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速攻レースインプレッション

期待の素質馬が明け4歳勢の中からまず頭角を現した

文/編集部(W)、写真/森鷹史


中山金杯『速攻レースインプレッション』の文頭では、平地の古馬混合のOP戦では「2年続けて3歳馬が強かった」と書かれている。浅田知広氏が調べたデータがそれを裏付けているが、一昨年のマイルCSで17年ぶりにペルシアンナイトが3歳Vを果たし、続く昨年も3歳馬ステルヴィオが古馬を撃破してG1初制覇を飾り、マイル路線もそんな印象が残っているのではないだろうか。

それが影響したのか、はたまた5歳以上の馬に魅力的な馬が少なかったのか。1~3番人気は順にパクスアメリカーナ(2.2倍)、サラキア(4.8倍)、カツジ(5.9倍)と、明け4歳勢が占める結果となったが、パクスアメリカーナがやや抜けた1番人気に推されたのはちょっと意外だった。

京都金杯ディープインパクト産駒が強いというのは広く知られているところ。加えて、サラキアは前走の秋華賞で④着、カツジマイルCS④着とG1で健闘を見せている。過去10年、ひと桁馬番が[10.8.8.64]、ふた桁馬番が[0.2.2.67]という内有利の傾向も鑑みれば、1番人気はサラキアカツジだろうと思っていたからだ。

とはいえ、パクスアメリカーナもホエールキャプチャの全弟という血統馬であり、NHKマイルCでも4番人気の支持を集めたほどの馬(カツジは8番人気)。7ヵ月ぶりのリゲルSで4馬身差の圧勝を飾って勢いに乗り、昨年のJRAのG1で大活躍の外国人騎手に交じって[2.3.4.8]という好成績を収めて存在感を示した川田騎手が騎乗となれば、6枠12番という枠順は評価を下げるほどの不安材料ではなかったのかもしれない。

結果的には、不安材料と思われた外目の枠もプラスに働いた。ツーエムマイスターが牽引したペースは1000m通過59秒7で、これは京都金杯が芝1600mに替わった00年以降でもっとも遅い。スローペースで先行集団が密集し、直線で内を突いたサラキアなどは馬群を捌くのに苦労するシーンも見られたが、終始、馬群の外目で追走していたパクスアメリカーナは自分のタイミングでスパートすることができた。

パクスアメリカーナは4角で好位の外まで進出。直線に入ると、好位の外に付けていたマイスタイルが内の各馬を交わし、残り1F付近で抜け出すが、これに襲い掛かったのがパクスアメリカーナで、川田騎手のムチに応えてエンジンがかかると力強い伸びを見せ、ねじ伏せるようにして差し切った。

マイル替わりが奏功した8枠15番のマイスタイルが②着を確保し、00年以降で初となるふた桁馬番のワンツー。開幕週で内有利な馬場だと、皆が内を狙う→直線で内が渋滞→スムーズに外を回った外枠の馬が好走というパターンは珍しくないが、今年の京都金杯はまさにその典型だったと言える。

気になったのは1分34秒9と時計がかかったこと。良馬場なら1分33秒0前後で決着することが多い京都金杯において、昨年(1分34秒3)は13頭立てと頭数も少なめだったことから例外だと思ったが、いかにスローペースとはいえ昨年より0秒6も遅い決着になるとは思いも寄らず。JRA発表の気象情報をみると、京都競馬場で計測された雨量は12月28日(金)~1月4日(金)までゼロ行進。それでこれだけ時計がかかるということは、以前とは明らかに違う馬場設定と考えたほうが良さそうだ。

パクスアメリカーナは上がり勝負、高速決着よりも、上がりのかかる展開、時計のかかる馬場が向くタイプと思われ、今回の重賞初制覇は馬場や展開が味方した面があるのは確かだろう。これで右回りの芝1600mは③①①②①①着と抜群の安定感を誇っている一方、左回りの芝1600mは内にササる面があって④⑥着と馬券圏外に敗れている。

川田騎手がレース後の勝利騎手インタビューで「これから少しずつ力を付けながら大きい所にチャレンジできるような馬になってくれればと思います」と語っていて、G1という大舞台に臨むにあたってはクリアすべき課題はまだ残っているのだろうが、それでもここで勝ち切ったことは大きい。これで長期休養明けからOPで2連勝。デビューから手綱を取る川田騎手も素質を認めている逸材で、こぶし賞でケイアイノーテックに1馬身半差を付けて勝利していることからも器の大きさが窺い知れる。キャリアはまだ8戦で伸びシロも十分だ。

ちなみに00年以降、1番人気で京都金杯を制した4歳馬はパクスアメリカーナ以外だと01年ダイタクリーヴァ、05年ハットトリック、17年エアスピネルの3頭。ハットトリックは同年にマイルCS香港マイルと2連勝を飾り、ダイタクリーヴァ、エアスピネルはマイルCS②着の実績を持つ。その一方、クロフネ産駒の芝G1は7勝中3勝を東京芝1600mで挙げている。

古馬マイル戦線は現在、香港のビューティージェネレーションのような絶対王者が不在。古馬混合の芝1600mのG1を1番人気で勝利した馬は15年安田記念のモーリスまで遡らなければならない。そんな状況下で、明け4歳勢の中からまず頭角を現したパクスアメリカーナ。前記したデータを見ると、2019年は春(安田記念)も秋(マイルCS)も期待したくなるが、果たしてどんな走りを見せてくれるのだろうか。




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