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速攻レースインプレッション

1番人気苦戦のジンクスを崩し、人馬が待望の重賞初制覇

文/人編集部(T)、写真/川井博


週中の台風接近から前日の土曜まで続いた雨模様の影響で、今年のキーンランドC稍重馬場で行われることになった。

これはちょっとした"事件"で、キーンランドCが重賞に昇格した06年以降、札幌では11回行われたが、すべて良馬場で行われている。日曜は雨が降っていなかったので、何か"神通力"のようなもので回復するかと思っていたが、結局は稍重のまま。長年良馬場で行われる年が多かった札幌記念も16、18年と稍重で行われているが、それと同様に「異常気象の影響か、ついにキーンランドCも……」と妙な感慨を覚えてしまった。

それはそうとして、最終的に1番人気に推されたのはナックビーナスオーシャンS②着、高松宮記念③着、函館スプリントS③着と、重賞では勝ち切れないまでも常に上位を争ってきた。2番人気は高松宮記念②着馬レッツゴードンキで、古馬牝馬が上位人気を占める形になった。

安定感はあっても重賞未勝利だったナックビーナスの人気を押し上げたのは、やはりモレイラ騎手を鞍上に迎えたことか。今年は例年以上のハイペースで勝ちまくり、このレースまでですでに31勝を挙げている。

ただ、意外なことにモレイラ騎手、JRAのOPはここまで[0.2.0.11]で未勝利。1番人気に推された16年キーンランドC(シュウジ)、16年札幌記念(モーリス)で②着に入ったのがここまでで最高だった。

モレイラ騎手が乗れば過剰なほどに人気を集める点は考慮する必要があるが、今年も4回騎乗して⑦⑩④⑭着。1番人気も2回あってのこの成績だけに、今回こそと、本人も期するものがあったのかもしれない。

レースはそのナックビーナスが、ロケットスタートを切ってハナに。5走前のカーバンクルSを逃げ切っているように、ハナに立つ形が良いが、抜け出すとソラを遣うクセがあり、逃げ馬にとってはかなり難儀な弱点がある馬だ。

しかし、今回のナックビーナスは最後まで集中していた。道中は競りかけられながらも先頭をキープして、直線入口で後続を突き放すと、最後まで先頭を譲らずゴールを駆け抜けた。ゴール板を通過する前から、ガッツポーズを隠しきれないモレイラ騎手が印象的なシーンとなった。

改めてキーンランドCのパトロールビデオを見ると、モレイラ騎手が細心の注意を払って騎乗していることが分かる。好スタートを切ってハナに立ったが、再三右、左に目を向けて後続も来ていることを確認し、1頭だけになって気を抜く面を出さないようにしている。

そして満を持して直線を向くと、外に膨れかけたところで左ムチを数発、内にヨレかけたところで右ムチと、最後まで集中を切らさせない。1200mという短距離戦ではあるが、モレイラ騎手の"上手さ"が凝縮されたレースだったのではないか。

ちなみに、過去12回行われたキーンランドCを1番人気で制した馬は11年のカレンチャンだけだが、そのカレンチャンは次走でスプリンターズSを制している。1番人気苦戦の傾向を覆したナックビーナスが、勢いに乗ってG1制覇となるかどうか。

そのカギを握りそうなモレイラ騎手は先週で一旦短期免許での騎乗を終了(今週はWASJ参加騎手として参戦している)したが、今後はスプリンターズSの週に再来日し、天皇賞・秋が行われる週まで日本で騎乗する予定とのこと。

サッカー・本田圭佑選手の話で有名になった「ケチャップ理論」と同様に、「一度勝ったらドバドバ勝つ」となるか。モレイラ騎手ナックビーナスとともにJRA・G1初制覇を達成する可能性も、今の勢いなら十分に可能性がありそうだ。

一方、②着のダノンスマッシュは直線でナックビーナスには突き放されたが、最後まで2番手は譲らず粘り込んだ。父ロードカナロアも重賞初制覇は3歳11月(京阪杯)、祖母ハリウッドワイルドキャットも3歳夏以降にG1を3勝した馬で、血統的に成長力も秘めていそう。こちらはこれからの成長に期待したい。


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