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速攻レースインプレッション

2400mの神戸新聞杯での初対決はダービー馬に軍配

文/出川塁、写真/森鷹史


今年の神戸新聞杯で話題となったのが、皐月賞馬エポカドーロとダービー馬ワグネリアンの激突だ。

神戸新聞杯でこれが実現したのは今年で3回目。最初の1976年は、あのトウショウボーイが5馬身差でクライムカイザーを下して圧勝した有名な一戦だ。日本競馬史上初めて芝2000mで1分58秒台が計時されたことでも知られる一戦で、天性のスピードを誇った「天馬」トウショウボーイにとってベストレースとの呼び声も高い。

2回目は2000年。菊花賞の開催時期が2週繰り上がったことに伴い、それまで最重要視されていた京都新聞杯が春に移動し、神戸新聞杯が最終トライアルとなった年でもある。結果はアグネスフライトがエアシャカールに半馬身先着したものの、その2馬身前を夏の上がり馬フサイチソニックが颯爽と駆け抜けており、実質的には痛み分けといったところだろう。

3回目となる今年、過去2回との大きな違いは神戸新聞杯が2400mになってからは初めての対戦ということだ。単純に考えれば、同距離のダービー馬が有利にも思えるところだが、最終的な単勝オッズは横並びの2.7倍。もっといえば、単勝1番人気は票数の差でエポカドーロ、複勝1番人気はワグネリアンと割れており、ファンからの評価はまったくの五分となっていた。

そんな注目の2頭だったが、スタート直後にレースの行方を左右する出来事が起こる。ゲートを出てまもなくエポカドーロがつまづき、後方からの競馬になってしまったのだ。なんとか態勢を整えて落馬には至らなかったものの、逃げ先行で実績を築いてきたエポカドーロにとっては痛すぎる序盤となった。

ワグネリアンにも相棒の福永祐一騎手が先週落馬負傷し、急遽藤岡康太騎手に乗り替わりとなる誤算はあった。とはいえレースでの折り合いはよく、中団でしっかり脚が溜まっているように見える。ダービーでは乾坤一擲の先行策を決めたものの、本来はこれがこの馬の競馬。それにしても、エポカドーロワグネリアンより後ろになるとは予想だにしなかった。

ここでエポカドーロがいない先行争いに目を転じると、ラジオNIKKEI賞を勝ってきたメイショウテッコンが1コーナーに入る手前で他馬を制して先頭へ。そのまま後続を引き離し、向こう正面ではタテ長の馬群となった。それでも、前半1000m通過は61秒9の落ち着いた流れである。

3コーナーに入るあたりからは後方の馬も追い上げにかかり、馬群はギュッとひと固まりに。気になるのはエポカドーロの手応えで、鞍上の戸崎圭太騎手は手綱を動かし気味。やはりスタート直後にリズムを崩したことが尾を引いているのだろう。一方のワグネリアンは持ったままの手応えで、すんなり馬群の外に持ち出している。

直線の攻防も、3~4コーナーの手応え通りの結果となる。外から堂々と末脚を伸ばしたのはワグネリアン。よく粘ったメイショウテッコンを追い落とし、道中は最後方にいた同厩馬エタリオウの急追もしっかりとしのいで、秋初戦を見事に勝利で飾った。

エポカドーロもジリジリと伸びてはいたが、④着までが精一杯。先行力を活かした競馬巧者タイプのこの馬にとって、このかたちではやはり持ち味が出ない。それでも大負けはしておらず、能力の片鱗は見せており、なにより本番ではなかったことは幸いだった。

結局、2400mの神戸新聞杯では初めての皐月賞馬とダービー馬の対決は後者の勝ち。②着のエタリオウは近4走がすべて2400m戦、③着のメイショウテッコンも2400mの梅花賞を勝った実績を持っていたことを考えると、距離適性を重視すべきレースだったようだ。

では、3000mに延びてどうなるか。と思ったらレース後、ワグネリアン天皇賞・秋に向かうことが正式に発表された。ダービー直後にも友道康夫調教師から「距離的に菊花賞はどうか」という主旨のコメントが出されていたが、改めてエタリオウに任せられる算段が立ったという意味合いもありそうだ。

ほかに、重賞勝ちの実績を持つステイフーリッシュタイムフライヤーゴーフォザサミットといった馬も出走していたが、これといった見せ場は作れず。いずれも距離が延びて面白そうな血統ではあるので巻き返しに期待したい。ただし、ハーツクライ産駒菊花賞[0.1.0.8]と不振という無視できない傾向があるため、血統的にはステイゴールド産駒ステイフーリッシュか。

ちなみに、このレースの10分後に発走するオールカマーでは、昨年の皐月賞馬とダービー馬の直接対決が実現。その結果はどうなったかといえば、こちらはもちろん編集部(T)氏の速攻インプレをご覧いただきたい。


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