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速攻レースインプレッション

数々の課題を克服し、スプリントG1連覇に視界良好

文/編集部(T)、写真/森鷹史



セントウルSスプリンターズSの前哨戦という側面と、サマースプリントシリーズ最終戦という側面のそれぞれを持つ。サマースプリントシリーズはこのレースまでで王者が決まっているケースもあるが、今年はそれぞれの側面を持つ馬が1番人気と2番人気になったことで、馬券とは別に興味深い一戦となった。

それは多くのファンも同じだったようで、1番人気と2番人気は時間を追うごとに目まぐるしく入れ替わる。最終的な1番人気はファインニードルで、今年の高松宮記念を制し、香港のチェアマンズスプリントプライズでも④着に健闘。春秋スプリントG1制覇に向けて、ここで復帰してきた。

2番人気はラブカンプー。サマースプリントシリーズはアイビスSDで②着、北九州記念で③着に入り、ここを勝てばトップを行くアレスバローズを1ポイント交わしてのチャンピオンとなる。鞍上のM.デムーロ騎手も、ここを勝てばサマージョッキーズシリーズ優勝となる一戦だ(同騎手は対象レースでまだ勝っていなかったため、勝たなければチャンピオンの条件となる「対象レース1勝以上」を満たせない)。

夏に走ってきた3歳牝馬と、夏の間に休んできたG1馬。このレースを予想するブログやツイッターなどを見ていても、「ラブカンプーはここを勝てばチャンピオンなので、メイチの勝負のはず」「ラブカンプーの厩舎コメントはシリーズを意識しないと言っている」「ファインニードルは先を見据える馬で、ここなら付け入る隙がある」などなど。

タイムや能力ならともかく(それでも分からないのですが)、仕上げや思惑は想像するしかなく、何とも見えにくい。さらに週末降り続いた雨がレース直前に強まって重馬場になり、馬場適性というファクターが加わってより難しさを増した。

……などとレース前は考えていたのだが、結果はファインニードルが②着ラブカンプーに1馬身半差を付けての快勝。意外なほどの差が付くことになった。

レースは、2枠2番の好枠を引いたラブカンプーが好スタートからハナに。道悪巧者で、是が非でも行きたいネロが絡んでペースが上がる。前半600mは33秒3で、良馬場だった昨年が33秒8だから、馬場を考えても相当に速くなった。それに対して8枠14番からのスタートとなったファインニードルは中団外目で脚を溜める。

この2頭、直線での脚色の差は歴然で、ネロを振り切って逃げ込みを図るラブカンプーに対し、ファインニードルは外に持ち出されて追い出されると、一気に前を交わして連覇のゴールを切った。勝ち時計は1分8秒8で、昨年(1分7秒5)と比較すると、どれくらい馬場が悪かったかが分かる。

ラブカンプーに対して6kgの斤量差があって、この勝ちっぷり。「メインレースの考え方」でも指摘されていた休み明け斤量58kg、おまけに重馬場も克服したことで、春秋スプリントG1制覇に向けて大きく展望が開ける勝利だったといえそうだ。

ただ、気になることもある。セントウルSが9月の阪神開催に移ったのが07年だが、それ以降のセントウルS勝ち馬はスプリンターズS②⑦⑤④③④②⑨⑫⑫着と勝てていない。とはいえ、昨年時のファインニードル(⑫着)はスタートでゴチャついて掛かってしまったし、16年ビッグアーサー(⑫着)も包まれて完全に脚を余していて、力を出し切ってのものではないのも事実だ。

ファインニードル自身は中山芝1200mでも勝ち鞍があって、コース適性がないとも思えないから、本番では力を出し切れるかが最大のポイントになりそうだ。

一方で敗れたラブカンプー。終始ネロに絡まれる厳しい展開で、小柄な牝馬だけに初経験となった重馬場も応えた感じ。本番ではファインニードルに対する斤量差が6→4kgとなるが、条件が変わってどこまでその差を詰められるだろうか。

ちなみに、ネロに騎乗していた福永騎手。行き切ってこその馬だけに当然ではあるが、M.デムーロ騎手が乗るラブカンプーに対して執拗に競りかける場面が目に付いた。

このレースの結果を受けて、冒頭で触れたサマージョッキーズシリーズのチャンピオンの座はポイントトップのM.デムーロ騎手が「対象レースで1勝以上」の条件を満たせなかったために、ポイント2位で札幌記念をサングレーザーとのコンビで制していた福永騎手に転がり込むことに。

福永騎手へのインタビューによると、これについては知らなかったそうだが……さすがにこの点を予想に組み込むのは難しかった!?


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