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速攻レースインプレッション

全弟も重賞勝ちした得意舞台で重賞初出走初制覇

文/出川塁、写真/小金井邦祥


POGあるあるダービーが終わったあとや古馬になってから元指名馬が重賞勝ち。そんなマイコレクションにまた一頭、今年の京成杯AHを勝ったミッキーグローリーが加わってしまった。いや、もちろんそれはそれで嬉しいことなのだが、本音としては「できれば集計期間内にお願いします!」というのも事実ではある。

そのミッキーグローリー、一昨年の3歳4月に2勝目を挙げたあと、抽選を突破できればNHKマイルCに挑むという次走報を見た記憶があるのだが、結局は出走登録なし。以降、情報があまり出てこない個人オーナーの所有馬ということもあり、トンと消息を聞かなくなってしまった。

久しぶりにその名を馬柱で見たのは、1年半近くが過ぎた昨年9月のこと。ここはブランクの影響が大きかったのだろう、直線で伸びを欠いて⑥着に敗れたが、叩いた次走と暮れの中山を連勝。今年5月の準オープン初戦・むらさき賞③着を挟んで阿武隈Sを快勝し、自身初の重賞レースに出走することとなった。

奇遇にも、この馬と1番人気の座を争ったロジクライも似たような境遇の持ち主だ。同じ2013年に生まれ、3歳1月のシンザン記念を制すのだが、脚部不安によって2年近い休養を余儀なくされる。復帰初戦こそ⑦着に敗れたものの、叩き2戦目で②着と復調を見せ、節分S六甲Sと連勝。前走の中京記念では②着に入り、久しぶりの重賞連対を果たしていた。

ちなみに、3番人気のワントゥワンも、牝馬クラシック路線に乗りかけたもののG1には出走ならなかった5歳馬。さらには4番人気のヒーズインラブ、5番人気のロードクエストまで、5歳馬が上位人気を占めた。

そんな今年の京成杯AHで面白いのは、前半4Fと後半4Fのラップの変化だ。前半4Fは12.5-10.7-11.5-12.2という流れ。2Fめでまずまず激しい先頭争いが繰り広げられ、最内枠から出たミュゼエイリアンが枠を活かしてハナに立つ。そこから向正面に入ると流れが落ち着き、3コーナーに入る手前ところでは12.2までラップが落ち込んだ。

ここでしびれを切らしたのが、本来は逃げたいクチのウインガニオン。3コーナーを回るところで一気に先頭へと躍り出ると、さらに外からヤングマンパワーも追随して2番手まで押し上げる。これによって流れもグッと引き締まり、後半4Fは11.2-11.4-11.5-11.4という高速ラップが続くこととなる。

中盤に中だるみがあって脚を溜めやすく、後半に速い脚を使わなければならないレース展開。こうなると、ディープインパクト産駒の出番である。実際、後方を進んでいたミッキーグローリーの脚色は良好。4角から直線にかけて馬群の外に持ち出されると、550キロの巨体をゆすって中山の急坂もなんのその。ゴール板までしっかりと伸びて、重賞初出走初制覇を飾った。全弟のカツジが同条件のニュージーランドTを制していたが、遅れること半年で追いついてみせた。

これで中山マイルは[3.1.1.1]。唯一の着外は前述した長期休養明けのレースだから、順調なら凡走なしといってもいい。また、鞍上のC・ルメール騎手は前日の紫苑Sに続く、2日連続の重賞制覇。自身のコース適性に好調の鞍上が噛み合って、最高の結果につながった。

②着に突っ込んできたのも同じくディープ産駒ワントゥワン。道中はほぼ最後方を追走し、1頭違う脚を使って追い込んできたものの、4分の3馬身届かなかった。さらに4分の3馬身遅れた③着にロジクライが入り、1~3番人気が馬券圏内を占める堅い決着となった。

なお、これによりサマーマイルシリーズは優勝馬なしという結果に。2012年に始まった同シリーズだが、7年のうち3年で優勝馬が出なかったことになる。指定された3戦中2戦がハンデ戦で、一流馬はそもそも出走しづらい。また、中京記念関屋記念を勝つと最終戦の京成杯AHでハンデを課されるので、上がり馬にとっても容易ではない面がある。

サマー2000シリーズの札幌記念、サマースプリントシリーズのセントウルSのように、シリーズのとなるG2戦もない。馬券の売上に大きく貢献しているわけでもなさそうだ。シリーズの意義が見えづらくなっているのは確かだろう。だから即廃止すべきとまでは思わないのだが、なんらかのテコ入れは必要だろう。

注目は、新たな格付けとして導入されるリステッド競走か。阪神芝1600mの米子Sが指定されたり、札幌芝1500mにレースを新設するなどして加わればシリーズが厚みを増し、ファンにとっても興味を持ちやすくなるかもしれない。


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