速攻レースインプレッション
内すぎず外すぎなかったデアレガーロが会心の勝利!
文/編集部(M)、写真/濱田貴大

ふた桁馬番の馬が上位を独占したことは、連続開催最終週のレースらしいとも言えそうだが、1番人気(⑤着ミスパンテール)も2番人気(④着アルーシャ)も3番人気(⑥着ワントゥワン)もふた桁馬番だったのに馬券に絡めなかったので、このレースの難易度は相当に高くなった……。
ちなみに、芝重賞で掲示板をふた桁馬番の馬が占めたケースは、昨年は一度もなく、一昨年(2017年)の中日新聞杯以来の出来事だった。近30年のJRA重賞で17回しかなかった珍事だが、その17回のうち10回は⑥着もふた桁馬番の馬で(今年も該当)、来る時はごそっと来るということか。
ふた桁馬番の馬、つまり、真ん中から外枠に入った馬にフォローの風が吹いたレースだったが、完全に外有利の馬場だったかと言うとそうでもない。③着に粘り込んだアマルフィコーストは2番手を追走していたし、差し切ったデアレガーロは馬群の中を追走し、直線入口では池添騎手が馬場の内目を選択し、その後に外に切り替えて伸びてきた。②着リナーテは外を回って差し込んできたが、純粋に外を回らされると厳しい馬場&流れだった。
デアレガーロはふた桁馬番と言っても5枠10番で、内目でも外目でも、選択の幅が他馬よりも広い利点があったかもしれない。同馬はこれまでにOPでは6戦して⑪②⑯④⑧⑥着という成績で、②着に入ったのが昨年の京都牝馬Sだったから、賞金を加算したかったに違いない。そのチャンスを見事にものにした会心のレースとなった。
前走のスワンSが過去最少体重(8kg減の454kg)だったデアレガーロは、今回が休み明け(3ヶ月半ぶり)で体が戻っていることが望ましかったのだろうが、32kg増(486kg)という馬体重の発表には、さすがにビビッた人もいただろう。
それでも、結果としてスワンSの時と比べて走破時計を1秒以上も短縮して勝利したので、これが本来の姿と考えるべきなのだろう。クラブ馬なので概ね引退の時期は決まっているのだろうが、これから1年は充実の時を迎えられそうだ。
②着に入ったリナーテも10kg増での490kgで、充実してきたのだろう。サトノダイヤモンドの妹で、ステイゴールド産駒だが、この馬は馬格がある。500万以上での4勝を牡馬相手のレースで挙げている馬で、今後は牡牝混合の重賞でもチャンスが出てくるのではないか。
1番人気だったミスパンテールは、直線で伸びきれず⑤着に敗れた。これまで良馬場の芝1400~1600mでは[6.1.0.0]と安定感を誇っていたが、その7戦は馬番11番以内で、やはり今回は終始外を回らされたことがこたえたのだろう。昨年のヴィクトリアマイルは1枠2番で⑤着だったが、あの時は稍重馬場だった。今年は外過ぎない枠を引き当て、良馬場でやりたいところだろう。
2番人気だったアルーシャは最後までジリジリと伸びて④着だった。これで重賞では2戦して③着(2018年クイーンC)、④着(2019年京都牝馬S)だが、クイーンC時は8kg減の422kgで、今回も2kg減の434kgだった。これまでにマイナス体重だったことはこの2回で、今回は約3ヶ月ぶりでもあったから、初の関西遠征の影響もあったのかもしれない。今回勝利したデアレガーロではないが、ひと回り大きく成長すれば、さらなる活躍が期待できるのではないか。
昨年の京都牝馬Sは1~5番人気が③着以内を占める堅い決着だったが、12頭立てという少頭数競馬だった。今年はディメンシオンが取り消したものの17頭立てで、多頭数だったことが波乱の決着につながった面も否定できないだろう。
振り返ってみると、昨年以降の古馬混合の牝馬限定芝重賞は、12頭立て以下だと1番人気が[3.1.0.0]で4レースすべてで連対しているが、13頭立て以上だと勝ち馬9頭が3番人気以下で、1~2番人気は[0.3.3.12]と勝てていない。
今後は3月9日に中山牝馬S、4月6日に阪神牝馬S、4月20日に福島牝馬Sがあり、5月12日のヴィクトリアマイルへ続くので、出走頭数に注意を払いつつ、攻め方を考えるようにしたい。