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速攻レースインプレッション

次はさらに強い姿を見せてくれることを期待したい

文/浅田知広、写真/川井博


優勝馬には天皇賞(秋)への優先出走権が与えられる京都大賞典。しかし優勝馬どころか、出走馬で次走・天皇賞を制したのは、過去30年でわずか5頭。04年のゼンノロブロイのあとは、15年のラブリーデイ1頭と、特に近年は縁が薄くなっている印象だ。

一方、同じ「30年で5頭」でも、一昨年のキタサンブラック、そして昨年のシュヴァルグランと、次走・ジャパンC優勝馬は2年連続で輩出。その時々の出走馬にも左右されるが、次走G1を「勝った馬」ではなく「目指した馬」まで含めて考えると、やはり同距離・ジャパンC指向の強い一戦になっている。

今年も天皇賞(秋)よりは、ジャパンCだったり、あるいはアルゼンチン共和国杯などを挟んで有馬記念あたりを目指したい馬が多く顔を揃えた。そんな中、単勝2倍台前半で一騎打ちムードとなったのは、シュヴァルグランサトノダイヤモンドだ。

シュヴァルグランは昨年の優勝馬……といっても次走・ジャパンC優勝馬で、ここは③着。京都外回りは4歳以降[0.3.2.0]と、春の天皇賞のような大舞台でも崩れない一方、このレースや、日経新春杯でも勝利を逃しているのがやや気がかりだ。

しかし、もっと気がかりなのは、対するサトノダイヤモンドの近走内容である。今年の復帰戦・金鯱賞こそ③着とまずまずの走りを見せたが、続く大阪杯は⑦着。そして前走・宝塚記念は、大外から圧勝でもしそうな勢いで進出しながら、直線で失速して⑥着敗退。海外遠征から1年、もうその影響が云々とも言ってはいられない頃合いになってきた。

レースを引っ張ったのは、前売り段階では長く3番人気を維持していたウインテンダネス(最終5番人気)。ラップを見ると、2ハロン目の11秒1ではあまり差はつかず、12秒台後半だった4~5ハロン目でリードをとって10馬身ほど。同馬の1000m通過が61秒2、後続はさらにスローの展開だ。

そして向正面に入ると、今度はラップが12秒3-12秒2とやや上がって大逃げの態勢へ。開催3日目とはいえ開幕週の馬場、さすがに後続も無視はしづらくなりつつあった。さて、まず動くのはどの馬か、それとも止まると信じてみな待つことになるのか。3コーナーへ向けた登りにかかり、外から動いた馬が1頭、どうも白い馬っぽい。プラチナムバレットは2番手につけており、これは半姉のスマートレイアーだ。昨年はほぼ最後方から、内を突いて差し切り勝ち。近走不振とはいえ、いや、不振だからこそ同じ舞台で同じ作戦という手もあり、逆になにかを変えるという手もあり、ここは後者を選ぶ形になった。

この動きにつれて進出したのがシュヴァルグラン、これをマークするように動いていったサトノダイヤモンドと、人気2頭も勝負どころでは前を射程圏に捕らえる展開。先に動いたスマートレイアーと、3頭ほぼ横並びで4コーナーへと向かっていった。

さあ、ここから2強の爆発力勝負、と誰もが一瞬はそう思っただろう。ところが、スマートレイアーは仕方ないにしても、シュヴァルグランの手応えも少々怪しげ。いや、この馬どうこうではなく、サトノダイヤモンドの手応えがこれを上回った、という言い方が正しいだろう。コーナー通過中に早くもシュヴァルグランを交わしにかかり、直線に向いたときにはクビほどのリード。前を行くウインテンダネスは止まり、後続も突き放し加減と、これは圧勝まであるかという態勢だ。

ただ。そんなレース見たことあるぞ、などと考えるまでもなく、前走の宝塚記念。内で粘るミッキーロケットを交わし、後続も突き放して……と思ったところで、ミッキーロケットの抵抗を受け、さらに外からワーザーなどにも交わされ⑥着に敗れたレースだ。

今回はどうなんだ、と思えば、単独先頭に立ってからはとても「圧勝」にはならない脚色だ。しかし、馬群を割って襲いかかったレッドジェノヴァが1馬身差まで詰めると、ここでサトノダイヤモンドも底力を発揮。レッドジェノヴァとの差がじわじわとしか詰まらなくなると、そのまま最後は半馬身の差を保って、ついに復活の勝利を挙げたのだ。

昨年のフランス遠征、いや、その前の天皇賞(春)で③着に敗れ、勢いがぱったり止まってしまったサトノダイヤモンド「こんなはずでは」と、歯がゆい思いで見ていたファンも多いだろう。もともとの実力が実力だけに、この勝利で「完全復活」とは言えない、言いたくないところだが、まずはそこへ向けた第一歩。状態を上げ、次はさらに強い姿を見せてくれることを期待したい。

一方、敗れたシュヴァルグラン。馬券圏内こそ外したものの、早めに動き、勝ち馬のマークも受けながら、ばったりとは止まらず④着確保。昨年も伸びひと息で③着だっただけに、今年もジャパンCでの巻き返しがあるだろう。そしてもう1頭、初重賞で②着健闘のレッドジェノヴァ。4コーナーから直線前半で不利もあった中でこの走り、こちらはエリザベス女王杯が楽しみになった新勢力だ。


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