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速攻レースインプレッション

成長の余地も十分、今後の活躍を楽しみに見守りたい

文/浅田知広、写真/川井博


「植物名。本馬誕生日より連想」ミツバの馬名意味由来を見て、やれ歴史上の出来事やら、誕生花(そんなものあったのか)やら調べてみても、さっぱりそれらしいものは見当たらない。いったいなんなんだ、と少し悩んだが、なんのことはない、3月28日、3()2()8()だった。えらい遠回りをしたものだ。

さて、そのミツバが1番人気に推された今年のエルムS。気性面の問題などもあって出世するまで少し遠回りをしたが、ここまでオープン5勝、盛岡のマーキュリーC連覇で重賞2勝。昨年のJBCクラシック③着もあり、すっかりこの路線の実力馬として定着した印象だ。

ただ、なにせあのミツバである。いや[10.6.5.17]という数字自体は言うほど不安定には見えないのだが、1番人気です、と言われるとさてどうなんだ、と。中央勢が数頭しかいない地方の交流重賞ならまだしも、中央・札幌の小回り1700mではちょっと不安もある、という単勝3.9倍だった。

これに4.1倍で続いたのは、ここが2度目の重賞・ハイランドピーク。3走前のマーチSは本来の先行策を取れずに⑨着敗退、ここが試金石という一戦だ。さらに5.3倍で昨年③着のドリームキラリ、そして船橋移籍で息を吹き返した感のある一昨年の覇者リッカルドが5.9倍と、この4頭が僅差で1~4番人気。昨年の覇者ロンドンタウンは休養明けもあって、10.8倍と差がある5番人気となった。

ハナを切ったのは昨年同様ドリームキラリブラゾンドゥリスを挟み、ハイランドピークも今回はしっかり3番手を確保した。中団の前にロンドンタウン、そしてこれを見てリッカルド。そして1番人気のミツバは……、ゲートを互角に出たと思って目を切っていたのだが、なんとまあ最後方である。

向正面でいったん馬群が縮まりかけたものの、3コーナーでハイランドピークが早めにドリームキラリを捕らえにかかって先頭へ。ここで一気にペースが上がり、後方の前で馬群は分断。ちょうど追い上げにかかろうか、というタイミングだったミツバにとっては、かなり苦しい展開になった。

前では、内からドリームキラリが再び先頭を奪い返して4コーナーを通過。もろちん外のハイランドピークもぴったりと続き、3番手にはやや離れてロンドンタウン。直線前半ではドリームキラリハイランドピークが一騎打ちの大勢となった。ただ、それも長くは続かず(3コーナーから見れば長かったが)、残り200mでハイランドピークがこの争いに競り勝つと、そのまま押し切って、見事、初の重賞タイトルを手中にした。

②着には一騎打ちに敗れたドリームキラリ。そして③着はロンドンタウンが楽に確保するかと思いきや、圏外かと思われたところからミツバが突っ込み、ハナ差でなんとか1番人気の面目を保つ馬券圏内③着を確保。2→3→1番人気と、先行・追込に分かれた上位人気馬が、終わってみれば上位独占という結果になった。

そして3連単は8→2→3で7700円。ん? 823、なんか聞いたことあるぞって、ミツバの逆順ではないか。3連複は1番人気で1450円とはいえ、この手の番号が気になったとき「100円でも買っておけば損害を減らせたのに」というのはたまにあることだ。

ともあれ、勝ったハイランドピークはこれが重賞初制覇。先にも少し触れたが、マーチSでは出遅れて離れた後方の追走となり、最後はメンバー中最速の上がりで差を詰めたものの⑨着だった。しかし、降級戦を力通りに制してすぐにオープン復帰。前走のマリーンSは3角先頭から、4コーナーで勝ち馬に並ばれる苦しい展開ながらも、そこから渋太い粘りで②着を確保していた。

そして今回も、3コーナーでドリームキラリを捕らえにかかる早めの勝負からのタイトル獲得。条件戦でも他馬をねじ伏せるような圧勝が多かった馬だが、重賞でもこの形で勝利をものにする力を証明した。前が1頭だからといって、楽をさせては最後に抵抗に遭う可能性もあっただけに、馬ともども重賞初制覇となった横山和生騎手も、この馬の持ち味を引き出した好騎乗だったと言えるだろう。

この手の馬が強くなると、特にダート戦では、もうライバルが手も足も出ないような連勝街道を突き進むこともあるもの。まずはG3を突破。今後、さらに相手が強化してどうなるか。まだ4歳、さらに成長していく余地も十分にあるだけに、今後の活躍を楽しみに見守りたい。

一方、なんとか③着を確保した1番人気のミツバも、最後だけ見ればさすがの末脚だった。一時よりも安定感は増していたとはいえ、やはりこういう面も残っている、というところを見せた一戦となった。これで極端に人気を落とすこともなかろうが、1番人気よりは少し下のところでこそ買いたいタイプだ。


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