延長で1800mは初出走。また、③着のビッグスモーキーも1700mの安達太良Sからの臨戦だった。この2頭はいずれもすんなりと先行しており、距離延長がプラスに働いた感がある。

もっとも、これまでのレパードSでは距離短縮馬が好走しやすく、過去9年で[5.2.4.29]、勝率12.5%、複勝率27.5%という成績を残していた。[2.1.3.42]、勝率4.2%、複勝率12.5%だった距離延長馬より遥かに好走率が高く、今回のような人気順になったのも無理がない面もある。

これはデータ解析が進んだ副作用のようなものでもあるのかもしれない。過去のデータから好走傾向に沿った馬が人気を集める反面、そうでない馬は不当に人気を落とす傾向が最近では顕著だ。もデータに基づいた原稿を書く機会が少なくないだけに、そうした風潮に微力ながらひと役買っているのかもしれないが、やっぱりときにはデータを疑ってみることも大事だなと改めて思わせてくれる、今回のレパードSだった。


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