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速攻レースインプレッション

巧みなレース運びで初の重賞タイトルを獲得

文/浅田知広、写真/森鷹史


今年は史上初めてとなる中央(京都競馬場)でのJBC開催を11月に控える中、中~長距離路線としては中央・地方通じて秋最初のダートグレード競走、シリウスSである。もっとも、ここはG3のハンデ戦。そのJBCクラシックを視野に入れて、という点ではここを勝ったからといって大本命になるような馬こそ不在ながら、なかなか楽しみな、あまり底を見せていない馬も多い一戦となった。

1番人気に推されたのはグレイトパール。昨春に5連勝で平安Sを制覇。その後、骨折で約1年を棒に振ったものの、復帰戦となった今年のアンタレスSを制してダート無敗の6連勝。続く連覇を狙った平安Sは、2戦で計16キロの馬体増の影響か連勝が止まった(⑤着)ものの、ひと息入れたここは、20キロ絞って連勝時の体重に戻しての参戦となった。

続く2番人気は3歳、年明けデビューのオメガパフューム。デビュー2連勝後、青竜Sは距離不足で③着に敗退したが、古馬相手の1000万を制すると、前走のジャパンダートダービーでは②着と好走。ちょっと相手(ルヴァンスレーヴ)が悪かった一戦だが、ここは3歳で重賞未勝利ということもあり、ハンデは53キロと恵まれた。

続く3番人気はサンライズソア。ダート[4.3.3.2]とちょっと甘い面もあった馬だが、3走前の名古屋大賞典を逃げ切ると、前走の平安Sも逃げ切りと、ハナを切るようになって重賞2勝。そして4番人気のミキノトランペットも[5.3.4.4]と同様に②~③着も多かったが、条件戦2連勝(ただし左回り)での参戦だ。さらに、やや離れて7番人気にとどまったが、ウェスタールンドも長期休養明けの前々走からダートに転じ2戦2勝。このあたりは、ここにきてきっかけを掴んだようなグループだ。

まずはスタート、サンライズソアが外枠を引き、果たして再びハナに行く(行ける)のかが注目されたが、押して出しはしたものの、内のコパノチャーリーに譲る形で2番手追走。人気どころで前につけたのはこの馬だけで、近走先行していたミキノトランペットは、スタート後に前をカットされる場面もあって中団からの競馬になった。

1番人気のグレイトパールは序盤の後方から、向正面でやや仕掛けて中団へ。これをマークするようにオメガパフュームが続き、ウェスタールンドはスタート後の行き脚がまったくつかず離れた最後方追走となった。

レース発走時にこそ雨は止んだものの、それまでたっぷり水を含んだ馬場は不良。前半1000m60秒4が果たして遅いのか速いのか、後半1000mは61秒1で、結果としては平均からやや速めといった流れになった。

3コーナーでサンライズソアが先頭に並びかけ、向正面で動いたグレイトパールは早くもその直後。これを見るオメガパフュームも続いて4コーナーを通過したが、明らかにグレイトパールの手応えが悪く、その後ろでオメガパフュームが余裕を残しているように見受けられた。

そして直線。いったんはサンライズソアが抜け出しかかったものの、後続からは見た目通りに余力のあったオメガパフュームが、グレイトパールを置き去りにして一気にスパート。サンライズソアとの差をみるみる詰め、そのまま快勝かと思われた。

しかし、そのオメガパフュームが先頭に立とうかという瞬間、内からこれをさらに上回る脚を繰り出した馬が1頭。道中は離れたシンガリだったウェスタールンドだ。

後からビデオを見れば、4コーナーで馬群に取りつくと、何度も進路を切り替えながら、抜群の末脚を発揮。この脚色ならオメガパフュームにも届くか、という勢いで迫った残り150mだった。

しかし、最後の最後で目の前にサンライズソア。ここでまたも進路を外に切り替えている間に、先に外から抜けたオメガパフュームはゴールに向かって一目散。ウェスタールンドも立て直して再び前を追ったものの、この急襲をクビ差でオメガパフュームが抑えきり、初の重賞タイトルを手中にしたのだった。

ゴール前だけ見ると、どうしてもウェスタールンドの末脚ばかりが目立つ結果になったが、全体としてうまいレース運びをして勝利を手にしたのはオメガパフューム。まず目の前にいた人気のグレイトパールを処理し、さらに、ハナこそ切れなくても良い形には持ち込んだサンライズソアをもきっちり捕らえる快勝だ。

この馬で今年、厩舎の初勝利も初重賞も手にした安田翔伍調教師は、当初「ブラジルCを予定」していたと、ジャパンダートダービー②着馬にしてはなんとも欲がないように聞こえる話だったが、この勝利で「それはなくなった」とのこと。賞金上位馬の動向次第にはなるが、もちろんJBCクラシックも視野に入ってくるだろう。今回はハンデ差のある一戦だったが、まだこれが6戦目。さらに伸びしろも期待できるだけに、大舞台での走り、そして同期の王者ルヴァンスレーヴとの再戦を楽しみに待ちたい。


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