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速攻レースインプレッション

今後の大レースでもかなり楽しみな存在

文/浅田知広、写真/小金井邦祥


もともとは1月にガーネットSとして行われていたレースが、ひと月繰り上がり、12月のカペラSとなってこれまで10回を消化。過去の優勝馬には、2010年セイクリムズン、13年ノーザンリバー、14年ダノンレジェンドなど、後にダート短距離路線で活躍した馬の名前も見られる。

ただ、その一方。ここ3年は、キクノストーム、ノボバカラ、そしてディオスコリダーと、今のところはこのレースが最後の勝利。そろそろ、また翌年以降も好レースを繰り広げてくれる馬の誕生も見たいところだ。

今年、そんな候補の筆頭角に挙げられるのは、1番人気に推された3歳馬コパノキッキングだ。スピードを武器に先行し、勝てば5馬身差以上の大楽勝。4走前のおおぞらSは、上がりが速くなりやすい札幌の道悪(稍重)1000m戦とはいえ、逃げて上がり3ハロン34秒3を叩き出している。

そんなコパノキッキングに転機が訪れたのが前々走の藤森Sだった。スタートこそ互角に出たものの、その後、挟まれてズルズルっと後方まで後退。これまで経験のない差す競馬を強いられ、誰もが苦しいと思っただろう。ところが、直線大外から末脚一閃。レースの上がりも36秒0と決して遅くはなかったが、今度は差す形で上がり34秒5の末脚を繰り出したのだ。

この経験を活かすべく、前走のオータムリーフSは好位に控えてみたものの、砂をかぶると勝負所で馬自身が行く気なし。直線で外に出し差し切りはしたが、課題ものぞかせた一戦となった。さて、この馬が初重賞でどんな競馬をするのか、期待もあり不安もあり、という単勝3.6倍の1番人気だった。

これを迎え撃つのは、まずキタサンミカヅキ。地方馬が「迎え撃つ」というのもちょっと違うが、船橋に移籍してから重賞通用の力をつけ、東京盃連覇、そして前走・京都のJBCスプリントも③着。ここは実績上位で、58キロでも2番人気の支持を受けた。

続いては、コパノキッキング同様の新星候補たち。このコース5戦4勝の4歳牝馬ハットラブ、ここ1年7戦5勝の4歳牡馬オールドベイリーが3、4番人気。ほかに、近走ダートグレード競走で②①②着のオウケンビリーヴ(牝5、7番人気)、そしてここ5戦4勝のタテヤマ(牡4、8番人気)あたりが、ちょっと穴目でも伸びしろが期待できそうな存在だ。

さて注目のスタート、コパノキッキングはやや遅れ気味というところから、5完歩ほど進んでまた失速。手綱を取った柴田大知騎手によると「ゲートに長くいて落ち着きすぎた」と。そんなに居心地が良かったのか、ゲート内。ともあれ、前々走の藤森Sに続いて、また後方からのレースを強いられることになったのだった。

一方、前では11番人気のサイタスリーレッドが先手を取って、前半33秒4と速めの流れ。上位人気ではオールドベイリーが好位の後ろにいたが、キタサンミカヅキハットラブはもともと差し馬ということもあって中団~後方待機。コパノキッキングにとっては、他の人気馬からあまりに離れることもなく追走できたのは、ひとつ幸いだった。

エンジンをかけていったのは3コーナーから。すぐ前にいたハットラブを外から楽々と交わしていくと、4コーナー手前では内で詰まっていたキタサンミカヅキまで2馬身ほどに迫った、ものの。こちらは大外。最内で距離損なく回ったキタサンミカヅキから再び離れただけでなく、前ではサイタスリーレッドが快調に逃げ脚を伸ばしており、勝つまではちょっと、いや、ほぼ絶望的な位置に見受けられた。

しかし、この差す形になれば、持ち前のスピードを爆発的な末脚に転化できるのがコパノキッキングだ。残り200mでもまだ10馬身ほどの差があったように見えたが、逃げたサイタスリーレッドはもちろん、同じく差してきたキタサンミカヅキともまったく違う脚色で、大外からまさに豪快な差し切り勝ち。最後のわずか2完歩で、②着に4分の3馬身差をつけたと言えば、レース映像を見ずとも、どれほどの脚だったか想像できるだろう。

まだまだ気性面には改善の余地はあるコパノキッキングだが(デビュー時から去勢されている)、これで1200m以下では無傷の6連勝。今後の大レースでもかなり楽しみな存在だ。

しかし、その短距離の「大レース」は1年近く後のJBCスプリント。しかも来年は、1200mのコース設定がない浦和開催のため、1400m戦になってしまう。それまでに1ハロンくらいなら克服できるかどうか。その前に、ちょっと性急に過ぎるかもしれないが、招待さえされればドバイゴールデンシャヒーン参戦も期待したくなる今の勢いだ。

一方、その豪脚にしてやられたサイタスリーレッドも、昨年春にはダート転向後無敗の4連勝を飾った馬。昨年後半から不振に陥ったものの、前走の逃げ切り、今回の②着と、また勢いを取り戻しつつあるようだ。そして③着まで追い上げた58キロのキタサンミカヅキも、さすがの底力。来年は9歳を迎えるが、現役続行ならまだまだこの路線を盛り上げてくれるに違いない。


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