速攻レースインプレッション
1番人気快勝のインディチャンプには「G1勝利」のフラグが
文/編集部(M)、写真/小金井邦祥
1分31秒9というのは東京新聞杯のレースレコードで、従来の記録・1分32秒1は2010年にレッドスパーダが記録したものだった。好時計が記録された時に1番人気が好走しているのは、もちろん偶然ではないだろう。
2010年はレッドスパーダが2番手追走から押し切ったもので、ハナを切ったマイネルファルケは前半3Fを34秒8で入っていた。スズカフェニックスが1番人気で勝利した2007年はシベリアンホークがハナを奪い、これまた前半3Fが34秒8だった。
締まったペースの時に1番人気は好走していて、近4年の東京新聞杯で1番人気が[0.0.2.2]だったのは、前半3Fが35秒4~37秒2というスローになり、本来の力を発揮できなかったことも一因と思われる。
その意味では、今年は、ショウナンアンセム、ロジクライ、ヤングマンパワーが競る感じになり、前半3Fが34秒5と流れたことで、インディチャンプにおあつらえ向きのペースになった。インディチャンプもタワーオブロンドンも、これまでに道中で行きたがる面が見られた馬だから、ハイラップは好材料だったに違いない。タワーオブロンドンは10kg増の526kgがこたえたようだったが……。
先行馬が飛ばし、縦長の隊列になったから、1分31秒9という好時計が記録されても驚きはしないが、それより、インディチャンプが1番人気に支持されたことに少々驚いた。確かに前走の元町Sは異次元の強さではあったが、別定G3の東京新聞杯では特に斤量面で有利なわけではなく、1番人気は重賞勝ち実績のある馬がなるものと思っていた。
東京新聞杯での1番人気が締まったペースの時に好走してきたのは、それだけ地力が高かった馬が1番人気を拝命してきた証左でもあろう。逆に言えば、インディチャンプは昇級戦であっても、それだけ高い地力があることを認められていたわけだ。その期待に応えたのだから価値がある。
ちなみに、過去20年の東京新聞杯で1番人気で優勝した馬は3頭いて、99年①着のキングヘイローと07年①着のスズカフェニックスは後に高松宮記念を勝ち、05年①着のハットトリックは後にマイルCSと香港マイルを制している。1番人気で②着となった馬も3頭いて、03年②着のローエングリンは後に安田記念や香港マイルで③着に入り(ムーランドロンシャン賞では②着)、01年②着のシンコウエドワードはNHKマイルC②着、10年②着のトライアンフマーチは皐月賞②着の実績があった。
インディチャンプは1番人気で快勝したのだから、芝G1勝ちへのフラグが立ったと言っても過言ではないだろう。これまでに芝1600mでは2度敗れていて、その2戦は勝ち時計が1分32秒0~1分33秒4だったが、今回の勝利で時計が出る馬場でも何ら問題ないことを証明した。
なお、今回のインディチャンプ(2枠2番)の勝利で、昨秋以降の東京芝の重賞では、ひと桁馬番の馬が11連勝したことになる。
昨秋以降、東京芝で1000万以上のレースは48回行われ、実に44レースでひと桁馬番の馬が勝っている。ふた桁馬番の馬が勝利した4レースはハンデ戦で、ハンデ戦以外の38レースはすべてひと桁馬番の馬が制し、ふた桁馬番の馬は[0.6.5.80]という成績だ。こんな馬場でいいんでしょうか?